2022.02.16
管理職が担っている部下育成の5大要素【その3・人を育てる技術⑥-「観る」技術2】
1.知る ⇒ 2.聴く ⇒ 3.「観る」 ⇒ 4.認める・褒める ⇒ 5.伝える・考えさせる ⇒ 6.任せる…
東京都千代田区有楽町、日比谷、銀座の税理士法人 G.S.ブレインズ税理士法人
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Column
2022.03.16
具体的なテーマは多岐に亘ります。現在は、大きな柱として管理者実務としての3つのマネジメント、すなわち、①部下育成、②チームづくり、③PDCAを回すという3つのマネジメントのうち、①の部下育成について解説しています。
管理者実務としての3つのマネジメント
①部下育成(人を育てる)
②チームづくり(役割・目的と目標と方針・運営方法)
③PDCAを回す(PLAN=計画を立てる、DO=実践する、CHECK=「振り返る」、ACTION=改善してやり切る)
部下育成の役割についてもやるべきことは多岐に亘ります。具体的には、部下を育てる技術「部下育成の6つのアプローチ」として、順に解説しているところです。今回はそのうち[④認める・褒める]について解説します。
部下育成の6つのアプローチ
①知る、②聴く、③観る、④認める・褒める、⑤伝える・考えさせる、⑥任せる
この6つのアプローチの出口は、自ら考え、自ら行動する「自律人財の育成」です。
先日、読者から「非常に役立つシリーズですが、全体の構成と現在地がわからなくなるので、時々示していただけると理解しやすいのですが」という感想をいただいたので、時々現在地を振り返ることにします。
さて、今回は部下育成の6つのアプローチのうち、[④認める・褒める]について解説します。
[認める・褒める]というと、「そうそう、部下を育てるには褒めることが一番ですね。私は褒め上手だから大丈夫かな」と自慢げに反応する管理者が少なくないと思いますが、はたして部下一人ひとりのことを十分に理解したうえで褒めているかどうかが問題です。
大前提があります。[部下育成の6つのアプローチ]のうち、前回までに解説した①知る、②聴く、③観るについて十分に理解し、実践しているかどうかです。自分を褒め上手だと思っている人の多くは、その前提である①知る、②聴く、③観るというプロセスを通らないままに単純に言葉だけで褒めているのではないでしょうか。
①~③のアプローチは、部下一人ひとりのことを十分に理解するためのプロセスです。部下一人ひとりに対して、部下自身の考えとして(上司の決めつけではなく)の「強み-長所」は何か、「弱み-短所」は何か、わが社を選んだ理由は何か、等々を把握しておく(①知る)のは非常に大事なことです。
さらに、一人ひとりの部下と対話し、本人の口から悩み・問題・今考えていることや将来の目標、希望などをじっくり聴く(②)ことも必要ですし、前回示したように「育てる」という目的を持って日々の行動、日報や仕事ぶりなどを観る(③)ことも不可欠です。
この3つのアプローチを前提にしないと、認める・褒める(④)ことが「自律人財に育てる」という出口につながりません。
部下に関心を持たずに単に技巧的に褒めたりすることは出口から見れば逆効果となります。逆効果とは、部下本人が調子に乗ったり、勘違いをしたりで、どんどん出口から離れてしまうことです。
調子に乗ったり、勘違いしたりすることを放置すれば、強いチームづくりなどとても無理ですし、PDCAを回すこともできなくなります。
その典型的な例がマーケット拡大時代の管理者です。自分の部下の内面を把握しようとせず、ひたすら自分の思いで、あるいは自分が成果を上げてきた自信満々のプロセスで部下を動かしてきたのが一昔前なのです。「いいからやれ型の一方的な指示指導」ですね。
マーケット縮小時代には、そうしたマネジメント(正確にいえば、マネジメントとはいえません)が普通に実践されていました。普通に実践して成果が上がっていたのですから、それが‟正義„となってしまっていたのでしょう。
断言しますが、これからは絶対に無理です。部下一人ひとりに関心を持ち、育てていかないと負け組になることは必至です。
マーケット拡大時代の管理者の多くは、認める・褒めるのは結果だけでした。部下が自分で実践したプロセスを話しだすと、
と、こんな口調で叱っていたものです。私たちが柱にしている「成長の三要素経営」はみんなで知恵を出し合い、結果を導き出すという経営理論ですから、かつての管理者の部門運営とはまったく相容れないものです。
なにしろ、「私はこう考えるのですが……」と実践したプロセスを説明しようとすると、「君の考えたプロセスで結果が出るわけがないだろ!」と、聞きもせずに怒鳴る有り様でした。
もちろん、結果が出た場合にはそれを認めて褒めるべきです。しかし、結果だけしか関心のないような対応じゃ部下は育ちません。プロセスに至る考え方を部下自身が話し、管理者がそれを認めつつ、結果に導いていくという流れで好結果を導き出していくのが「成長の三要素経営」です。
したがって、結果を出す前のプロセスを認めてほめることも「成長の三要素経営」では推奨しています。たとえば、こんな風に。
よく考えたな、もしかしたら、いい結果が出るかもしれない。また途中結果も教えてくれないか。うまく結果が出ればそのプロセスをみんなで共有しよう。わが社特融のオリジナルプロセスができそうだ
そして「目標は・・・だよ」とプロセスを認めて、目標を必ず確認することです。(プロセスだけで満足させないように)
この「認める・褒める」のアプローチで皆さんに推奨したいのは、部下個人としての人間性も褒めてあげることです。
このことは当然、それまでのアプローチである「①知る」「②聴く」「③観る」という3段階のアプローチが出来ていないと逆効果になります。特にこの3段階で把握しておきたいのは長所ですが、逆に短所も把握しておきたいところです。
長所・短所を的確に把握していれば、個人の人間性を効果的に褒めることができます。
絶対にやってはいけないのが、短所のみ大袈裟に指摘することです。たとえば、こんな風に。
○○さんは、挨拶もろくにできないのか。声も小さいしなあ。よくそれでうち会社に入れたな。親の顔を見たいものだ
あえて最悪に属する例を示しましたが、こういう口調で上司が部下を怒鳴るというのは、マーケット拡大の時代によく耳にしました。今では、パワハラに属する怒鳴り方なので、さすがに聞くことがなくなりましたが、カーッとなるとついつい言ってしまう管理者もまだいるのかもしれません。
なかには性格的についつい言ってしまう管理者もいるので一つアドバイスをしておきます。
カーッとなって暴言を吐いてしまう傾向があると自認している人は、いつでも「部下を育てたい。育てなければ生き残れない時代なんだ」ということを意識し続けることです。
「カーッ」となる、威圧する言葉・態度・表情は、その人の性格です。「性格は変わりません」しかし、それでは上に立てません。どうするか、性格は「無意識」に出てしまうものです。ですから「意識」することです。
※自分が思い通りにいかないときにとる言葉・態度・表情を見て、部下はその上司の人間性と判断します。
意識するためには、いつも目にするところに書いておくことが効果的です。そして。寝る前に毎日、「振返る」ことです。出来たこと〇・もっとこうすれば(不足)よかったことを振返り、不足の原因を考え、改善に向けて明日から取り組みます。そして「意識」すること継続して行きましょう。
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プロセスはどうでもいいんだ。要は、結果だからな。この結果じゃとても褒められたものじゃないんだよ