経営に役立つコラム

Column

2020.10.19

こうして「ピンチをチャンスに」変えていく【Part3】

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緊急特別編「コロナ危機を乗り越える」第4回をお届けします。

前回までに、中小企業の皆様が直面しているコロナ危機というピンチを「どのようにチャンスに変えていくか」の基本的な考え方を示してきました。今後の企業経営にとって非常に重要なことなので、少しだけ振り返りましょう。

コロナ危機について最も大事な受け止めは、「コロナ危機は、マーケット縮小の時代の中で起きている」ということです。「マーケット縮小」というキーワードは、ご承知のように私たち成長支援グループが10数年前から声を大にして皆さんに伝え続けている中核のテーマです。「マーケット縮小」と「コロナ危機」は無関係のように捉えている方がほとんどだと思いますが、実は大いに関係があります。

端的にいえば、マーケットの縮小は、すべての企業に生産性と付加価値の飛躍的な向上を強いています。生産性と付加価値の向上を実現しなければ、企業はマーケット縮小時代を生き抜くことは到底できません。

国(厚生労働省)は、この必然の流れを早くから見通し、「働き方改革」というキーワードですべての企業に生産性の向上を促してきました。2018年に公布され、2019年4月1日から順次施行されている「働き方改革関連法」は、一人ひとりの働き方をドラスティックに変えていくことにより、労働人口減少(すなわちマーケット縮小)による経済の停滞・縮小を防ぎ、日本の経済成長を持続させていくことを意図しています。

私たち成長支援グループは、「働き方改革」という言葉が出始めた頃から、そのことの意図する真の狙いを「マーケット縮小」にリンクさせて認識し、「生産性と付加価値の向上」をより強く説いてきました。
コロナ危機は、そんな状況の中で突然、世界中に襲いかかってきたのです。日本においては、コロナ危機によってマーケット縮小に対する企業改革の猶予はいっぺんになくなりました。マーケット縮小の本格的な流れの中で、どう生産性を上げるのか、どう収益力を高めていくのか。この課題への対応は、待ったなしになったのです。では、「何をどうすればよいのか」という問いに対する具体的な方策、経営戦略については、今回以降、順次示していきたいと思います。

テレワークとリモート営業の大いなる利点

前回の後半に、DX(Digital transformation=デジタル技術を駆使するイノベーション)について触れました。このDXこそドラスティックに生産性を上げるキーワードにほかなりません。取組みは、デジタル化(脱はんこ・ペーパーレス含む)・クラウド化・リモート化からとなります。

菅首相の肝入り政策であるデジタル庁の新設は、コロナ危機に対する俄か政策ではなく、労働人口の減少など我が国の行き先を長期的に睨んだ必須の政策です。菅首相は「新しい成長戦略の柱として、わが国の社会経済活動を大転換する改革」と言っています。この「わが国の社会経済を大転換する」というフレーズをぜひ頭に刷り込んで下さい。

ではDXによって中小企業の現場がどのように変わっていくのでしょうか、どういうメリットが生まれるのでしょうか。その一つの例として、営業活動がどう変わるかを見ていきましょう。

たとえばBtoB営業の場合を想定します。従来の対面による訪問営業では、上司はもとより仕事が関連する社員や他部門ともコンタクトをとらなければならない面が多々あります。もちろん、訪問する相手側企業との調整もあります。手ぶらでプレゼンテーションするわけにもいかないので、パワーポイントなどを使って相手にわかりやすい資料を作ります。それを印刷して上司に見てもらいますが、すぐに見てはくれません。すると担当者は、机の上に置きっ放しになっている資料を目にして内心イライラします。ほかの仕事をやればいいとはいっても、大事な訪問営業になればなるほど戻ってくるまで気になり、他の仕事は手につきません。

そして戻ってくれば、たくさんのチェックが入り、修正に膨大な時間をかけて再提出します。するとまた、机の上に置きっ放しになっています。会議や出張でなかなか見てくれないです。すなわち、「よし!」のハンコをなかなか押してくれないという具合になります。やっとハンコを押してもらって訪問しますが、相手方企業は近くにある例はほとんどありません。電車に乗ったり、営業用の社用車を使ったりして時間をかけて相手方に向かいます。場合によっては、新幹線や飛行機を使って出張訪問になるケースも多々あります。宿泊するケースもあるでしょう。こう書いていくと、対面営業はなんと効率が悪いことか、あらためて感じてしまいます。生産性の飛躍的な向上は、とても望めません。

