経営に役立つコラム

Column

2021.10.20

管理職が担っている部下育成の5大要素【その3・人を育てる技術③】

前回は、G.S.ブレインズグループが掲げている管理者による部下育成の出口(人財像)<自ら考え行動できる人財(自律人財)>に育てるために何が必要か、その基本の技術として、6つのアプローチの項目だけお伝えしました。
振り返りのために再掲しておきましょう。

管理職が担っている部下育成の5大要素【その4・人を育てる技術②】

前回は「人を育てる技術」について述べましたが、ここは非常に重要なところですから1回だけでは呑み込めないと思います。そこで、今回も同じテーマ、すなわち「人を育てる技術」について前回の解説を振り返りながら重ねて述べることにします。

〈部下育成の技術〉6つのアプローチ

①知る→②聴く→③観る→④認める・ほめる→⑤伝える・考えさせる→⑥任せる⇒「自律人財」

①知る対象は、会社が管理者に育成を託した若手の部下です。
管理者は、育成対象の相手である部下の何を知っておかなければならないのでしょうか。これも前回の最後に、7項目に分けて指摘しました。大事なことなのでもう一度お伝えします。

その育成対象の部下が、
①この会社を選んだ理由は何か
②何でやる気になるか、モチベーションが上がるか
③強みは何か、弱みは何か(性格とスキル両面から)
④何の能力を伸ばしたいか(あるいは引き出したいか)
⑤仕事の目的を理解しているか(なぜ、この仕事をやるのか)
⑥仕事の目標を認識・理解しているか(当年度や3年後、5年後など)
⑦自分の周りの仲間との関係(たとえば、上司・同僚・部下・後輩など)を良くするために取り組んでいることはあるか

いずれも管理者にとっては必須の、忘れてはならない基本ですから、お忘れの方は前回のメルマガ全体を振り返って学んでください。手帳などに自筆で書き写したほうがよいかもしれません。

さて、6つのアプローチの一番目である「(相手=部下を)知る」というのは、業種業態を問わずビジネスの基本中の基本です。たとえば、BtoBの新規営業をする場合、相手企業のことを何も調べないでやみくもに訪問しても、成果は期待できません。商品によっては企業へのアポなし訪問販売で売るケースもあるでしょうが、それでも業種や地域の特性など、事前に調べられることは調べ、その上でターゲットの目安を付け、訪問プランを立てて行動を起こすのが普通です。このことも、事前に「相手を知る」段取りにほかなりません。

既存顧客への営業も、相手企業の現状・今後の見通し、担当者の性質・権限・社内での位置づけ等「相手を知る」ことは、取引継続、拡大に必須となります。

「最近の若い奴…」では人は育たない

BtoCの場合でも、やみくもに売るのではなく、マーケティングによってターゲット客層を特定し、ターゲットの特徴を生かした営業をしていきます。高度成長期のようにマーケットが拡大しているときなら「とにかくどんどん売れ」の号令で営業マンに発破をかけるのを生命線としている会社は少なくなかったのですが、今日のようにマーケット縮小の状況では通用しません。

少し横道に逸れました。相手を知るターゲット客層の絞り方については「成長の三要素経営」の解説を深めていく過程で詳述します。いずれにせよ、「相手を知る」というのはビジネスを展開するうえでは絶対に欠かせないプロセスです。「相手」には、市場で競い合う相手もありますが、事業のターゲット客層および一人ひとりのお客様の特徴を「知る」ことなくして勝ち組にはなれません。

管理職の重要な役割である部下育成も、ビジネスの基本通り「相手を知る」ことなくして成果は得られないのです。念のために強調しておきますが、ここで指摘している知るべき「相手」とは育成すべき段階にある一人ひとりの部下です。このことも実に当たり前のことなのですが、なかには当たり前とはほど遠い育成の仕方をする管理者も少なからずいます。

典型的には、育成対象の部下を十把一絡げに「最近の若い奴は……」とか「今年の新入社員は……」といった世間の“評論„を鵜呑みにし、「一人ひとりを知る」努力をしようとしない管理者です。

このような姿勢は、いわば役割放棄、努力放棄にほかなりません。育成すべき若手人財は、一人ひとりに個性があり、考え方も違い、会社に入った理由や将来の目標も違います。性格も違えば、能力も違います。持っているポテンシャルも一人ひとり差があります。人間は、一人ひとり違うことを頭に叩き込んでほしいと思います。そして、一人ひとりの特徴をしっかり見て育ててほしいと切に思います。

やる気になる理由も一人ひとり異なる

「最近の若い奴は…」という先入観は、部下育成のうえで大きなデメリットになります。

特に、この先入観が罪深いのは、部下一人ひとりのモチベーションが異なるのに「最近の若い奴はやる気がないなあ」とタメ息をつく管理者です。そのようなタイプの管理者は決して少なくありません。私たちがお手伝いをしている企業の役職者から聞くこともあります。「近藤先生、最近の新人はやる気がないように見えますが、どう思いますか」と、直球で聞いてくるベテランのマネジャーもいます。

もちろん私は、「そうですね」とは言いません。概ね次のように返します。
「そうですか、私はそうは思っていません。やる気になる要因、つまりモチベーションは一人ひとり大きく異なります。一人ひとりに高い関心を持って接していただきたいと思いますが……」と返すのが通常です。

私たちG.S.ブレインズグループは、<モチベーションは一人ひとり異なる>という前提で話をします。そうした場合に理解しやすいように、私たちはモチベーションを5つのタイプに分けて話をします。

①仕事型……仕事が好き/お客様から喜ばれた
②組織型……働けていること/会社が好き
③待遇型……昇給/賞与/昇格/表彰
④職場型……働く仲間との連帯感/人間関係
⑤生活型……家族のため/働く環境が良い

皆さんの部下をこの5つのタイプに当て嵌めて考えよ! というわけではありません。当て嵌められないタイプもあると思いますし、無理やり当て嵌める必要もありません。ただ、皆さんの部下を「知る」ためのヒントとして参考にしていただきたいと示したまでです。

次回は、<①知る>ために<②聴く>(「聞く」ではありません。あくまでも「聴く」であることを頭に入れておいてください。)効果的なやり方について解説したいと思います。

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近藤浩三

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近藤浩三

G.S.ブレインズグループ代表 税理士

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