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2020.01.21
~税制改正大綱についてのご案内~
今回の改正は所得税・法人税・消費税については主に投資促進と税逃れ防止対策が盛り込まれた諸々の改正が入りましたが、資産課税については平成30年9月の相続法改正の影響による税制改正が昨年発表されておりますので令和2年度の改正点は目立ったものはございませんでした。
改正点の中で資産税関係部分のご案内と所得税及び法人税の改正点のうち、資産税や再編にかかわる点をご案内させていただきます。
令和2年度税制改正案(資産課税・所得税・法人税関係一部含む)
①所有者不明土地等に係る固定資産税の課税
所有者の死亡後、相続登記のなされていない不動産について現に所有している者に氏名・住所その他固定資産税の課税に必要な事項を申告させることができることとされます。また、市町村が一定の調査をしてもが現所有者が判明しない場合には、その使用者を所有者とみなして固定資産税を課税することができることとされます。
この改正は、令和3年度分の固定資産税から適用されます。
②低未利用土地等を譲渡した場合の特別控除の創設
譲渡する年の1月1日において所有期間が5年を超える一定の低未利用土地等を譲渡した場合に長期譲渡所得から100万円を控除できる制度が創設されます。
この改正は、令和2年7月1日(または関係法令の施行日といずれか遅い日)から令和4年12月31日までの譲渡について適用されます。
③配偶者居住権等に係る譲渡所得の取り扱い
平成30年9月の相続法(民法)改正により、令和2年4月1日から「配偶者居住権等」が新設されますが、配偶者に対価を支払い、配偶者居住権等を消滅させた場合または配偶者居住権等が設定された建物等を取得した相続人が配偶者居住権等の消滅前に当該建物等を譲渡した場合にはいずれも譲渡所得による所得税が課税されることになり、その計算方法が明示されました。
④延長関係
特定の居住用財産の買換・交換の特例、特定資産の買換え特例、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等、特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除等、耐震改修等を行った住宅に係る固定資産税の軽減措置などが延長される予定となっております。
⑤国際税務関係
昨年に話題になったソフトバックグループが用いた国際的なM&Aの租税回避行為への対応に係る改正となります。改正前においては、法人が、子会社株式を取得したあと、子会社から配当を非課税(持株比率に応じ一定割合が益金不算入)で受け取るとともに、配当により時価が下落した子会社株式を譲渡し、譲渡損失を創出することで租税回避が可能でした。改正後には、法人が、50%超の株式等を保有する一定の子会社から、株式等の帳簿価額の10%相当額を超える配当を受けた場合は、その配当等の金額のうち益金不算入相当額を、その株式等の帳簿価額から引き下げられることになります。
令和2年4月1日以降施行となる「配偶者居住権等」に係る追記
実務上では、配偶者居住権等の施行されますのでその取扱いが注目されますが、以下の点を注視していく必要があります。
※ すでに遺言を作成している場合に、配偶者居住権等を設定したいときは令和2年4月1日以降に改めて遺言の書き直しが必要となります。
※ 配偶者に譲渡所得が課税される場合において、居住用財産の譲渡の特例(3,000万円控除、軽減税率、買換)の適用があるかどうかは未定となっております。
※ 建物所有者が配偶者居住権の合意解除等による対価を支払わなかった、又は支払った対価が著しく低い場合に、原則として、消滅直前の配偶者居住権の価額に相当する利益等(対価の支払いがあった場合、その価額は控除)に対し、贈与税が課税されます。建物所有者が配偶者居住権の合意解除等による対価を支払わなかった又は支払った対価が著しく低い場合には、消滅直前の配偶者居住権等相当額(対価の支払があった場合はその控除の額)の建物所有者に対して贈与があったものとされ、贈与税が課税されることになるので注意が必要となります。
平成30年度の相続法の改正により、以下の遺言にかかわる制度で令和2年から施行されるものが出てまいりますので遺言含め相続のことにお困りの際には弊社までご相談いただければと存じます。
① 配偶者居住権等の設定(令和2年4月1日以降)
② 自筆証書遺言作成の際の財産目録のパソコンでの作成が可能(平成31年1月13日以降)
③ 自筆証書遺言につき、法務局での保管が可能(令和2年7月10日以降)
また、ご覧いただいている方に対して法的アドバイスを提供するものではありません。
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