経営に役立つコラム

Column

2021.07.20

コストマネジメントの第一歩は「損益分岐点」の把握から

先行きの見通しづらい経営判断局面が継続しております。
そうした環境下、企業活動で生じたコストの適切な把握が極めて大切になって参ります。

今回は改めてコストマネジメントの基本となる「損益分岐点」を考えてみたいと思います。

財務会計と管理会計の収益構造の相違点

財務会計と管理会計のどちらにおいても、売上高から経費を差し引き会社の儲けである「利益」が計算される結果は同じです。

両者の違いはその内訳にあり、財務会計においては「経費」を「原価」と「販売費及び一般管理費」に区分表示するのに対し、管理会計では「経費」を売上と直接紐づき変化する「変動費」とこれ以外の「固定費」に区分しています。

そして管理会計では、売上から「変動費」を差し引いた金額を「限界利益」と呼び、この「限界利益」で「固定費」をどれだけ賄えるかを計算します。この検討手法を「損益分岐点分析」と呼び、「損益分岐点」を把握することで売上目標やコスト削減目標が立てやすくなってきます。

変動損益計算書の図式化と損益分岐点の把握

次の図は管理会計の変動損益計算書を図式化したもので、「ストラック図」と呼ばれています。

【変動損益計算書の図式化】

売上高-変動費=限界利益
限界利益-固定費(人件費・経費)=利益
変動費+固定費=総費用

損益分岐点売上高は利益がゼロとなる売上高ですので、

損益分岐点売上高=変動費+固定費+利益ゼロ

と言い換えられます。

変動費は売上の増減により変動しますのでこれを比率で表すと、

損益分岐点売上高=(売上高×変動費率)+固定費

となり、さらにこの式を展開して

が損益分岐点売上高を求める基本式になってきます。

【例題】 赤字が150生じている下記例を見てみましょう。

売上高 1000
変動費 400
限界利益 600
固定費 750
利益 △150

損益分岐点売上高=750÷60%=1250

上記例では、固定費750を賄う限界利益率60%の売上高を求め1250が損益分岐点売上高となります。

損益分岐点を捉え、コストマネジメントへ

上記例で赤字解消のために売り上げを上げる以外の方法は以下の2つです。

①限界利益率を増やす(変動費率を下げる)60%⇒75%へ(40%⇒25%)
②固定費を減らす・・・750⇒600へ

よって正しい損益分岐点売上高を把握したうえで、限界利益率を向上させる方法がないか、固定費を削減する手立てはないか、と検討プロセスを進めていくことがコストマネジメントの第一歩となります。

単月損益がマイナスとなった場合には上記プロセスでその打ち手をご検討ください

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