経営に役立つコラム

Column

2025.10.08

仕組み作りで「廃棄損」の取扱い│フードバンクへの食品寄附

仕組み作りで「廃棄損」の取扱い│フードバンクへの食品寄附
フードロス削減の流れのなかで注目を集める「フードバンク」への食品寄附。
社会的に意義ある活動ですが、企業が行う場合には会計処理にも注意が必要です。寄附として扱われると損金算入に限度があり、思わぬ税負担につながることもあります。一方で、一定の条件を満たせば「廃棄損」として扱うことができ、費用計上が可能になります。
税務上の扱いを見据えたうえで、社内ルールや合意書を整備し、無理のない仕組みとして運用することが大切です。

最近耳にする「フードバンク」とは?

福祉施設や困窮生活をされている方へ、無償で食品を提供する「フードバンク」と呼ばれる団体があります。まだ安全に食べることができるのに、流通に出すことができない食品を、企業や個人から寄贈してもらい、食品を必要としている方にお届けするという活動です。
企業側にとっても、食品廃棄コストの削減や従業員のモチベーションアップに繋がる一方で、困窮世帯の食事問題の解決に貢献できるものとして、注目されています。

法人税法上の「寄附金」の取扱い

法人が資産を無償で贈与(寄附)を行った場合には、法人税法では「寄附金」として取り扱われます。法人が支出した寄附金の額は、その法人ごとに計算した「損金算入限度額」の範囲内で、損金算入が認められています。この「枠」を超えてしまうと、その超えた金額について、法人税が課されてしまいます。
もっとも、法人税法では「広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用等」は、寄附金の額からは除かれると規定されており、行為自体が贈与であっても、営業経費であるものは、寄附金から除外されることになります。

仕組み作りで、食品寄附を単純損金に

国税庁HPの質疑応答事例では、フードバンクへの食品の提供が次の①と②の条件に該当する場合には、「商品の廃棄損」として寄附金以外の費用と取扱い、提供に要する費用(食品の帳簿価額+発送費等)を損金算入できるとしています。

①食品の提供が、社内ルール等に従って廃棄予定の食品をフードバンクが回収するもので、実質的に商品の廃棄処理の一環で行われる取引であること。

②フードバンクとの合意書で、提供した食品の転売禁止や、食品の取扱いに関する情報記録・保存・報告などのルールを定めており、提供した食品が目的外に使用されないことが担保されていること(その法人側でも、提供した食品の使途が確認できること)。

つまり、食品の寄附を始める前に、「合意書」「社内ルール」を作成し、食品の提供都度、フードバンクから「受取書」を受け取る等の運営方法を考える必要があります。ルール作りには、農林水産省が公表している「フードバンク活動に関する取扱い等に関する手引き」をチェックしましょう。

【参考】フードバンクへ食品を提供した場合の取扱い│国税庁
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/20/11.htm

【参考】フードバンク活動における食品の取扱い等に関する手引き│農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/attach/pdf/foodbank-9.pdf

経営のお役立ち情報を配信中!

G.S.ブレインズグループでは、皆様の経営に役立つ情報を定期的に配信しております。
最新情報は登録無料のメールマガジンでお知らせいたします。

免責事項について
当記事の掲載内容に関しては、細心の注意を払っておりますが、その情報の正確性・完全性・最新性を保証するものではございません。
また、ご覧いただいている方に対して法的アドバイスを提供するものではありません。
法改正等により記事投稿時点とは異なる法施行状況になっている場合がございます。法令または公的機関による情報等をご参照のうえ、ご自身の判断と責任のもとにご利用ください。
当社は予告なしに当社ウェブサイトに掲載されている情報を変更・削除等を行う場合があります。
掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。
G.S.ブレインズ税理士法人

お役立ち情報を発信していきます

G.S.ブレインズ税理士法人

お気軽にお問い合わせ・
ご相談ください

無料相談 経営のお悩みなど、まずはお気軽にご相談ください。
弊社スタッフがお客様の状況に最適なサービスをご提供いたします。

03-6417-9627

営業時間 9:30〜17:30(土日祝を除く)

HPを見てお電話した旨をお伝えください

くろじになる