経営に役立つコラム

Column

2022.05.24

管理職が担っている部下育成の5大要素 【その3・人を育てる技術⑨-任せる技術】

終息の兆しが見えない新型コロナウイルスや人手不足・物価高騰などの厳しい現状が続く中で、会社を成長させ続けるには、管理職の部下育成力を高めることが重要な課題です。
今回のコラムでは、部下へ仕事を「任せる」うえで、上手に任せる方法や、任せるときの心構えについてご説明いたします。

マーケット縮小時代の勝ち組になるために

この経営コラムで「管理職が担っている部下育成の5大要素」をテーマにしてからおよそ1年になります。厳しいコロナ禍が続いているなか、私がこのテーマを選んだのは、感染が広がろうが落ち着いてこようが、中小企業の経営環境が厳しくなり、企業成長を続けることが非常に難しくなっている現状があるからです。

企業は、たとえ厳しい経営環境に晒されているとしても、成長を続けなければならないと私たちG.S.ブレインズグループは考えています。成長を続けるために最も重要な要素はマンパワー、すなわち社員みんなの知恵と力の結集です。組織としてのパワーをもう一段上げることができれば、マーケット縮小時代を乗り越え、成長を続けることができるのです。

では、会社のマンパワーを一段強くするには何が最も必要かといえば、各部門のリーダーである管理職の部下育成力にほかなりません。

部下育成の方法は時代によって変化する

中小企業の職場には、いまだに「とにかくやれ!」というパワーハラスメントもどきの部下対応を続けている実態があります。いまどきパワハラもどきの組織運営を続けている職場は現実にあるのですが、そうしたマーケット拡大時代の悪しき社風が残っているとしたら、もはや勝ち組には入れません。G.S.ブレインズグループがお手伝いしている会社にはそうした敗者グループに入ってはならないと、私はこの経営コラムに力を入れているのです。

マーケット縮小時代の勝ち組に入る第一条件は、管理職による正しい部下育成を続け、正しいマネジメントによって組織のパワーアップをしていくことです。

そのために1年前に書き始めた部下育成のテーマは1年で終わる予定でしたが、終わりませんでした。そこでもう一度、部下育成のテーマについて私が伝えたい内容の全体像を振り返っておきましょう。

管理職による部下育成5つのテーマ

管理職による部下育成は、次の5つのテーマに絞られます。

① ルールを守らせる
② 実務の「型」と実行管理〈やり切らせること〉
③ 人を育てる技術〈自律人財の育成 〉※現在はこの段階です。
④ 人を動かす技術〈仕事とは人を動かすこと〉
⑤ 育てる技術を支える人間力〈③④を支える力〉

何度かこの5つのテーマを示していますが、管理職・リーダーによるマーケット縮小時代の必須テーマですから、あえて重ねてお伝えしているところです。

任せられる部下に育った=自律人財に成長した

現在、進めている経営コラムのテーマは、③の「人を育てる技術」(部下育成)です。これも何度か示していますが、簡単に振り返っておきましょう。

部下育成のアプローチは次の6段階で示してきました。
①知る→②聴く→③観る→④認める・褒める→⑤伝える・考えさせる→⑥任せるの6段階です。前回までに5段階目の「伝える・考えさせる」の解説をしてきました。5段階まで進んできたら、次は最終段階の「⑥任せる」しかありません。

すなわち、5段階目の「⑤伝える・考えさせる」までのプロセスを進み終わったら(育てるべき部下が自分で考えて行動するようになったら)、部下育成という役割の出口です。

部下に「任せる」

育ててきた部下に対して「もう任せても大丈夫だな」と確信を持ち、「何をどこまで任せられるか」がはっきり見えたら出口です。

それはすなわち、「彼(彼女)は、自律人財に成長した」と管理職として自信を持てることになります。自身の上司(部長、担当役員、社長など)にも自信を持って「A君は一人前の社員になりました。もう仕事を任せても大丈夫です」と報告することもできるでしょう。

もちろん、自律人財に成長したといっても細かな報告などが不要になったわけでもありません。もちろん、いきなり主任や係長、グループリーダーといった立場に立てるわけでもありません。

あくまでも「わが社において任せられる仕事を上司の手を借りることなく自分だけで進められる一人前の社員になった」というだけのことです。決して、「彼(彼女)はもう割り当てた仕事を自分だけで進められる」と、野放しにしていいというわけではありません。

楽観は禁物です。上司が「もう君は大丈夫だ。好きにやりなさい」などと甘い言葉を発するのは禁物です。甘い言葉を真に受けて舞い上がる部下もいるのですから。

部下育成の出口をくぐったといっても当然、自分でやるべき仕事を自分で選ぶわけではありません。上司への事前事後の相談・報告なしに、新しい仕事を受け入れたり、勝手に他の社員に手伝わせたりといったことが自由にできるわけではありません。

上司のもとで仕事をする以上、相談・報告・連絡が必要です。部内に関わる情報はまず上司に伝えなければなりません。自律人財に成長したといっても、部下は部下です。仕事を割り振ったり、大小のホウレンソウを受けたりする立場は変わらないのですから。

「任せる」ときの心構え

一人前の自律人財に育ったとはいえ、上司の立場は変わらず、自律人財に育った部下も含めて管理職が預かっている部門の仕事は誰彼関係なく高い関心を持って見守らなければなりませんし、気を緩めることもできません。

「任せる」には、任せる部下の得意・不得意を考慮しつつ、今後の成長路線なども十分に考慮して仕事を割り振ることが必要です。ここを甘く考えたり、いい加減にしたりするとびっくりするような失敗報告を受け、会社に大きな迷惑をかける出来事が発生する事態が出てくるかもしれません。

部下のミスは上司のミスです。「任せる」仕事を割り振るときには慎重に判断しなければなりません。仕事の割り振りに失敗して多大な損失を発生させてしまうといった事故もないわけではありません。

もちろん、だからといって尻込みした割り振りしかしなかったり、割り振りを伝える際に不必要な注意を延々とされたりすると、自律人財となったことを自認している相手のモチベーションがいっぺんに下がってしまいます。

任せた最初の頃は、失敗する率は高いと覚悟したほうがよいでしょう。失敗はあります。「ある」という前提で仕事を割り振っていくことも必要です。

「任せる」段階に入り、一人前の自律人財の域に達するには、まだまだ目が離せません。

ここは非常に重要な段階ですから、この点も含めて、来月もこの続きや関連事項をお伝えする予定です。

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近藤浩三

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近藤浩三

G.S.ブレインズグループ代表 税理士

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