経営に役立つコラム

Column

2019.06.18

責任は負わない「いいからやれ型」のリーダーが会社を潰す!

中堅企業を定年退職したばかりの男性が、ため息交じりこんな話をしていました。「近藤さん、会社の人間関係なんて薄いものですね。辞めたら誰からもメールが来なくなりましたし、年賀状もパタリと来ない。淋しいですよね、ハハハ」

リーダーシップとマネジメントの正しい知識と実践

彼が勤めていた会社、業績は悪くなかったのですが、もともと定着率が悪いうえに近年は人手不足の波に呑まれ、苦戦しているようです。 薄い人間関係。会社の人間関係は、現実的にはそういう状態にあるのが普通なのかもしれません。しかし、私はそれで良しとは思いません。 会社の人間関係は、業績目標を達成するために構築された組織をベースにしています。構築される組織は、会社の規模によって大きく異なりますし、それによって人間関係のあり様もぜん変わっていきます。

たとえば、社員5人とか10人ほどの会社なら、組織は社長と一人ひとりの社員がダイレクトにつながるシンプルな形ですから、人間関係も社長と社員の上下関係か、もしくは社員同士という横のつながりしかありません。このくらいシンプルだと互いのプライベートもよく見えますから、
「お子さんどう?3才だから一番可愛いときだね」などと互いに私生活上の雑談をしますし、ときには社長の家族も呼んで一緒にバーベキューを楽しんだりもすることもあるでしょう。年配の社員が辞めるときには、社員みんなで送別会をしますし、辞めた社員もぶらりと会社に遊びに来ることさえ、普通にあります。したがって、前述の彼のように人間関係の薄さに気づき、思わず嘆いてしまうようなこともないはずです。

人は権限では本心から動かない

会社はホンワカとした温かさが必要だとか、私生活も会社生活も一緒に考えたほうがいいとか、そんな仲良しクラブみたいな人間関係がいい、などとは毛頭思っていません。私が皆さんと一緒に考えたいことは、「リーダーシップとは何か」という問題です。

営業部の管理者であった年配社員が、人間関係の薄さに辞めて初めて気づき、そして嘆くというのは、端的にいえば真の人間関係が構築されないところでリーダーを務めていたのでは、と推測します。管理者と部下たちの間には人としての信頼関係は存在せず、組織的な関係性があるのみです。部下たちの行動は、「上司に言われたから」「指示されたから」「命令だから」が唯一最大の根拠であり、部下たちは実際のところは思考停止しているのです。

このタイプ、営業部門のリーダーにはありがちですし、高度経済成長期などは、どこの会社も、そしてどの部門でも、馬がムチで尻を叩かれように上司に動かされているのが普通でした。ここには、リーダーシップは存在しません。あるのはムチのみです。尻を叩く。動かなければもっと強く叩く。それでも動かなければ、あっさりとクビにする。この一方的な上下関係があったとしても、それを問題視する人は本人も含めてあまりいませんでした。なぜなら、売上も利益も、そして給料もどんどん右肩上がりに増えていったからです。古い歌ですが、「サラリーマンは♪ 気楽な稼業ときたもんだ♪」なんていう歌が大ヒットしたりしていました。自分からは何も考えない。ひたすら上司の命令に従って動いていれば、高い給料をもらえることを揶揄した歌です。

マーケット拡大から縮小の時代へ

時代は変わりました。今は、ムチでは人は動きません。高度経済成長期のおかげで生活は物的に豊かになり、みんなが生きがいや仕事のやりがいを求めるようになったからです。人間本来の姿になってきたのです。となると、人間関係は双方向になってきます。もちろん、組織で動く以上、上下関係はありますが、上下関係という立場の違いがあっても一対一の人間同士の関係も存在するようになりました。リーダーシップは、この人間同士の関係性を一つの方向に向ける。すなわち、ベクトルを合わせ、無限に潜在する人間の力を引き出し、結果をつくり出す。つまり組織の目標を達成する。この流れを創り出すのが、リーダーシップにほかなりません。

リーダーシップは権限ではありません。ひと言でいえば、「人間力」です。「あのリーダーに付いていきたい」「リーダーの役に立ちたい」「あのリーダーなら自分の人生を預けてもいい気がする」……といった心の作用をメンバーの心の中に湧き上がらせる作用です。会社組織ですから当然、結果責任を負います。部門の目標を達成する責任。メンバー(部下)を育てる責任。この二つの責任が最も重大な責任です。二つの責任のどちらにも含まれるのでが、部下が起こした失敗に対する責任です。部下の失敗は部下の責任、部下の功績は上司の功績……といったリーダーがよくいますが、人間力とは真逆に位置づけられるこんなリーダーを放置しておくと、会社は間違いなく潰れます。

マネジメントは、本物リーダーのスキル

人間力といっても、何のスキルも持たない無手勝流では目標達成という結果を創り出すことはできません。人間力だけで会社組織のリーダーを務めるのは、さすがに無理です。ではどういうスキルが必要なのでしょうか。大きな枠組としては3つにまとめられます。以下は、私たち成長支援グループが実践そしてお客様をご支援している研修の骨子です。

リーダーのスキルとしての「マネジメント」とは

①部下育成
②チームづくり
③PDCAを廻すこと

①部下育成(人を育てる)……私たちは、人の成長の全体図をもとに育てる方法を身につける訓練をしています。そのあとは、能力の5ステップによる向上訓練をします。さらに、部下の仕事を公正に評価して個々人のモチベーションを高める人事評価制度の構築と運用と3つの仕組で「人を育てます」。

この部下育成における最終的な出口は「自分で考えて行動できる人財を育てる」ことです。
②チームづくり(縦・横・全体)……互いの信頼関係をベースにした成功循環型のチームをつくる方法を学びます。また、組織運営のルールも、リーダーとメンバーが一緒になって確認する方法を学びます。

そして、結果を創り出すために何よりも大事な「みんなの知恵を集める」仕組
③PDCAを廻す(主にCとA、すなわち振り返り)……PDCAとは、Plan(計画・計画段階からみんなを巻き込む)、Do(みんなで実行)。Check(進捗を評価・コミュニケーションで知恵を集め)、Action(結果が出るまでやりきり、振り返る)のことです。部門のリーダーがこのサイクルを廻すために最も大事ツールが「経営計画書」です。その作成に関与する場合の留意点、およびオーソライズされた「経営計画書」を間違いなく理解するプロセスを学びます。マネジメントのスキルとは、別の言い方をすればマネージャーにおける「リーダーとしての仕事のやり方」です。その基本と具体的なスキルを身につけることは今日の時代のリーダーには絶対に欠かせません、系統立てて学ぶことをお勧めします。

中小企業の成長に不足していることとして

「経営者自身が、リーダーシップとマネージメントの正しい教育を受けておらず、その実践も我流であること」があります。≪規模対応とマネジメント≫について次回説明いたします。

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近藤浩三

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近藤浩三

G.S.ブレインズグループ代表 税理士

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