2022.09.22
マーケット縮小時代の経営の進め方
会社は、その規模によって取り組むべき経営のテーマが異なります。 ◆自社の規模を正しく捉える…
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Column
2022.11.04
前回のメルマガでは、管理者における「人としての成長の壁」を解説しました。「人としての成長の壁」が部下育成の大きな阻害要因になるという内容です。少しだけ振り返りましょう。
管理者における「成長の壁」とは、一つに物事を「自分主体」に考えてしまう悪癖のことを指します。この悪癖が部下育成において「自分はこんなに頑張って教えているのに部下はちっとも……」という発想になってしまうのです。
二つ目は、「無意識・感情」が自然に出てしまう悪癖です。思い通りにいかないときに、態度や言葉、表情に出てしまうことです。
三つ目は、過度な「正義感」です。こうあるべきだという気持ちが強く、べき論(こうでないといけないという発想)が先に立ってしまいます。それがゆえに部下への思いやりに欠け、とかく部下に対して否定から入ってしまいます。
この壁が前面に出てしまうと、部下は上司の言葉を素直に聞けない気持ちになり、部下育成はむずかしくなってしまいます。
ではどうするかは、前月のメルマガで具体的に解説していますので、もう一度読んで読者ご自身のことを振り返ってみることをお勧めします。
【1回目】管理者自身の「人としての成長の壁」に着目を!/管理者に残る「人としての成長の壁」1
【2回目】主役は誰か?育てるべき相手=部下である/管理者に残る「人としての成長の壁」2
【3回目】「人としての成長の壁」が部下との関係を壊している!/管理者に残る「人としての成長の壁」3
さて、今月のテーマはもちろん部下育成で、仕事を「やり切らせる」にはどういう指導をしたらよいかという問題です。
実は、このテーマの後半に「壁」というキーワードが出てきます。こちらの壁は「成長の壁」とは真逆の意味があり、皆さんにお勧めしたい「壁」ですから前向きにお読みください。
当然のことですが、上司は仕事を割り振りするときに部下が成果を出せるように指導し、実際の仕事ぶりを見守らなければなりません。そのためにはまず、仕事の割り振り・指示をするときが肝心です。
よく見られるのは、この肝心の指示・指導を軽く考えているケースです。たとえば、「だいたいこんなところだ。まあ、むずかしい仕事じゃないだろう。がんばれよ」などと、杜撰な言い方で済ませてしまうケースが少なくありません。
残念ながら、このタイプの指示では「やり切らせる」のはむずかしいでしょう。したがって「正しい部下育成の技術」の範疇に入りません。やり切るどころか、多くの場合は途中でやってはいけない失敗をしたり、わからなくなって「すみません。私には無理です」と投げ出されたりしてしまいます。
部下に「結果が出るまでやり切らせる」には、技術が必要です。部下が担当する仕事の技術ではありません。「結果が出るまでやり切らせる」上司の育成技術が必要なのです。
管理者が部下を育成していく中で大切なテーマは4点あります。
・部下を行動に導くこと
・その行動の継続が成果につながるということ
・行動の継続とは決めたことをやり切らせるということ
・「振り返り」でさらにレベルアップさせること
今回は、部下に決めたことをやり切らせる技術について説明致します。
技術とは、もともと当人が持っているセンスとか才能とかではありません。技術は、学んで習得すれば誰でもできるようになるものです、逆にいえば、学んで習得しなければ身につけることはできません。あえていえば、一般的に企業に必要なのはセンスや才能ではなく(それが必要な業種もありますが)誰でも身につけることができる「技術」です。
この「部下にやり切らせる技術」で上司がわかっていなければいけないことは部下(相手)の心理・考えです。部下の心理や考え方を上司が理解した上で部下を行動に導いていくことになります。
このときの部下の心理を私は次の6段階に分けています。
1.知ったか
2.理解したか
3.納得したか
4.賛同したか(喜んでやる気になったかどうか)
5.行動したか
6.継続したか(壁にぶつかったときに、乗り切るパワー、意欲、積極的チャレンジ精神が働いたかどうか)
仕事の指示をする時およびプロセスを見守る際には、この6つのキーワードを指標に、部下の状態を把握しておくことが必要になります。
管理者(直属上司)は、決められたこと、与えられた業務を部下にやり切らせるために、部下の心理・考え方をしっかり捉え、その心理・考え方をベースにして、しかるべき方向に導いていくことが大切です。
やり切らせるために、上司がその都度捉えるべき部下の心理・考え方を段階的に示せば、次のような状態に分けられます。
1 知ってるからといって理解しているわけではない
2 理解したからといって納得しているわけではない
3 納得したからといって賛成してるわけではない
4 賛同したからといって行動するわけではない
5 行動したからといって継続するわけではない
上司からすると、なぜやらないのか? なぜ継続できないのか? と首を傾けるときがあるでしょう。この5つの段階を参考にして部下の心理状態をつかんでみたらいかがでしょうか。
上司は部下の心理状態・考え方の状態を理解したうえで、部下を導いていくことが肝要です。それこそが「育成の技術」にほかなりません。先の心理・考え方にそれぞれもう少し解説・アドバイスを加えましょう。
その仕事は何のためにあるのか(目的)、それを実行することでどういう結果(出口)が得られるのか、目的と出口を説明できる状態が理解しているということです。
部下に「質問」というスタンスで考えさせます。そして、「納得したか、腹落ちしたか」ということを確認していきます。
納得したテーマに対し、「では、これで一緒に取り組めますね」と確認をします。
部下はなぜ行動しないのか?
やり方がわからないのです。まず何から始めるか「最初の一歩の踏み出し」がわからないと当然、行動できません。まず一歩の踏み出しを一緒に取り組む、相手によっては二歩・三歩まで一緒に踏み出しましょう。
上司は部下の「壁」となりましょう。ここで冒頭の下りが出てきました。そうです。有能な上司は、自ら部下の「壁」になるのです。
テニスの壁打ちを想定してください。一人の選手が壁に向かってボールを打ちます。すると当然のこと、ボールが返ってきます。
うまく素直なボールで壁の標的にぶつければ、ボールは自分の近くに戻ってきます。素直でないボール、打ちそこないのボールを打てば、自分のところにストレートには戻ってきません。
そこで選手は考えます。「あれ、今どこが悪かったのだろう」と。そして、少し打ち方を工夫して打ってみます。これを繰り返すことによって腕を磨いていくのです。つまり、壁打ちの壁はコーチ役、すなわち壁に向かって打ってくる選手に黙って部下育成の技術を働かせているのです。
たとえば、こんな風に「壁」になることができます。
部下に対して、日々の確認をします。朝2分程度で「昨日どうだった」と。
できていれば、具体的に聞きます。
できていなければその原因を聞き、今日どうするかと問いてみます。
この場合、上司のほうに大事なルールがあります。
叱責しないこと・怒らないことです。そして継続に導き、1週間に一度、一緒に「振り返り」をします。
出来たこと(〇)、もっとこうすれば良かったこと(△)、そして月に一度、一緒に「振り返り」ます。
その結果で、取り組んでいるプロセスを認めるのです。「頑張っているね」と。
結果を出したときには、はっきりと褒めます。「よくやった、素晴らしい」と。
部下は継続し、やり切っていきます。
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