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2022.11.24

【相続と認知症】被相続人や相続人が認知症だとどうなる?対策法は?

現在、認知症の患者数は年々増加傾向にあります。2025年度においては高齢者の約20%のおよそ730万人が発症していると想定されています。

相続が発生した場合、認知症の人が相続人にいたり、亡くなった方が認知症だったりということがあります。いろいろな契約や手続きは、当事者に「意思・判断能力」が備わっていなければ有効に成立しませんが、認知症はその「意思・判断能力」を喪失してしまい、契約や手続きに深刻な影響を与えます。

相続の対策として主に親族間で争う相続を防止する「争族対策」、相続税を減少する「節税対策」、相続税の納税資金を確保する「納税資金対策」を生前対策として挙げられていることが多いですが、今後はこれらに加えて円満な相続のためにも、認知症リスクに備えた「認知症対策」を行うことも重要です。

そこで今回は認知症と相続についてリスクや対策の代表例をお伝えしようと思います。

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被相続人や相続人が認知症だった場合のリスク

認知症の発症リスクは、被相続人にも相続人にもありますが下記のようなことが想定されます。

亡くなった方が認知症だった場合

遺言が作成されている場合、その遺言の作成当時に判断能力があったか否かで無効になったり、生前贈与についても生前贈与の時点で贈与の意思表示の能力があったか否かで無効になったりと、争族に発展する危険性があります。

相続人に認知症の方がいる場合

相続人が認知症の場合、遺産分割協議に参加は出来ません。
相続分について、誰がどの財産を取得するかを決めるのが遺産分割協議であり、相続人全員での合意が必要となります。従って、判断能力がない認知症の方は参加することも出来ず、その方を外して協議することも出来ません
更に相続放棄も出来ません。結果、成年後見人を選定しなければ協議が出来ないことになります。

認知症対策の代表例

認知症対策については、「認知症発症後」と「亡くなった後」の両方の対策が必要となります。

遺言書

遺言は、すべての財産について、承継先を決めることができる方法です。つまり、「亡くなった後」の対策の代表例となります。
そのため、「遺言書」を作る時も「元気な時に」が重要です。高齢になってきた場合に、医者から判断能力があるとする診断書をもらっておくのも安心です。遺言は亡くなったあとで効力が生じますので、無用なトラブルを避けるためにも「元気な時に」遺言書の作成をお勧めします。

成年後見制度(任意後見制度)

成年後見制度は財産管理の方法となり、「認知症発症後」の対策の代表例となります。

成年後見制度には「任意後見」と「法定後見」の2種類があり、認知症リスクに備えてあらかじめ後見人を指定するのが「任意後見制度」です。すでに認知症になっている場合は「法定後見制度」しか選択できず、家庭裁判所が後見人を選任します。

後見人の職務は認知症になった方(被後見人)の身上監護ですが、具体的には銀行手続きや介護保険契約、入院手続きなどの契約行為を代行します。また、被後見人の財産は家庭裁判所の管理下に置かれるため、投資や生前贈与はできなくなり、被後見人にとって必要なければ不動産売却もできません。

ちなみに、成年後見制度の利用目的は預貯金管理が圧倒的に多く、次に身上監護となっています。

家族信託

家族信託は民事信託をベースにしており、以下の三者で成り立つ仕組みです。

一部財産について承継先を決めることが出来、かつ、財産管理も可能な手法となります。すなわち、「認知症発症後」と「亡くなった後」の両方の対策が可能となります。

委託者 財産を預ける(託す)人
受託者 財産を預かって(託されて)管理・運用する人
受益者 財産から生じる利益を得る人

財産を託された方は、信託の目的(例えば、「委託者(財産を預ける方)の老後生活の安定を図るため、日常生活や介護等に必要な資金の管理及び給付を行う目的」)の範囲内で、託された財産の管理・処分を行うことができるようになります。

家族信託を設定しておくことで、認知症になっても財産管理、相続開始後における円滑な資産の承継を行うことが可能です。

委託者と受益者は同一人になることが多く、わかりやすい導入例にはアパートやマンションなどの賃貸経営があります。オーナーである親が委託者となり、子供を受託者にして管理や運用を任せ、家賃収入は親が受け取るという仕組みです。受託者である子供に管理権を移しているため、親が認知症になっても賃貸借契約が可能であり、土地や建物の売買含めた凍結リスクを回避できます。

参考:相続人が認知症の場合の対策

生前に遺言を作成して認知症である相続⼈に財産を承継しないようにしたり、家族信託をして承継先を定めておいて遺産分割協議を回避させておくのも一案となります。

また、遺言の場合は「遺言執行者」の選任は必須となります。「遺言執行者」さえ選任しておけば、認知症の相続人に意思能力がなく自分で相続手続きが出来ない場合でも、代わりに「遺言執行者」が名義変更等の手続きは可能となりますので、遺言を作成する際には忘れずに選任しましょう。

相続税のことだけでなく、認知症の観点からも考えてみませんか?

認知症のことを考えると、対策としては認知症になるまでが期限となります。
ご家族のみなさんが認知症になる前に、早目に相続について話し合いの場を設けておくことをお薦めします。

各制度のメリット・デメリットを考慮して総合的な対策を講じることが望ましいでしょう。
その上で、相続税対策を行うこともより良いと考えます。
相続にかかるご不明な点やご不安な点がございましたら、是非、弊社担当者までお気軽にご連絡ください。

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そして、手続きによっては期限があるものもございます。
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