経営に役立つコラム

Column

2025.09.16

分掌変更した場合の役員退職金│キチンと引退できていないとNG

分掌変更した場合の役員退職金
社長が退任しても、会長や相談役として会社に関わり続けるケースはよくあります。
しかし、その働き方によっては「退職金」としての支給が認められないことがあります。形式上は役職を降りていても、実質的に経営に携わり続けていれば「退職した」とは言えないからです。その場合、支給額は役員賞与とみなされ、会社にとっては損金不算入、本人にとっては給与所得扱いという不利な結果につながります。
退職金と認められる条件は具体的に示されていますが、それを満たしていても例外となることがあり、判断には注意が欠かせません。

「社長の交代」で新社長は16.7歳若返る

中小企業の経営者の高齢化が進む中、後継者をどうするか悩んでいる会社は多いです。相続や税金、債務保証、家業の問題に加え、後継者候補の「経営者の資質」を見極めなければなりません。事前準備、適切な情報伝達、関係者への配慮も重要となります。

東京商工リサーチの2024年の調査では、同社に登録している約157万社のうち、同年中に代表者が交代した会社は約6.7万社(4.2%)。代表者の平均年齢は、交代前の71.1歳から、交代後は54.4歳となるそうです。このような場合、後継者の代表取締役就任と同時に、前社長は代表権のない会長や相談役に退くケースがよくあります。

役員の分掌変更等の場合の退職給与

このタイミングで前社長に対して役員退職金を支給した場合、税務上の取扱いには注意が必要です。この退任を機に、「役員の地位や職務の内容が激変」し、「実質的に退職したと同様の事情にある」ならば、退職給与として認められます。一方、仕事が変わらず、実質は退任していないと認定された場合、役員賞与とされ、定期同額給与等以外の給与として損金不算入となります。

また、これを受け取った前社長側も退職所得でなく、給与所得として取り扱われ、所得税等の負担が増える形になります。

退職金として取り扱われる3つのケース

法人税の通達では、退職金として取り扱うことができる場合を3つ例示しています。

① 常勤役員が非常勤役員となったこと

② 取締役が監査役になったこと

③ 交代後給与が、おおむね50%以上減少していること

いずれの場合に該当していても、退任後の役員が「法人の経営上主要な地位を占めている」ままのときは対象外となります。

「経営上主要な地位を占めている」とは?

役員退職後も「経営上主要な地位を占めている」かは、事実認定の話にはなりますが、裁判や審判所の事例が参考になります。

経営上主要な地位を占めている事例

・毎日出勤している(仕事を継続する)

・退任前と同じ執務室で執務する

・代表者会議の出席を継続する
(財務・営業・人事・生産の決定に関与)

・議事録や稟議書に決済印を押す

・金融機関の担当者と交渉する など

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