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2023.09.27

国に土地を引き取ってもらうことはできますか??

国に土地を引き取ってもらうことはできますか??
相続する土地がある場合には、通常「ご自身で活用」「相続放棄」の2つの選択になろうかと思います。利用価値がある土地であれば前者の「ご自身で活用」していただければ問題ないですが、中には遠方の土地で維持管理が難しい土地などを相続する場合がございます。そのような土地について「相続放棄」すればという考えを持つかもしれませんが一部の土地のみを「相続放棄」することが残念ながら出来ません。

そのような土地を相続して手放したい場合に、国に対して引き渡すことができる「相続土地国庫帰属制度」が令和5年4月27日から施行されましたのでご案内していきたいと思います。

相続土地国庫帰属制度とは・・・

相続した土地のうち一定の要件を満たすものについて、国庫への帰属を認める制度です。

土地を相続することができれば、ラッキーだと思う方が多いかと思います。
しかし現実には、価値がほとんどない土地、遠く離れた場所にあって利用しない土地などが多くあります。このような土地は、相続人の誰もが相続したくないと考えるため誰が相続するのか問題が発生したりして遺産分割がまとまるまで時間がかかったりします。

また、そのような土地が相続の際に登記されないまま放置され「所有者不明土地」が発生する要因にもなります。そこで、相続したくない土地のうち一定のものについては、国庫への帰属が認められるようになりました。

引き渡せる要件は?

要件は3つの視点であります。ヒト(利用できる人)・モノ(引き取り対象の土地)・カネ(引き取って維持してもらうための負担金)となります。

~利用できる人~

相続した土地を国に引き渡すための申請ができるのは、相続や遺贈で土地を取得した相続人です。この制度の開始前(令和5年(2023年)4月27日より前)に相続した土地でも申請できます。また、兄弟など複数の人たちで相続した共同所有の土地でも申請ができます。ただし、その場合は、所有者(共有者)たち全員で申請する必要があります。

~引き取り対象の土地~

この制度で引き取り対象となるのは「土地」のみです。そのため「建物」などは引き取ってもらえません。またどんな土地でも引き取ってくれるわけではありません。下記のような土地は通常の管理や処分をするにあたり多くの費用や労力が必要となりますので引き取りの対象外です。

~引き取って維持してもらうための負担金~

宅地(注1) 面積にかかわらず、20万円
ただし、一部の市街地(注2)の宅地については、面積に応じ算定(注3)
田、畑 面積にかかわらず、20万円
ただし、一部の市街地(注2)、農用地区域の田、畑については、面積に応じて算定(注3)
森林 面積に応じ算定(注3)
その他
※雑種地、原野等
面積にかかわらず、20万円

(注1)直ちに建物の敷地として使用できると認められる土地
(注2)都市計画法の市街化区域又は用途地域が指定されている地域
(注3)面積の単純比例ではなく、面積が多くなるにつれ、1m²当たりの負担金額は低くなる。

負担金の算定式については下記のページをご覧ください。
法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」
また、負担金の算定シートも添付いたしますのでご参考にしてください

お手続き

相続土地国庫帰属制度を利用して、相続した土地を国に引き渡すための手続きは次の流れになります。

承認申請をする土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門(登記部門)で受け付けています。支局・出張所では相談を受け付けていませんので、ご注意ください。引き渡したい土地がお住まいの地域から遠方にある場合など、承認申請をする土地が所在する法務局・地方法務局(本局)での相談が難しい場合は、お近くの法務局・地方法務局(本局)でも相談できます。(申請時に審査手数料としては14,000円かかります。)

まとめ

上記土地の要件も多少厳しい印象もありますが、取得しても維持管理が出来なかったり、処分も出来ないままにしたりすると相続した方だけでなく、次の世代に対しても困りごとを相続させることにもなります。そのようなことを防ぐことの選択肢の一つとして、まずは法務局へ相談することをご検討されてはいかがでしょうか。

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