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2023.10.02

中小企業にも企業型DC導入の波

中小企業にも企業型DC導入の波
社員の定着を目的とした退職金制度の策定や見直しのご相談のなかで、企業型DC(企業型確定拠出年金)を検討されるお客様が増えております。
これまでは大手企業を中心に普及していた制度が近年、中小企業にもそのメリットと必要性について広まりつつあります。

そこで今回は、企業型DC(企業型確定拠出年金)のメリットと中小企業注目されている理由についてお伝えいたします。

企業型DC(企業型確定拠出年金)とは

企業型DCは投資信託を税制優遇を受けながら運用し、老後資金を準備できる制度です。

同じ確定拠出年金にはiDeCo(個人型確定拠出年金)がありますが、iDeCoは個人で加入するものであり、給与から社会保険料や税金を引いた手取り額から掛金を拠出します。
一方で企業型DCは会社が加入しますので、掛金は会社が拠出したり、役員・社員の1人1人が任意で拠出したり、あるいは会社と役員・社員それぞれが拠出したりと会社ごとに決めることが出来ます。

企業型DCの税制優遇

①掛金は非課税

会社が負担する掛金は福利厚生費として全額損金となります。
役員・従業員が拠出する掛金は、所得税、住民税が非課税となります。
※60歳以降の受取時には一括受取の場合は退職所得、年金受取の場合は雑所得となります。

②運用益は非課税

積立運用中に発生した売買益や配当益も非課税となります。

③一括受取時は退職所得

①の通り、掛金拠出時は所得とみなされないため、その掛金分については所得税、住民税は税金がかからず、60歳以降の受取時にはじめて役員・従業員の所得となります。ただし給与所得ではなく、一括受取の場合は退職所得、年金受取の場合は雑所得となります。特に退職所得の場合、退職所得控除は所得控除の中でも非常に優遇された控除です。

※政府は「骨太の方針」で退職所得控除について見直しを検討している模様であるため、今後の改正については注目していく必要があります。

④社会保険料の削減効果も(選択制の場合)

制度の中で「選択制」と呼ばれるスキームがあります。給与の一部を生涯設計手当として支給し、企業型DCに拠出するか、これまで通り給与として受け取るかを加入者1人1人に任意で選んでもらうスキームです。ここから拠出する掛金は給与とはみなされず会社掛金とみなされるため、所得税、住民税の課税対象外となるだけでなく、社会保険料も計算対象外となります。

社会保険料は役員・従業員だけでなく、会社も折半して保険料を負担しているので拠出額によって社会保険料の等級が下がると社員と会社の両方の負担を減らす効果があります。

※社会保険料が下ると厚生年金の受給額や傷病手当金、失業保険などのもらえる金額も少し下がる点については注意が必要です。

なぜ、中小企業でも企業型DCが注目されているのか

企業型DCは2001年(平成13年)から始まった制度ですが、上記のようなメリットがあるにも関わらず、始まってからしばらくは導入企業のほとんどが大手企業のみに留まっていました。手厚い退職金制度を昔から整備している大手企業は積立不足の問題が発生した確定給付年金(DB年金)の代わりに企業型DCを導入していきました。
制度の推進をする金融機関や保険会社もまとめて多くの加入者が見込める大手企業に率先して提案しており、一定以上の従業員の会社を条件にしていたため、中小企業には普及が進みませんでした。

現在では1名からでも加入できる仕組みが生まれ、NISAやiDeCoの普及により以前よりも資産形成に関心を示す人が増えています。
企業型DCは社員の定着、人材の獲得にも期待できます。2,000万円問題を皮切りに現役世代の多くが将来への不安を抱えています。会社が社員の就労期間だけでなく老後のことも考えた制度を用意しているかどうかは今後ますます重要視されていきます。

2022年4月から高校の家庭科では金融リテラシー向上のために資産形成の授業も取り入れられています。
今はまだ企業型DCやNISAと言ってもピンとこない人も少なくないかもしれませんが、今後、投資が当たり前になっていく時代の中で採用募集要項に「退職金制度あり、企業型DCあり」と書いているかどうかチェックされることが当然になる未来もそう遠くありません。

G.S.ブレインズコンサルティングでは企業型DCをはじめ、生命保険、中退共などを活用した退職金準備のお手伝いもさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。

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