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2023.05.25

電子取引データ保存が大幅に緩和!

電子取引データ保存が大幅に緩和!
令和5年10月1日よりインボイス制度が開始されることが注目され、その期限が近づいて来ましたが、その陰に隠れて令和6年1月からは2年間猶予されていた「電子取引における電子保存の義務化」がその期限を迎え、再度スタートされることをお忘れではありませんか?

と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、令和5年税制改正にて、その保存方法が大幅に緩和されました。

今回はその緩和の内容についてご案内します。

緩和内容

①電子取引の電子保存の検索要件についての緩和
(1)その判定期間における売上高が1,000万円以下である保存義務者について、税務当局による税務調査の際、データのダウンロードの要請があったときに、それに応じることができるようにしている場合には検索要件の全てを不要とする措置について、その対象者が5,000万円以下に拡大されました。

(2)税務当局による税務調査の際、データのダウンロードの要請があったときに、そのデータ印刷した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている保存義務者は、電子取引の電子保存の検索要件の全てが不要となりました。

② 電磁的記録の保存を行う者等に関する情報の確認要件を廃止されました

③所轄税務署長が電子取引の取引情報に係る電子データを保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認め、かつ、当該保存義務者が税務調査の際にダウンロードの求めに応じるとともに、当該電子データを印刷した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電子データの保存をすることができることとなりました。

緩和内容の整理

少々文章が難しいので、わかりやすい文字に置き換えて整理しますと

①電子取引の電子保存の検索要件についての緩和
(1)その判定期間における売上高が1,000万円以下である保存義務者について、税務当局による税務調査の際、データのダウンロードの要請があったときに、それに応じることができるようにしている場合には検索要件の全てを不要とする措置について、その対象者が5,000万円以下に拡大されました。

①(1)は年間売上5000万円以下の小規模事業者は税務調査の際に、調査官がダウンロードの要請をしたときに応じることができるのであれば、電子データを保存する際の要件の1つであった検索要件を無視することができるということになります。

①電子取引の電子保存の検索要件についての緩和
(2)税務当局による税務調査の際、データのダウンロードの要請があったときに、そのデータ印刷した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力され、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている保存義務者は、電子取引の電子保存の検索要件の全てが不要となりました。

①(2)は、その保存をしてあるデータをきれいに印刷して、その取引の相手先ごとに日付順に整理して提出することができるのであれば、電子データの保存要件の検索要件は求めないということになります。

②電磁的記録の保存を行う者等に関する情報の確認要件を廃止されました

②については、タイムスタンプを付して保存する場合、その保存をした者とそれを管理する者がわかるようになっている必要がありましたが、タイムスタンプを押した者が誰であるかわからずともよいこととなりました。

③所轄税務署長が電子取引の取引情報に係る電子データを保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認め、かつ、当該保存義務者が税務調査の際にダウンロードの求めに応じるとともに、当該電子データを印刷した書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電子データの保存をすることができることとなりました

③が新たに登場した宥恕規程(やむを得ない場合には認める規程)となります。その条件は

条件1:所轄税務署長が、保存要件に従って保存することができない相当の理由があると認めたこと

条件2:税務調査の際にダウンロードの要請にに応じることができること

条件3:そのデータを税務調査の際に整然ときれいに印刷して書面の提示または提出の求めに応じることができること

特に③は会社の規模が限られておらず、さらに、これが認められれば①のように検索要件だけではなく、その他の要件も問われないこととなるため、もし「税務署長が認める」のであれば、電子データのデータ保存の難易度は一気に下がりITリテラシーが低くとも対応しやすくなります。
そのため「やむを得ない事情」というものが具体的にどのレベルなのか、というのが注目されていますが、中小企業での適切な運用ができるシステムを確保できない、あるいは単に運用が困難ということでも認めてくれるのであれば、非常に簡単になってきます。おそらく、今後どのレベルが認められるか、手続きはどうなるのか、さらにQ&Aなどで情報が開示されることを期待したいと思います(開示されると思います!)。

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