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木村行宏
G.S.ブレインズ税理士法人 代表社員税理士
東京都千代田区有楽町、日比谷、銀座の税理士法人 G.S.ブレインズ税理士法人
会社が成長していけるノウハウをご提供するG.S.ブレインズコンサルティング株式会社
Column
2021.03.03
また、今回の税制改正には至りませんでしたが、住宅ローン控除の大幅な見直し、贈与税・相続税の中立的な制度への再検討などは来年の税制改正において大きな影響が見込まれる点ですので、年内の報道等に注視したい項目です。
特に贈与税・相続税の制度再検討は税制改正大綱においても触れられています。欧米諸国が暦年課税ではなく相続時精算課税(簡単に言うと、贈与をしたものを相続発生時に再度計算の対象にする制度)を中心としており、それを評価している記載ぶりであるため、来年以降暦年課税がなくなるのではないか、ということで注目されております。
暦年課税は相続対策に非常に有効な制度であったため、これがなくなることで大きな影響となります。この点について4月に発行します弊社の季刊誌の事務所通信にも私見を書かせていただいておりますので、よろしければご参照下さい。
下記は今回の税制改正のサマリーとなります。
是非注目いただきたい項目には★をつけさせていただき、【 】にコメントをつけさせていただいておりますので、ご参考になさっていただき、詳細は弊社担当者までお問い合わせ下さい。
税制改正項目 | 概要 |
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総合課税の対象となる社債利子等の範囲の整備★ | 法人を介在させることで少人数私募債の節税防止を回避するスキームを防止するための整備(令和3年4月1日以後に支払を受けるべき社債の利子及び償還金) 【既発行の社債の利子も対象となります】 |
退職所得課税の適正化 | 退職所得課税の2分の1課税の趣旨に合わない、5年以下の短期退職者に係る退職所得の一定額について、2分の1課税の対象から除外(令和4年分以後の所得税等) |
申告義務のある者の還付申告書の提出期間の見直し | 源泉徴収税額の控除不足額がある者等について、確定申告義務が廃止(令和4年1月1日以後に確定申告書の提出期限が到来する所得税等) |
個人住民税に係る附記事項の追加 | 一定の配当等に係る個人住民税につき、確定申告書に附記することで所得税とは異なる課税選択が可能(令和3年分以後の確定申告書を令和4年1月1日以後に提出する場合) |
住宅ローン控除の控除期間 13年の特例の延長等★ | 消費税10%の住宅の取得等について、一定期間の契約等をしたものについて控除期間13年の特例の延長と、合計所得1千万円以下の場合の床面積要件40㎡に緩和(令和3年1月1日から適用と解される) 【来年以降制度が大きく変わる可能性がありますので、住宅購入を検討の方はご注意下さい】 |
既存住宅等の範囲の改正 | 源泉徴収関係書類の電子提出制度に係る税務署長の承認が廃止(令和3年4月1日以後に提出する源泉徴収関係書類) |
源泉徴収関係書類の電子提出制度に係る承認の廃止 | 源泉徴収関係書類の電子提出制度に係る税務署長の承認が廃止(令和3年4月1日以後に提出する源泉徴収関係書類) |
セルフメディケーション税制の延長等 | 対象医薬品の追加等がなされ、令和8年12月31日まで延長(令和4年分以後の所得税等) |
セルフメディケーション税制の書類添付不要 | 取組関係書類の添付等が不要(令和3年分以後の確定申告書を令和4年1月1日以後に提出する場合) |
源泉徴収選択口座に係る特定口座内保管上場株式等の譲渡等による事業所得等の計算 | 源泉徴収選択口座を開設している金融商品取引業者等に支払う投資一任契約に係る費用の必要経費算入が可能(令和4年分以後の所得税) |
税制改正項目 | 概要 |
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直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置★ | 理残額について、原則みなし相続課税(2割加算の対象)とされるとともに、適用期限2年延長される等の改正(原則、令和3年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等) 【これまで23万件1兆円を超える利用がありました。管理残額を相続税の対象となる期間が3年から、期間を問わなくなりました。本年4月以降の信託から改正の影響を受けますので、もし利用を考えられている方は3月中に利用されるのも案かと思います】 |
直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置 | 管理残額について、原則みなし相続課税(2割加算の対象)とされるとともに、適用期限2年延長される等の改正(原則、令和3年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等) |
国際金融都市に向けた税制上の措置 | 国内に短期的に居住する在留資格を有する者等が、贈与等の時において国内に居住する在留資格を有する者から、贈与等により取得する国外財産については、贈与税等が課されない(令和3年4月1日以後の贈与等から適用と解される) |
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等の改正 | 非課税限度額を令和2年度ベースまで増額の上、合計所得1千万円以下の場合は床面積要件の下限が40㎡以上に緩和。精算課税の特例も同様(令和3年1月1日以後贈与の住宅取得等資金に係る贈与税) |
住宅取得等資金に係る既存住宅等の範囲の改正 | 納税者が提供した不動産識別事項等により床面積要件等を満たすことの確認ができた住宅が既存住宅等に該当(令和4年1月1日以後に贈与税の申告書を提出する場合) |