リモート営業の場合はどうでしょうか。交通費はもちろん不要ですし、時間もかかりません。遠方であっても、旅費や宿泊費用は不要です。相手企業がどこにあろうとも、時間も費用もかかりません。商談の経過や話の中身が気になる上司は、同時にリモート参加し、時には話の軌道修正や補足説明などもできます。どこにいても、できます。商談終了後は、上司と担当者で振り返ることができますし、関連する他部門も同時進行でリモート参加していれば、一挙に情報共有ができます。
効果的ならば、社外の専門家や既存の顧客企業にも同時参加してもらい、参考意見を言ってもらうこともできます。

リモート営業は、時間と距離のカベを取り払い、いつでも、どこでも、効果的な商談ができるのです。そのことによって生まれる生産性向上の多寡は予想をはるかに超えるケースも少なからずあります。まさに「成長戦略の大きな柱」として企業活動を劇的に変えていくはずです。

再生動画の振り返りで変わるマネジメント

リモート・コミュニケーションには営業活動だけではなく、多くの活動シーンでメリットを生み出します。

私たちが皆さんに強くお勧めしているシーンの一つに、「上司と部下のコミュニケーション」があります。以前にも触れたことがありますが(こうして「ピンチをチャンスに」変えていく!Part1)、私たち成長支援グループは、「上司と部下のコミュニケーションはリモートのほうが集中して濃い話ができ、非常に効果がある」という結論を導き出しています。

リモートのほうが、人間関係の余計な配慮をすることなく、また余計な雑談をすることもなく、ことさら上下関係を過剰に意識することなく、必要な中身のコミュニケーションができるのです。とても大事な「コミュニケーションの振り返り」も容易にできます。この点は非常に大きなメリットになります。

リモート・コミュニケーションは、「動画化が可能」でいつでも再生(クラウド環境)できるので、本人の言動や態度、相手の様子などがよくわかります。上司側の言動においては、上から目線で一方的に話をしている様子が手にとるようにわかることでしょう。部下のほうも、自分の不足している部分がはっきり見えてきます。日々の言動の振り返りがいかに大事かが、手に取るようにわかります。

リモート・コミュニケーションについてはほかにもメリットがたくさんあります。「わが社の活動を大転換する」という覚悟でぜひ導入していただきたいと思います。導入し、フル活用すれば、生産性が間違いなく向上し、収益がみるみる上がっていきます。

ただし、私たちはリアルな対面、フェイス・トウ・フェイスの人間関係を軽視しているわけではありません。
ここで一つだけ示しておきましょう。私たち成長支援グループには、「良い人間関係をつくる~7つの約束~」というファイルがあります。7つとは、以下のことです。人と人との関係づくりの基本となる「礼節」のルールです。デジタル化の中で変わることと、変わらないこと、「礼節」は人を育てる上において、絶対に変わらないテーマです。

あいさつ:あいての目を見て、あいてに体を向けていつでも、さきに。

ねぎらい:働く仲間(上司・先輩・同僚・後輩)の頑張りを認め、言葉をかけましょう。「お疲れ様です」「頑張っていますね」「助かります」

感  謝:どんなに些細なことでも相手への感謝の気持ちを忘れずに、「ありがとう」を伝えましょう。

返  事:呼ばれたら元気よく、大きな声で「ハイ!」と返事をしましょう。

笑  顔:笑顔は仲間・お客様に好感を与え、ファンを増やします。

さんづけ:仲間の名前を呼ぶ時は「さん付け」で呼びましょう。

否定しない:相手の話を聞くとき、否定しないで、先ず聴くという姿勢をとります。

7つの約束を、自ら率先して取り組む。弊社の行動指針の一つです。

次回は、オンライン時代の「脱はんこ・ペーパーレス」について、中小企業はどうなのか、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

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近藤浩三

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近藤浩三

G.S.ブレインズグループ代表 税理士

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