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2026.07.17

遺産分割で考慮すべき特別受益

遺産分割で考慮すべき特別受益
家族の生活基盤を支えるための財産移転を考える際、民法上の公平性を確保する仕組みである「特別受益」の理解は欠かせません。
住宅資金の贈与や生命保険金の受け取り方によっては、相続時の財産評価に直接影響を与えるケースがあるため、正確な税務上の判断が求められます。
本記事では、学費や住宅資金といった具体的な贈与の範囲と特別受益の該当性を整理し、遺産分割協議が調わない場合の税額計算への影響を解説します。また、受益の時期に関する特有のルールや生前贈与加算との違いも網羅しています。

被相続人から生前贈与を受けていた場合、相続財産の分割だけでは課税の公平が保てないため、一定の配慮が行われます。

相続人の特別受益を相続財産に持ち戻す

相続人に遺贈または婚姻、養子縁組、生計の資本としての贈与がされた場合、これらは特別受益とされます。特別受益の額は相続時の価額で相続財産の価額に加算(持戻しといいます)し、民法に規定する相続分で按分した額から遺贈または贈与の額を控除した額が各相続人の相続分となります。

被相続人が持戻しの免除を意思表示したときは、その意思に従います。婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産の遺贈または贈与、配偶者居住権の遺贈も持戻し免除の意思を表示したものと推定されます。

持戻しの対象となる贈与の範囲

子の結婚に際し、新生活を援助するためのまとまった金銭の贈与は特別受益に該当すると考えられます。生計の資本としての贈与は生活の基盤となる財産を指し、夫婦間の生活保持義務や親族間の扶養義務の範囲を超えるものは特別受益に該当します。子の学費は扶養義務の範囲であれば該当しませんが、住宅資金の贈与は非課税となるものであっても特別受益となります。

生命保険金の持戻しの扱い

相続で受け取る生命保険金は、相続人固有の財産とされ、原則、持戻しの対象となりません。ただし、生命保険契約が保険金を受け取った相続人に対する被相続人からの贈与と同視され、相続人間の公平さを著しく欠くとされた場合は、特別受益となることが裁判で示されています。

未分割のときは持ち戻して相続税額を計算

相続人に特別受益があったとき、これを持戻して相続税額を計算するのは、遺産分割協議が調わず、未分割となる場合です。遺産分割協議が調う場合は相続人間で任意に分割できます。

生前贈与加算と異なる加算期間

被相続人から生前贈与があった場合、相続開始前7年以内に贈与された財産の価額を相続財産の価額に加算して相続税額を計算します(生前贈与加算)。加算対象期間は令和5年度税制改正により、相続開始前7年以内となりました。令和6年1月1日以後の暦年課税贈与により取得した財産について適用されます。

一方、特別受益については受益の時期にかかわらず、全ての期間に行われた贈与が持戻しの対象となります。

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