個人事業者の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の改正 | 特定事業用資産の範囲に、原則として被相続人等の事業の用に供されていた乗用自動車(取得価額500万円以下の部分)が追加(令和3年4月1日以後の贈与等から適用と解される) |
非上場株式等に係る相続税の納税猶予の特例制度の改正★ | 被相続人が70歳未満(現行:60歳未満)で死亡した場合等においても法人版事業承継税制の後継者の役員就任要件が不要(令和3年4月1日以後の相続等から適用と解される) 【上記の「等」は承継計画に後継者の記載がある場合ですので、まずは計画の認定に取り組むことでも要件を満たしますので、御検討されている方は当社担当者までご連絡ください】 |
税制改正項目 | 概要 |
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研究開発税制の見直し ~総額型~ | 総額型について一般型と名称変更、より増加インセンティブが働く仕組みになる等所定の改正(令和3年4月1日以後開始事業年度の法人税等について適用と解される) |
研究開発税制の見直し ~中小企業技術基盤強化税制~ | 中小企業技術基盤強化税制について、より増加インセンティブが働く仕組みになる等所定の改正(令和3年4月1日以後開始事業年度の法人税等について適用と解される) |
研究開発税制の見直し ~オープンイノベーション~ | オープンイノベーションに係る措置について、相手方確認プロセスの合理化等の改正(令和3年4月1日以後開始事業年度の法人税等について適用と解される) |
研究開発税制の見直し ~試験研究費の見直し~ | 対象となる試験研究費の範囲について、会計と税務が一致するよう所定の改正等(令和3年4月1日以後開始事業年度の法人税等について適用と解される) |
給与等の引上げ及び 設備投資を行った場合の 税額控除制度の見直し★ | 新規雇用者の雇用や教育訓練という人材投資をサポートする制度に抜本見直し(令和3年4月1日以後開始事業年度の法人税等について適用と解される) 【従来、既存の従業員の給与を増額させることで減税が受けられましたが、コロナ禍における就職氷河期を避けるため、新規雇用者が対象になっています。また、適用要件判定の際、従来は「継続雇用者」を判定要件に入っていましたが、「継続」という要件がなくなり(新規雇用者となります)事務負担は大きく軽減されます】 |
中小企業向けの 所得拡大促進税制の改正★ | 雇用者給与等支給額をベースに要件判定や控除額を計算する仕組み等に改正(令和3年4月1日以後開始事業年度の法人税等について適用と解される) 【従来は「継続雇用者」を判定要件に入っていましたが、「継続」という要件がなくなり事務負担は大きく軽減されます】 |
デジタルトランスフォーメーション 投資促進税制の創設 | DX投資を促進するための特別償却等が創設(産業競争力強化法の改正法の施行の日以後に取得等した対象資産等について適用と解される) |
中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設★ | 中小企業の一定の経営資源の集約化につながる投資に係る準備金制度が創設(中小企業等経営強化法の改正法の施行の日以後に取得等した株式等について適用と解される)【この制度の特例をうけるためには、経営力向上計画(経営資源集約化措置というものを記載したもの)の認定を受ける必要があります。この認定を受けると、上記所得拡大促進税制の上乗せ措置、下記中小企業経営強化税制の適用も受けられるため、メリットの大きいものとなります】 |
中小企業投資促進税制・ 商業・サービス業・農林水産業活性化税制の改正 | 中促の指定事業の追加、商業・サービス業・農林水産業活性化税制が中促と統合され廃止等(令和3年4月1日以後開始事業年度に係る法人税等について適用と解される) |
中小企業経営強化税制の改正 | 中小企業経営強化税制の対象資産の追加と適用期限の2年延長等(令和3年4月1日以後開始事業年度に係る法人税等について適用と解される) |
大企業に対する特定税額控除規定の不適用の改正 | カーボンニュートラル投資促進税制及びDX投資促進税制が追加等され、適用期限の3年延長(令和3年4月1日以後開始事業年度に係る法人税等について適用と解される) |
繰越欠損金の控除上限の特例の創設★ | 事業適応計画(仮称)の認定を受けた場合、一定の欠損金につき、控除上限が撤廃(産業競争力強化法の改正法の施行の日から施行と解される) 【大企業がコロナ禍において事業再構築のために投資を行うころでコロナ禍で生じた欠損金についてこれまでの上限を超えて利用できるというものですが、昨年に大企業においても繰戻還付制度が利用できるようになっておりますので、こちらも検討が必要です】 |
株式対価M&Aを促進するための措置の創設★ | 会社法の株式交付に基づいて交付される株式につき、旧株の譲渡益の繰延等の改正(令和元年改正会社法の施行の日(令和3年3月施行?)から施行と解される)【現金を用いずに自社の株にてM&Aができるようになるため、上場企業などが買収の際に利用されるため、さらにM&Aは加速するものと思われます】 |
寄附金の損金不算入制度の見直し | 特定公益増進法人の寄附金から一定のものが除外、みなし寄附金から隠ぺい仮装経理の金額が除外(令和3年4月1日以後開始事業年度に係る法人税等について適用と解される) |
中小企業者等の貸倒引当金の特例の改正 | 割賦販売小売業等の法定繰入率が1,000分の7に引下げ(令和3年4月1日以後開始事業年度に係る法人税等について適用と解される) |
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