経営に役立つコラム

Column

2022.02.16

管理職が担っている部下育成の5大要素【その3・人を育てる技術⑥-「観る」技術2】

1.知る ⇒ 2.聴く ⇒ 3.「観る」 ⇒ 4.認める・褒める ⇒ 5.伝える・考えさせる ⇒ 6.任せる
 ⇒「自律人財の育成」

育てるために「観る」

昨年末・12月のコラムで私は、管理者が部下を「観る」というのは、目的を持って部下に目を向け、観察し、相手(部下)の成長ぶりをつかむことであると強調しました。

管理職が担っている部下育成の5大要素【その3・人を育てる技術⑤-「観る」技術】

振り返りのために、ここで私たちが発信している「部下育成の5つのテーマ」を確認しておきましょう。次の通りです。
① ルールを守りきらせる 
② 実務の「型」をチェックし、実行管理(PDCA)をする
③ 人を育てる技術
④ 人を動かす技術
⑤ 技術を支える人間力

このうち現在、解説を進めているのが「③人を育てる技術」です。この部下育成の出口は「自ら考え行動できる自律人財」ですが、なぜ部下を「自律人財」に育てなければならないのでしょうか。

部下の成長を担っているのは直属上司です。担っているのですから、その部下がどれだけ成長しているのかを把握していなければなりません。

会社の中で社長や担当役員などに聞かれることがあると思います。
「どうかなあ、○○さんは?」
この軽い質問に、ともするとこんな回答をしてしまうことがないでしょうか。
「いやあ、むずかしいですね。最近の若者はよくわかりません。何を考えているのか……」

この会話、よくあると思いますが、聞いた社長のほうはがっかりするでしょう。社長や役員が真剣に期待し、「将来のわが社を担ってもらいたい」くらいの思いをもって採用したのですから。

その期待の意味は実に大きいのです。社長や役員など経営陣は、「マーケット縮小」という言葉を使わないとしても、コロナ禍を含めて会社経営が時代の変わり目に来ていることを肌で感じています。言葉を換えれば、自社の行く末に危機感を抱いているのです。「このままではわが社は続かないのでは……」などと。

それを理解せず、のんきに若者批判していると、「この管理者では・・・」というレッテルを貼られることでしょう。

部下一人ひとりに関心を持っているかどうか

では、管理者はどのようにして部下一人ひとりを「自律人財」に育てていけばよいのでしょうか。

この連載ですでに伝えてきたように、第1段階が、相手(部下一人ひとり)を「知る」ことでした。わが社を選んだ理由は何か、彼の強みは何か、弱みは何か、等々のことを具体的に「知る」ことが出発です(昨年10月の経営コラム参照)。

管理職が担っている部下育成の5大要素【その3・人を育てる技術③】

①知る→②聴く→③観る→④認める・ほめる→⑤伝える・考えさせる→⑥任せる⇒「自律人財」

①知る対象は、会社が管理者に育成を託した若手の部下です。
管理者は、育成対象の相手である部下の何を知っておかなければならないのでしょうか。これも前回の最後に、7項目に分けて指摘しました。大事なことなのでもう一度お伝えします。

必要な要素をある程度知ったら、第2段階の「聴く」というアクションに移ります(昨年11月の経営コラム参照)。

管理職が担っている部下育成の5大要素【その3・人を育てる技術④-「聴く」技術】

すでに何度も強調しておりますが、管理者が育てなければならない部下は「自ら考え行動できる人財」、言葉を換えれば「自律した人財」です。この重大な役割をぜひ脳裏に焼き付けていただきたいと思います。
なぜ、この役割をたびたび強調しているかといえば、本来あるべき対応とは真逆のことをしている管理者が多いからです。真逆の対応をしていれば、真逆の結果になります。要するに、いつまで経っても自律できない部下、自ら考えずに上司の指示を待つ部下、仕事の進行に詰まってしまうと上司や先輩の指示・アドバイスに頼る部下……こういう部下ばかりの組織になってしまいます。

育てるべき部下一人ひとりの考え方や行動を具体的に聴くわけですが、あくまで部下本人の考え方や行動を自ら話すことが大事なポイントです。忘れないでほしいのは、単に「聞く」のではなく、より積極的に部下の考え方等を「聴く」ことです。何も聴かず、「いいからやれ!」は最悪です。

そして「聴く」の次が、昨年12月に一部分をお伝えした「観る」段階です。

管理職が担っている部下育成の5大要素【その3・人を育てる技術⑤-「観る」技術】

振り返りのために、ここで私たちが発信している「部下育成の5つのテーマ」を確認しておきましょう。次の通りです。
① ルールを守りきらせる 
② 実務の「型」をチェックし、実行管理(PDCA)をする
③ 人を育てる技術
④ 人を動かす技術
⑤ 技術を支える人間力

