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2026.10.05

従業員分と役員分の退職金を一括支給する場合

従業員分と役員分の退職金を一括支給する場合
従業員から役員へ昇格した社員の退職金には、昇格時に清算する「打切り支給」のほか、最終退任時まで支給を繰り延べる方法があります。
退任時に従業員分と役員分を一括支給する場合、勤続期間の重複計算や短期役員に対する課税ルールなど、税額計算で留意すべきポイントが存在します。
本記事では、国税庁の公表事例をもとに、一括支給する際の退職所得控除や税額の具体的な計算手順を整理します。あわせて、源泉徴収票の摘要欄への記載事項をお伝えします。

従業員・役員の退職金を一緒に支払う場合

従業員が役員に昇格した場合、昇格した方の従業員分の退職金については、次の2つの取扱いが考えられます。

① 役員就任時に従業員分の退職金を精算し、支給する方法(打切り支給)

② 役員を退任する時まで、従業員分の退職金支給を繰り延べる方法

国税庁HPに、②の源泉税計算の一例が掲載されています。確認してみましょう。

<事例>
令和7年3月31日、A氏は、役員として勤務していたB社を退職し、退職金3,500万円が支給された(内訳:従業員分2,500万円、役員分1,000万円)。

<A氏のB社での経歴>
勤続期間………H13.4~R7.3(24年間)
従業員として…H13.4~R5.3(22年間)
役員として……R3.4~R7.3(4年間)
※ R3.4~R5.3(2年間)は、使用人兼務役員として勤務(重複期間)

この事例では、①役員の勤続年数が5年以下であるため、役員分の退職所得は1/2を乗じないこと、②役員と従業員の勤務の重複期間は、役員側の控除を「20万円×重複期間」で計算することがポイントです。

退職所得の計算手順をチェック!

まず、A氏のトータルの勤続期間(24年)の退職所得控除額を計算します(A)。

800万円+70万円×(24年-20年)=1,080万円

次に役員分(4年)の控除を求めます(B)。

(重複していない期間)40万円×2年+(重複期間)20万円×2年=120万円

従業員分の控除額は、AからBを控除した残額960万円(1,080万円-120万円)となり、まとめると次表のとおりとなります。

収入金額控除額差引金額
役員分1,000万円120万円880万円
従業員分2,500万円960万円1,540万円
合計3,500万円1,080万円―

退職所得は、従業員分のみ1/2を乗じて1,650万円(役員分880万円+従業員分1,540万円×1/2)と計算されます。

退職所得の源泉徴収票に記載する事項

これに速算表等を適用し、源泉徴収税額399万1,089円、特別徴収税額165万円を算出します。
なお、退職所得の源泉徴収票の「摘要欄」には、①役員分の支給額、②役員としての勤続年数、③重複勤続年数などを記入しますので、注意しましょう。

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