経営に役立つコラム

Column

2021.03.16

コロナ対策に学び、事業承継の本格的な取り組みへ

コロナ危機の出口が未だ見えず、人々の不安や焦りは増幅するばかりです。とりわけ緊急事態宣言が再び延長された首都圏1都3県で働く人や中小企業経営者たちにとっては、経験のない厳しい日々が続くことになります。

コロナ危機が中小企業のあるべき方向性を示した

ため息交じりに「早く元に戻ってほしい」と吐き出す声もよく聞かれます。気持ちは痛いほどわかります。ただ私たちG.S.ブレインズグループの面々からは「戻ってほしい」という声は聞こえてきません。

明確な理由があります。「すべてがコロナ危機以前に戻ることはあり得ない」という確信を持っているからです。もちろん、私も同じ思いを持っています。私たちはこう考えているのです。「コロナ危機によって変わったことのすべてが元に戻ることはない。戻るとしても7割程度で、3割はコロナ対策として始めたことがそのまま、いや、さらに発展系で残るはずだ。それは私たちビジネスパーソンにとって決してネガティブな環境ではなく、むしろ歓迎すべき変化になるのではないか」と。

ではなぜ、「歓迎すべき変化」なのでしょうか。

結論を先にいえば、3割の変化は私たちが10数年前から声高に叫んでいた「マーケット縮小」に対する中小企業のあるべき方向性に合致するからです。そしてこの方向性は、2018年の中小企業庁長官「年頭所感」に明瞭に示されているのです。この年頭所感は、中小企業の舵取りをする経営者の方々にとってとても大事な内容を含んでいます。年頭所感は中小企業庁の公式サイトで検索できますので、ぜひお読みになってください。歴年の年頭所感を読むこともできます。2018年の年頭所感を掻い摘まんで示すならば、次の3点に要約できます。

①中小企業および小規模事業者の円滑な事業承継に向けて集中支援を行う

②中小企業の生産性を抜本的に高めていくために設備投資支援、IT活用 支援を抜本的に拡大する

③「一億総活躍社会」実現のために、雇用の7割を占める中小企業および小規模事業者の支援体制(環境整備、マッチング、人材の育成等)を構築する。

国が中小企業政策を重視する背景

この年頭所感の考え方と骨組みは、その後の年頭所感にも踏襲され、具体的な政策に反映されています。中小企業庁が3年前にこれらの政策の方向性を強いメッセージで示したことには、はっきりした背景があります。重要なのは、次の2点です。

・現状を放置していると、中小企業や小規模事業者の廃業等により2025年までに累計650万人の雇用が失われる。

・GDPは、およそ22兆円減少する。

500万人を大きく超える雇用が消滅し、GDPが大幅に減少するとなれば、経済大国と言われてきた国際的な地位も必然的に大きく落ちてしまいます。もし、国が何も手を打たず、またそれに連動して当の中小企業や小規模事業者も危機感ないまま現状を続けているとしたら、少子高齢化と生産人口の減少も相まって国全体の人的エネルギーは大幅に縮小してしまいます。

国は、こうなることだけは避けなければならないと躍起になっているのです。私たちのグループも実は躍起になっています。10数年前から「このマーケット縮小に対する経営戦略を講じなければ、どれだけの中小企業が倒産や廃業で消滅していくか。そのことによって、どれだけの人々が不幸のどん底に落ちるかわからない。もはや放置などとてもできない」とアピールしてきました。G.S.ブレインズグループを立ち上げたのも、その思いを具体的な行動に移すためであることは、すでにお伝えしてきたところです。

最大の課題は生産性の抜本的向上と事業承継

2018年の年頭所感に戻りましょう。私たちがもはや切迫した状況にあると思うのは、①と②の問題、すなわち待ったなしの事業承継と生産性の抜本的向上に中小企業や小規模事業者が本格的な取り組みをしなければ生き残れない状況にあるという問題です。

先に、生産性の抜本的向上について考えましょう。コロナ危機によって、多くの企業がテレワークやオンライン会議、あるいはオンライン商談の方向性に着手し、そのメリットを享受しつつ一定の効果も上がってきています。このことによって、集中型ビジネスはオンライン化・少人数化によって、低コストおよびリスクの分散型に変わっていきました。会議や商談はオンラインのほうが効率が上がり、成果を得ることも多くの企業が経験しました。また、飲食などの店舗系ビジネスがお客様に非接触型でサービスや商品を提供することが可能になり、お客様も歓迎することがわかり、大きなコスト減の方向性を新たに獲得しました。

一方では、店舗系ビジネスがコロナ対策をきめ細かく施してきたことによって、「QSC」(クオリティー、サービス、クレンリネス)のレベルが一段上がりました。QSCの重要さも再確認できました。特に、「クレンリネス」について多くのことを学んだと思います。これはすなわち、「顧客化を継続するための取り組み」にほかならず大きな成果になるはずです。

私たちはこうしたコロナ対策の振返りが確実に自社の顧客化につながっていくものと確信を持っています。言葉を換えれば、振返りは「復活の準備」にほかならないのです。

一方、事業承継はまさしく待ったなしです。中小企業庁が作成した「経営者のための事業承継マニュアル」(これも公式サイトでの検索・熟読が可能です)によると、60歳以上の経営者の半数が「廃業を予定している」と考えているとのことです。その理由で多いのは、「当初から自分の代で辞めようと思っていた」と「事業に将来性がない」(両方で66%を占める)ですが、その次に多いのは、「子供に継ぐ意思がない」「子供がいない」「適当な後継者が見つからない」といった理由です。私がもったいないと思うのは、後半の理由です。

実績のあるせっかくの経営資源を無にしてしまい、雇用もゼロにするというのは実に持ったいない話なのです。私たちは、この「もったいない」は活かさなければならないと考えています。その一つの方法がM&Aによる事業承継です。それはどういう方法なのか、どういうメリットがあるのかは、稿を改めてお伝えしたいと思います。

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近藤浩三

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近藤浩三

G.S.ブレインズグループ代表 税理士

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