定着率を上げていくには教える育てる側が、どれだけスタッフに関われるかが大切です。経験上、関わりが強いお店ほど定着率が高く、関わりが弱いお店ほど定着率が低くなる傾向があります。スタッフとどれだけ関われるかです。

スタッフと関わるとなると考えがちなのは、個別面談や店舗ミーティング等です。
個別面談も店舗ミーティングも、スタッフとの関わり＝定着率を上げるには必要なことです。ただ、どうしても時間が掛かりますしスタッフが少ない状態ではできないこともあります。
よく聞くのが「個別面談をした方がよいのはわかっています。ただ人が足りないのでできないのです。」「いろいろな仕事があって個別面談する時間がとれないのです。」等です。
結局個別面談や店舗ミーティングをしないと関わりが弱くなり定着率が低くなってしまうのです。その場合は個別面談や店舗ミーティング以外での関わり方を考えることです。
（図２）

コミュニケーションを取ることはスタッフとの関わりで大切なことです。

落ち着いている時間のスタッフや落ち着いている曜日や時期なら、コミュニケーションは取りやすいです。相手の話を聞いたり、自分のことを伝えたりすることができます。
ところが忙しい時期はコミュニケーションを取ることができません。落ち着いて話を聞くことができないのです。忙しいときほどスタッフに関わらなければならないのですが、それができないのです。

今の状況・環境で何ができるかを考えることです。「時間ができたら」「落ち着いたら」「人が増えれば」といった「たら」「れば」と思っていても何も変わりません。変わらないということは現状と変わることは無いのです。もし、今定着率が低いならばその状況は変わることは無いのです。

忙しくても大変でも、できる関わり方は何でしょうか？それは「感謝の言葉＝ありがとう」を伝えることです。どんなに忙しくても「ありがとう」を伝えることはできます。自分の業務ををしながら「○○さん、ありがとう！」と伝えることです。（図３）

ありがとうという言葉には力があります。ありがとうを言われた方はどう感じるでしょうか？
・私のことを見てくれている。
・私のことを考えてくれている。
と自分のがんばりや仕事をしっかりと見てくれていると感じるのです。人が自分のことを見てくれている、考えてくれているとなると嬉しいのです。

また
・私は役に立っている。
・私は貢献できている。
と感じてもらえるのです。誰かの役に立っている、誰かを喜ばせていると感じた時に、やる気もでてやりがいも感じるのです。（図４）

反対にありがとうが無いと、どんなにがんばっても仕方がない。誰も見てくれていない・考えてくれていないとなったら、やる気もなくなりやりがいも感じないのです。ただ、つらい・キツイ職場になってしまうのです。ですから「ありがとう」という言葉をたくさん伝えることです。

ありがとうを伝える時に特に効果的なのは「①名前＋②動作＋③ありがとう」です。（図５）

例えば「〇〇さん、仕込みしてくれてありがとう。」
「〇〇さん、電話とってくれてありがとう。」
「〇〇さん、いつもいらっしゃいませ言ってくれてありがとう。」
と伝えることです。

名前を呼ぶだけで相手の印象は変わります。私のことを考えてくれていると感じるのです。
さらに動作はあたりまえのことで構いません。仕込みをする、電話にでる、いらっしゃいませを言うのは仕事としてあたりまえです。ですがそのあたりまえのことをしてくれている、あたりまえのことをし続けていることに感謝することが大切なのです。
あたりまえのことをし続けるのは簡単ではないのです。本人がかなり意識してがんばらないといけないのです。ありがとうを伝えることでそのことを分かっていると思ってもらえるのです。

ありがとうを伝え続けると、伝えている自分にも変化が出ます。それは働くスタッフをよくみるようになるのです。視野が広がります。それとともに働くスタッフの良い点＝がんばっていることに気づくことができるのです。また、ありがとうを伝え続けていると、働くスタッフからもありがとうが増えます。お店がありがとうであふれるのです。
ありがとうがあふれるお店は定着率が高いのです。（図６）