経営に役立つコラム

Column

2024.09.18

【国民皆確定申告】年末調整廃止の可能性を考える

【国民皆確定申告】年末調整廃止の可能性を考える
自民党総裁選に出馬する河野太郎デジタル相が公約として掲げる「年末調整廃止」および「全国民が確定申告」が議論を呼んでいます。

現時点では決定事項ではないものの、年末調整廃止の実現可能性について考えてみましょう。

マイナポータル連携が大前提?

年末調整を廃止し、全国民が確定申告を行う場合には、確定申告手続きの簡略化が必要不可欠であり、そのためには「マイナポータル連携」の拡大がカギとなると考えられます。

マイナポータル連携とは、マイナンバーカードを通じて、確定申告に必要な収入(給与や公的年金など)や控除(生命保険やふるさと納税など)に関するデータを取得し、確定申告書の該当箇所に自動入力する機能です。

『証明書等のデータを一括取得し、自動入力できます。一度ご利用いただければ、そのメリットを実感!』

(引用)国税庁「令和5年分確定申告特集」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/mynaportal-jidou/

令和6年1月以降の対象

収入関係

◎NEW!給与所得の源泉徴収票

◎公的年金等の源泉徴収票

◎株式の特定口座

控除関係

◎医療費・ふるさと納税

◎生命保険・地震保険

◎社会保険(国民年金保険料、NEW!国民年金基金掛金)

◎NEW!iDeCo・NEW!小規模企業共済掛金

◎住宅ローン控除関係

このような連携機能や自動入力機能を活用することで、納税者が誰でも簡単にスマホから確定申告できる未来に近づけるかもしれません。

年末調整廃止には課題が山積か

デジタル化を促進することで確定申告のハードルは下がるものの、「国民皆確定申告」を実現するには、以下のような課題を解消する必要があると考えられます。

☑デジタル化が難しい人への対応

☑税務署の事務負担軽減のための取組み

☑シンプルな税制の実現

特に近年複雑さを増す税制は大きな課題となるでしょう。
いくらデジタル化によって自動化できるとはいえ、所得要件や有利不利の判断など、税制への理解が求められる場面は少なくありません。

そもそも複雑な税制こそが年末調整業務の負担増の一因となっているため、年末調整を廃止するか否かにかかわらず、シンプルな税制を追求することが大きな一歩となるのではないでしょうか。

まとめ

「年末調整を廃止し、全国民が確定申告を行う」という公約が物議を醸し、賛否両論を呼んでいます。
デジタル化によって実現可能性は高まるものの、シンプルな税制の追求や国民の税金リテラシー向上など、まだまだ解決すべき課題は多いといえるでしょう。

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