経営に役立つコラム

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2023.05.31

【融資・保証の基礎知識】融資の種類と資金使途・保証協会付き融資とは?

【融資・保証の基礎知識】融資の種類と資金使途・保証協会付き融資とは?
会社を創業する際や事業を拡大する際、また業績が思わしくなく今後の資金繰りを検討する際には融資の知識が必要不可欠です。
今回は若手経営者やこれから創業される方向けに、中小企業に必要な融資・保証の基礎知識を下記視点でまとめました。融資を受ける際の参考として下さい。

◆融資の種類(形態による区分)
◆資金使途による区分
◆金融機関融資の6つのポイント
◆保証協会付き融資とは?
 メリットと留意点

融資の種類

①手形割引(割引)

取引先より受け取った手形を、期日前に金融機関に買い取ってもらうことにより資金を調達する方法です。短期の資金調達方法です

②手形貸付(手貸)

自社が振り出した約束手形を銀行に預けて融資を受ける方法です。
主に1年以内の短期融資に向いています。

③証書貸付(証貸)

金銭消費貸借契約書を締結し、融資を受ける方法です。
長期の分割返済に向いている方法で、一般的に融資と言えばこの方法をイメージすることが多いのではないでしょうか。

④当座貸越(当貸)

融資限度額(極度額)を設定して、その限度額までは自由に融資を受けることができる方法です。金融機関の審査は厳しく、業歴・決算書の黒字年数・自己資本比率等による要件が設けられているケースが多いです。

中小企業経営において、すべての融資種類をすぐに活用できるかというと、そうではありません。

一般的には
①手形割引 → ②手形貸付 → ③証書貸付 → ④当座貸越
の順番に審査が通りやすいと言われています。これは金融機関からみた場合のリスクの高さによるものです。

資金使途による区分

①運転資金

事業を行うに際し、商品の仕入れや給与・経費の支払い、買掛金・支払手形の決済に充てるための資金を言います。
このうち、現在の商取引で運営している状態を維持し続けるための運転資金を「経常運転資金」と呼びます。
この経常運転資金は、(【売掛金】+【受取手形】+【棚卸資産】)―(【買掛金】+【支払手形】)で算定され、入金と出金の時点の差を埋めるべく、一定額以上の運転資金が必要となります。

②設備資金

土地建物の購入や機械装置・車両の購入等、設備を購入するために必要となる資金のことを言います。設備投資はまとまった資金が必要となるケースが多く、また自己資金で対応した際には運転資金を圧迫するケースもあるため、金融機関からの借入でまかなうケースが多くなります。

③季節資金

季節性の支払いに必要な資金のことを言います。
例えば賞与の支払いや税金の支払い、季節変動により資金需要が高まる業種の増加運転資金などが該当します。
それぞれ、賞与資金・納税資金などと呼ぶこともあります。

金融機関融資の6つのポイント

①資金使途(目的)

「設備資金」なのか「運転資金」なのか、資金利用目的を明確にする必要があります。「設備資金」の場合には見積書等で、「運転資金」の場合には予算や資金繰り表で必要となる運転資金を明確にすることが大切です。

②融資希望額

資金使途に合わせ、いくらの融資が必要なのかを明示します。

③返済期間

今後の利益予測と資金見通しが数値化されていれば、それに合わせていくことが理想ですが、運転資金は5年以内・設備資金で10年以内と制度融資の内容により定められていることも多いので確認しましょう。

④金利・利率

決算書の状態によっても変わります。公的制度や創業融資などでは、決められているケースも多いです。返済期間と金利のどちらを優先するかの判断も大切です。

⑤保証人・担保

経営者が連帯保証を求められるケースに関し、経営者保証に依存しない融資慣行を確立していくために経済産業省が主体となって「経営者保証改革プログラム」が策定されました(2022年12月)。保証協会付き融資の積極活用などを検討していきましょう。

⑥返済原資

借入金は将来生み出す利益の前借りです。簡易的な意味での返済原資は、生み出された「営業利益」+「減価償却費」=「償却前営業利益」で算定可能です。
さらには「利益計画」と「資金繰り表」を作成するとベストです。

保証協会付き融資とは?【メリット】と【留意点】

「保証協会付き融資」とは、信用保証協会が保証をする融資です。
信用保証協会に保証料を支払うことで原則担保や代表者以外の第三者保証人は不要となりますが、保証料率はリスクを考慮した9段階となっています。
この「保証協会付き融資」に対し、信用保証協会の保証が付いていない融資を「プロパー融資」と呼んでいます。

保証協会付き融資のメリット

①原則代表者以外の第三者保証人・担保は不要
第三者保証人や担保が原則として不要です(必要な場合もあるので細かい条件に関しては確認下さい)。

②融資銀行のリスクが減り、融資を受けやすくなる
保証協会付き融資には、万が一回収不能となった場合の「責任共有制度」があります。
この「責任共有制度」とは、貸出先が破綻した場合に損失の80%分を信用保証協会が保証し、残りの20%を金融機関が負担するとするものです。
これにより、設立間もない取引先や銀行との取引実績のない法人に対しても、金融機関が貸し出しやすい仕組みとなっています。

③保証協会を活用した各種自治体制度融資がある
中小企業向けに自治体が斡旋する自治体制度融資が整備されており、要件を満たせば融資を受けやすい仕組みと言えます。
自治体によっては、利子補給制度により利息の一部の補助・助成が受けられる体制がありますので、この点もメリットと言えるでしょう。

④長期の融資が利用可能
一般融資の保証は原則として運転・設備資金共に10年以内と、長期の融資にも対応しています。

保証協会付き融資の留意点

①保証料の支払いがある
保証料の支払いが必要となり、リスクに応じて9段階の保証料率が設定されています。
この保証料も踏まえた資金調達コストを把握しておくことが大切です。

②企業規模による利用制限がある
原則として中小企業信用保険法に定める中小企業を対象としているため、業種ごとに資本金・従業員数といった規模要件があります。

上記メリットや留意点も踏まえながら、上手に活用していきたいものですね。

融資に関するご相談がございましたら、幣事務所「財務コンサルティング事業部」迄お気軽にご相談ください。

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