このうち現在、解説を進めているのが「③人を育てる技術」です。この部下育成の出口は「自ら考え行動できる自律人財」ですが、なぜ部下を「自律人財」に育てなければならないのでしょうか。

この「観る」を「監視」と捉える管理者が未だにいるのですが、「監視」ではなく自律人財に育てるためにしっかり部下の行動に高い関心を持って「観る」のです。

目的を持って観る、すなわち視覚に入れる(見る)だけではなく、「自律人財」に育てる目的を持って目を向け、しっかりと観察し、相手を理解することです。

ベーシックな「観る」としては、身だしなみ、仕事をしている時の態度や表情、あるいは言葉づかいなどがあげられます。

ここで注意していただきたいことは、いきなり「そんな態度じゃダメだ!」と頭ごなしに否定するやり方です。こういう伝え方は、もはや通用しません。自律人財とは程遠い「受け身で消極的」な部下に育っていきます。

社員として通用すると判断して採用したのですから、当たり前のことでもできている面もあるはずです。その当たり前をまず先に認めて、その次に不足している(何が足りないか、できていないか?)部分に気付かせるという伝え方が大切なのです。

私たちG.S.ブレインズグループでは、×(バツ、できていない)から入るのではなく、部下を指導するときには、〇(マル、当たり前でもできている面)から入ることが必須となります。

たとえば、次のような指導の仕方です ≪〇から入り、不足に気付かせ、導く≫ ⇒「○○さんは、毎朝元気な声で挨拶していますね。それでみんなが明るく元気になりやる気を出しているんですよ。ただ、今のように取引先と話す場合どうですか?(質問-不足に気付かせる)、そして答えを聞いてから、「・・・・なんだか自信がないように話すときがありますね」。「どう思いますか?(質問)」答えを聞いてから 「・・・そうですね、相手が心配してしまいますからね。どこでも、どういう場面でも朝のように元気な挨拶をすると良いですね」

ちなみに、マルから入るというのは、私たちが皆さんにお勧めしている「成長の三要素経営」の大事な柱の一つです。

オンラインの場合も身だしなみは大切

なお、身だしなみについて、「テレワークしている場合、オンライン・ミーティングや商談の場合、服装をどうすべきですか?」という質問を受けたので、私たちの考え方をお伝えしておきましょう。

社内のミーティングの場合は、ラフな格好でいいと思います。そのほうがお互いにリラックスでき、会社では聞けなかった積極的な意見やグッドアイディアが自然に出てくるのではないでしょうか。

一方、お客様への営業や商談をオンラインで行う場合にラフスタイルで話すのはお勧めできません。通常と同じように、男性の場合はワイシャツとネクタイというのは必須でしょう。

女性の場合も、会社に出てくる時と同じように、ビジネスパーソンとしてのマナーを守った服装をしていたほうがベターだと思います。(但しお客様の考えに合わせることも大切)

社内ミーティングの場合は、前述したようにラフなスタイルのほうがグッドアイディアが出てきやすいというメリットを期待できますが、お客様への営業や取引先との商談、打ち合わせ等をオンラインで行う場合は「なんだこいつは。失礼じゃないか」と思うほうが多いかもしれません。

このように、ビジネスパーソンとして様々なシーンでの身だしなみや態度、表情などを指摘するのは、やはり直属の上司です。指摘すべきははっきりと指摘する必要があります。もちろん、この場合もマルから入る工夫をしなければなりません。

日報は振り返りの大切なツール

ところで、直属上司が「観る」うえで非常に役立つツールがあります。「日報」または「週報」等です。これは部下育成の必須のツールです。

日報・週報等は、部下本人が業務の「振り返り」の報告「その業務で出来たこと、もっとこうすれば良かったこと」を書くのですから、直属上司にとっては育てるための格好のツールになります。特に、今日のようにテレワークやオンライン・ミーティングが広がってくると、どんな業種でも「部下を育てる」目的には非常に役に立つツールです。特にテレワークしている会社では、必須のツールになるでしょう。

テレワークを採用している会社でも、日報・週報は個々人の自分の行動を「振り返る」うえで格好のツールといえます。自分の行動を自分自身で振り返り、直属上司にチェックしてもらい、どんな形でも指導してもらえるのですから、自分自身の成長ぶりを自分自身でつかむことが出来ます。(成長実感)

上司は当然、コメントするわけですが、そのコメントによって部下の意識も変わりますし、実務上の教えを乞うことにもなります。

この日報・週報等による毎日の、あるいは毎週の「振り返り」ついては、まだ機会を改めて詳しく説明します。

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G.S.ブレインズグループ代表 税理士

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