経営に役立つコラム

Column

2023.06.05

社員の退職金積立の管理について

社員の退職金積立の管理について
コロナ以降も加速している人手不足、多様化が進む労働環境の中で、経営者からは、採用の見通しが立たない状況で、これ以上退職者を出さないためにも社員の定着を目的とした退職金制度のご相談が増えております。

退職金制度は将来の不安を抱える社員へ長期的な視点で「社員を大切にする姿勢」を会社がアピールすることができます。
一方で長期的に運用していく制度のため、制度を維持するためにも「適切な管理、見直しの必要性がないか?」を定期的に検討する必要があります。「10年、20年先、この制度を維持するにはどのくらいの退職金の原資が必要となるか?」「その原資を何で準備すればよいか?」だけでなく、「退職金の支給によって、会社の決算にどの程度影響を及ぼすか?」などの視点も検討する必要があります。

退職金規定の作成

基本給、勤続年数に連動させたり、功績を加味したポイント制にするなど、どのくらいの退職金を支給するのか?などの規定を作成します。
この規定づくりは、労務的な視点で社会保険労務士へ相談しながら作成することをお勧めします。

社員毎に定年退職金を予想シミュレーション

退職金管理ソフトやシステムを導入していない場合は独自で推移表を作成し、管理していくことが大切です。
退職金規定に則りながら、それぞれの社員が定年退職を迎える頃にどのくらいの退職金を用意しておく必要があるのか、一人ずつ算出します。その際には昇給率、インフレ率も考慮しておくと良いでしょう。

積立中のものを反映し過不足額を見える化する

中小企業退職金共済制度(中退共制度)や養老保険をはじめとする生命保険など、現在準備中のものが退職予定時期にどのくらい積み立てられるかを確認します。
将来必要となる金額から準備中の金額を引いたものが必要過不足額となります。

ここで注意すべきは、生命保険の満期返戻金や解約返戻金は全部または一部は雑収入となる点です。
例えば全社員を対象に養老保険に加入していた場合、毎年支払っている保険料は1/2が損金、1/2が資産計上となるため、満期返戻金の受取時には満期返戻金と資産計上累計の差額が受け取った期の雑収入として益金となります。

例:退職金支給額200万円の準備として満期保険金200万円の養老保険で準備した場合
資金面は、退職支給額200万円=養老保険満期金200万円で過不足なし
損益面は、退職金200万円の損金>雑収入100万円(養老保険満期金200万円-資産計上累計額100万円)=▲100万円の特別損失

このように、資金面は手当てできているが、損益面の影響について検討する余地がある場合があります。

見える化によって、対策を検討できる

社員ひとり一人の将来の必要過不足額、生命保険での積立額などを推移表にまとめ、見える化することで、
「〇年後は定年退職者が重なるから、特に資金が〇〇万円必要になる」
「△年後は養老保険の10年満期を一斉に迎えるが、定年退職者は少ないので益金が〇〇万円出る」
などが見えてきます。

将来の見える化によって、「経営に大きな影響が出ないようにするにはどうすればよいか?」の対策を練ることができます。

以上が退職金準備に関する運用の概要です。
社員の定年退職に備え、適切な退職金制度を整備し、管理を行うことは企業経営において重要な要素です。

弊社では以下の様なシミュレーション表を作成し退職金制度の整理や過不足額の見える化など、お客様のニーズにあわせたサポートを保険・税務の専門スタッフが会社の財務状況や将来の負担を考慮しながらお手伝いしておりますので、お気軽にご相談下さい。

【ダウンロード資料】退職金管理シミュレーション

退職金管理シミュレーション退職金管理シミュレーションをご希望の方は下記よりダウンロードいただけます。

※同業・競合他社様からのダウンロードはお断りしております。

法人と個人の資産形成
生命保険には、万が一の保障と財産形成の2つの機能があるのはご存じですか?
長期にわたり無理のない金額を積み立てることで、不測の事態の時の保障と、事業資金や経営者のための退職金の原資を準備できます。

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