経営に役立つコラム

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2025.11.11

盛大になる場合は注意が必要!法人税法上の社葬費用の取扱い

法人税法上の社葬費用の取扱い
社葬は、企業として故人に感謝を伝える大切な儀式ですが、税務上の処理には注意が必要です。費用のすべてが会社負担でよいわけではなく、社会通念上「通常必要」と認められる範囲でなければ損金算入が難しい場合もあります。特に、規模が大きくなるほど判断は複雑になり、場合によっては交際費や給与課税の対象となることも。形式や慣習だけで進めず、費用の扱いをしっかり整理しておくことが大切です。

「社葬」「合同葬」「偲ぶ会」の違い

創業者など会社に特別な貢献をした方や殉職された方を、会社がお弔いするものに「社葬」「合同葬」「偲ぶ会」があります。

社葬 家族による密葬を終えた後に、会社が本葬(社葬)を執り行う。
費用は会社が負担。
合同葬 密葬と本葬を分けずに一緒に行う。費用は家族と会社で分担。
偲ぶ会 宗教儀式にこだわらず自由な形式によるもの。

大手葬儀社のHPによれば、「偲ぶ会」は、大規模なもので2,000万円から3,000万円、中小規模なもので500万円から1,500万円位の費用がかかるそうです。会社は、葬儀委員を定め、葬儀の運営を進めていきます。

社葬費用は法人税に通達があります

社葬費用については、法人税の通達があります。故人の経歴、地位、会社の規模等から判断して社会通念上相当であり、会社の負担額が社葬のために通常必要であると認められる金額は、損金算入が認められます。

社葬費用として認められるものは、会葬(セレモニー)に通常要する費用であり、次のような費用が考えられます。

社葬費用として認められるもの

新聞掲載料、取引先への通知費、葬儀場使用料、お布施、会葬礼状の費用など

一方、本来故人の遺族が負担すべきものは、費用に含まれないと考えられます。

社葬費用として認められないもの

密葬の費用、墓地・墓石・仏壇・位牌等の取得費用、戒名料、香典返し費用など

なお、会葬者が持参した香典は、法人の収入とせず、遺族の収入として構いません。

大がかりなものは交際費・給与課税に注意

国税不服審判所の裁決に、社葬後に参列者に食事を提供する「おとき」について、社葬の一環として行われたものでないと判断された事例があります。
盛大なものになると、取引先に対するものは交際費、遺族関係者に対するものは遺族の個人負担とされます。後者を会社が支払うと、遺族が役員の場合、役員給与の損金不算入や源泉徴収漏れの税務リスクがあります。
懸念がある場合には、①香典収入を会社が受け取り、遺族の負担額を差し引いて遺族に渡す、②会社が弔慰金を遺族に渡し、そこから遺族の費用に充てるという対応も考えられます。

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