経営に役立つコラム

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2025.04.18

トランプ関税と消費税

トランプ関税と消費税
関税と消費税。一見まったく別の制度のように思えますが、輸入の場面では意外な共通点があります。実際、海外では日本の消費税を“関税に似た仕組み”と捉える声もあり、税の考え方の違いが注目されています。

制度の目的や仕組みを比べてみると、それぞれの役割には明確な違いがあります。けれど、視点を少し変えるだけで、私たちの生活に深く関わる税の設計が、国内外でどう位置づけられているのかが見えてくるかもしれません。

関税と消費税の似ているところ

トランプ大統領は、一律関税や相互関税の発言のほか、「消費税も関税とみなす」との発言をしていて、注目されています。

関税の納税義務者は、貨物の輸入者で、関税は、最終的には消費者に転嫁されます。消費税は、売上に対する消費税から仕入消費税を差し引いて納税しますが、輸入品については、輸入時点で関税の課税標準額に関税額を加算した金額を課税標準として消費税が算定され、貨物の輸入者に課税されます。そして、最終的には消費者に転嫁されます。ここのところは、関税と消費税は似ています。

関税と消費税の目的の違い

国税としての消費税(付加価値税)のないアメリカの立場からすると、輸入品に税金を上乗せする制度は、関税を課すのと同じに見えるのかもしれません。でも、関税を課す目的は、自国の産業を保護するためで、国内製品が安価な外国製品に対抗しやすくするところにあります。

それに対し、輸入品に対する消費税の課税目的は、国内製品にはその中に前段階消費税が既に累積されているのに対し、輸入品にはその累積消費税相当分が含まれておらず、国内製品と輸入品とが対等な条件で競い合う条件にないので、その条件整備をするところにあります。

即ち、関税は輸入品の中の特定品目を巡る不平等策であるのに対し、消費税は輸入品に付加価値税が累積されていないという不平等事実を解消する全品目に対する平等策です。

輸出は免税、非課税、対象外?

なお、トランプ政権は、さらに「輸出免税は実質的な輸出補助金ではないか」との指摘をしています。

消費税は、国内消費に対する課税なので、輸出品には消費税を課すことができないとして、商品代金に消費税を上乗せしない金額を輸出品価格とするようにし、売上に係る消費税の納付が免除されています。その一方で、輸出企業が仕入時に負担した消費税をそっくり税額控除できるようにしています。輸出売上は、課税対象外とか非課税ではなく、ゼロ税率課税売上という扱いにする制度設計がそれを可能にしています。

しかしこれは、非課税売上企業への扱いに比し優遇措置と言えます。議論の余地がありそうです。

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