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2023.05.15
特例事業承継税制の申請期限まであと1年!
そこで今回は、事業承継税制が生まれた背景から、適用・活用するための要件についてお伝えいたします。
ぜひこの機会に制度の内容をご確認いただき、必要に応じて活用を検討されてみてはいかがでしょうか。
事業承継税制とは…
中小企業の後継者が非上場株式を贈与または相続により取得した場合に贈与税・相続税の納税が猶予される制度です。
非上場株式ですので簡単に換金できない財産にも関わらず、多額の贈与税または相続税がかかり、経営に支障をきたすことも想定され円滑に事業承継することが難しくなる問題が過去から多く懸念とされてきました。
そのような状況を打破すべく2009年に事業承継税制は創設されました。しかしながら、当初の制度では、贈与または相続した非上場株式の一部分に対応する税金しか猶予されませんでした。そのため、適用件数も多くはない状況であったため、2018年度の税制改正により10年間の時限立法として事業承継のために後継者が贈与・相続で取得した株式にかかる税額を100%納税猶予できることとなりました。それがいわゆる事業承継税制(特例措置)と呼ばれる制度となります。
最初の適用要件
上述のとおり特例事業承継税制は10年間の限定措置となっております。
納税猶予額も100%ということもあり、要件は多く設定されています(最後に要件について参考までに記載させていただきます)が、適用にあたってまずしなければならないことがございます。
それが「特例承継計画」の提出となります。
どのようなものかと言いますと株式等を承継するまでの期間における事業計画、後継者が株式等を取得した後の5年間の事業計画等を記載した計画で、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けたものをいいます。
事業計画というと仰々しく感じられるかもしれませんが、中小企業庁の記載例を見てもそこまで細かく記載はされておりませんのでご安心ください。
下記がサービス業の記載例となります。
中小企業庁ウェブサイト「法人版事業承継税制(特例措置)の前提となる認定に関する申請手続関係書類」より
こちらは本来であれば、今年の3月末までが確認申請期限となっておりましたが昨年の改正で1年延長され令和6年3月末までが申請期限となりました。
繰り返しになりますが、この「特例承継計画」の確認申請を受けずに令和6年4月1日以後令和9年12月末までに贈与または相続により取得した自社株式については納税猶予の適用は出来ないことになりますのでご注意ください!
まずは検討をしてみてはいかがでしょうか
非上場会社の株式は財産としての評価こそつきますが、自分の好き勝手に換金したりすることもできないので、預金などと同じように税金をかけられたら、かなり辛いと思います。
今でこそM&Aという売却するという一つの事業承継の方法も確立されてきておりますが、同族のまま会社を継続していくとなると自社株式の承継は常に検討が必要な課題だと思います。時間はあまりございませんが、最終的に使うか使わないかの判断は別にしても、皆様にこの制度が馴染むのかという検討はしてもよいと思います。以前ご検討された方も以前の状況と現在の状況が変化されている場合には改めて検討されるのもよいかと思います。
適用にはここに記載したものの他、要件も細かく存在しますので、ご検討の際はお気軽にご相談ください。
(参考)事業承継税制を活用するための要件
事業承継税制は本来は納税しなければならない税金を猶予しておりますので厳格な要件が定められています。ご参考までに相続税・贈与税の要件を記載していきます。
1.先代経営者要件
①会社の代表者であった
②相続開始または贈与の直前に、現経営者一族などで総議決権数の過半数を保有しており、筆頭株主であった
(贈与の場合)贈与時に代表者を退任している(役員として残ることは可能です)
2.後継者要件
①相続または贈与時、後継者と後継者親族などで総議決権数の過半数を保有する
②後継者が1人なら、最も多くの議決権数を保有する。後継者が2人または3人なら、総議決権数の10%以上の議決権数を保有し、後継者と特別の関係がある者の中で最も多くの議決権数を保有する。
(贈与の場合)贈与時に18歳以上で、贈与の直前で3年以上役員であり、代表者である。
(相続の場合)相続開始の直前に役員であり、相続開始から5ヵ月後に代表者である。
3.自社要件
①中小企業者であること
②従業員が1人以上いること
③上場会社、風俗営業会社ではないこと
④資産管理会社等に該当しないこと
4.事業承継税制開始後要件
<5年間>
①後継者が会社の代表者で筆頭株主であること
②後継者が猶予対象株式を継続保有していること
③雇用の8割以上を5年間平均で維持すること(ダメでも助言を受けて報告書を提出すればOK。)
<5年経過後>
後継者が猶予対象株式を継続保有していること。
5.上記の要件を満たしていても取り消されてしまう注意点
事業承継税制では、納税が猶予されてからも重要です。納税猶予期間中に取り消し事由に該当すれば、猶予された税額と利子を納付しなければなりません。途中で打ち切られてしまうケースのうち、代表的なものを下記にピックアップしました。
①後継者が代表者を退任した(精神障害や身体障害、要介護などやむを得ない状況を除く)
②同族の議決権数が過半数以下になった
③後継者の同族関係者が後継者より多くの議決権数を保有することになった
④納税猶予対象株式を譲渡した
⑤総収入金額がゼロになった
⑥資本金や準備金が減少した
取り消し事由は相続・贈与ともに20項目以上あります。くれぐれも取り消し事由に該当することがないように注意が必要です。
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