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2023.04.14

個人事業主の税務調査、なぜ交際費は否認されるのか?国税OBが税務調査の裏側を解説

個人事業主の税務調査、なぜ交際費は否認されるのか?国税OBが税務調査の裏側を解説
法人税と所得税における交際費の取扱いは、大きく異なります。法人税の場合は、一定の金額のみが損金として認められ、それ以外は課税の対象(損金不算入として所得金額に加算する。)となりますが、所得税には法人税のような規定がありません。
そこで、所得税が課税される個人事業主の交際費は使い放題という、誤った情報が世の中に流布することになる訳です。

個人事業主の税務調査において、交際費は重要な検討項目であり、実際、交際費で多額の修正申告を提出することになったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、所得税における交際費の考え方、なぜ経費(交際費)なのに調査で否認されるのか?などを解説したいと思います。

交際費とは何か?

国税庁のタックスアンサー№5265「交際費等の範囲と損金不算入額の計算」において交際費について「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。」としています。

但し、次に掲げる費用は交際費から除かれます。

(1)専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用

(2)飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専ら当該法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用

なお、この規定は次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。
イ 飲食等のあった年月日
ロ 飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
ハ 飲食等に参加した者の数
ニ その飲食等に要した費用の額、飲食店等の名称及び所在地(店舗がない等の理由で 名称又は所在地が明らかでないときは、領収書等に記載された支払先の氏名又は名称、住所等)
ホ その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項

(3) その他の費用
イ カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
ロ 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
ハ 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用

ここでは、「法人が」としていますが、個人(事業主)であっても、交際費の範囲に違いはありませんが、所得税の中に「交際費の範囲」についての規定は設けられていないことから、交際費を定義する時には上記の規定を使うことになる訳です。

個人事業主にとって交際費とは何か?

個人事業主の場合、支出した金額が交際費に該当するかどうか自体が問題となる訳ではありません。その交際費が「必要経費」に該当するかどうかという点が問題となります。

必要経費については、所得税法第37条第1項に「その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額とする。」としています。

交際費だけでなく、売上原価や様々な経費は所得税法の上では、必要経費として取扱われる訳です。

そのため、所得税の税務調査では、法人税法のような交際費に該当するか否かを調査するのではなく、必要経費であるのか、否かという調査を行うことになります。

必要経費としての交際費

必要経費として認められるためには、個人事業主が行う事業に関連する経費であることが必須となります。

事業と関連するということは、得意先や仕入先など事業に関係する者のために支出した経費であることが重要な判断材料になります。

また、支出の動機も、事業を円滑又は有利に進展させるために支出した経費であることが必要です。

その他、事業の内容や取引規模から判断して社会通念上(税務ではよく出てくる用語です。)、妥当な金額であるとともに、妥当な支出回数であることも求められます。

調査官のチェックポイント

税務調査において、まず必要なのは領収書等が必ず存在することです。これがなければ、勝負になりません。支出の妥当性を証明する証拠書類は必ず保存しておいてください。

但し、調査官は、領収書の有無や金額だけを確認している訳ではありません。交際した相手方の氏名、役職や交際した日時、交際の目的などを確認してきます。

領収書等とともに事実関係を記録した書類(交際費等支出明細書など。)を保存するなどしておくと、これらの質問にスムーズに回答することができると思います。
もし、調査官の質問に明確な回答が出来ない場合や疑問に思うような回答の内容の場合、調査は更に深度あるものになっていきます。

深度ある調査とは、交際相手等への反面調査、すなわち、交際した店・施設などに臨場して、交際の有無(そもそも交際接待のの事実があるのか)やどのようなメンバーが参加していたのかなどを確認するとともに、交際相手に対して事実確認を行います。

なぜ交際費は否認されるのか?

よくあるのは、得意先を招待した旅行や観劇に参加していたのが家族であるケースや一人で飲みに行っている飲食費が交際費として必要経費になっているケースです。

このようなケースについては、答弁のしようがないと思われますが、調査官は何か否認できるケースを見つけると、あれもこれも、反面調査もせずに「指摘した支出は、事業に関係のない個人的経費を必要経費にしているのではないか」と畳みかけてきます。

こんな時に「反面調査をやられたら大変だ」「調査が早く終わるなら」など思い、「全部ではないが半分ぐらいはあるかも」と認めてしまうと100%ではないにしても、指摘された金額の80%程度を否認されてしまうことになります。

これが交際費を否認される原因であるともいえます。事実関係の説明をきちんとできる状態にない(記録をしっかりと残していない。)ことが原因とも言えます。あくまでも、事業との関連性を証明できる証拠資料を残した上で、正当性を答弁できる体制が必要であると思います。

まとめ

税務調査を極度に恐れる必要はありません。しかし、調査官から指摘された支出には正確かつ真摯に事実関係を説明する必要があります。

説明が上手くできない方もいらっしゃると思いますが、税理士に事実関係を説明した上で、調査官には税理士から説明するという方法を採ると気持ちが軽くなるのではないでしょうか。

そして、日頃の事実関係の記録を残しておくということが重要であると私は思います。

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中山正幸

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G.S.ブレインズ税理士法人 顧問

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