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2025.10.27

譲渡損益の繰延べと寄附金に注意!グループ内の固定資産の簿価譲渡

譲渡損益の繰延べと寄附金に注意!グループ内の固定資産の簿価譲渡
「グループ会社間なら自由に資産を動かせる」と思っていませんか。
実は、簿価で譲渡した場合でも「譲渡損益の繰延べ」や「寄附金」が発生することがあり、税務上は慎重な対応が求められます。100%グループ関係にある法人間であっても、中小企業だからといって例外ではありません。会計上はシンプルな資産移転に見えても、税務上は時価での取引とみなされることがあるため、処理を誤ると課税調整に発展する可能性もあります。
グループ法人税制の基本的な仕組みを踏まえ、簿価譲渡における注意点を確認してみましょう。

中小でも「グループ法人税制」の適用あり

100%の資本関係がある内国法人グループの間で行われる一定の取引に適用される「グループ法人税制」。
大企業ばかりでなく、中小企業でも適用があります。グループの法人企業の間では、固定資産を帳簿価額で譲渡するケースがありますが、この場合、「グループ法人税制」に注意が必要です。

グループ内における資産の低廉譲渡

まず、譲渡する固定資産が簿価1,000万円以上の一定の資産(譲渡損益調整資産)である場合には、「譲渡損益の繰延べ」の規定が適用され、損益(時価-簿価)が繰延べられます。また、「譲渡対価」が「時価」よりも低い場合(低廉譲渡)では、寄附金が認識されます。100%グループ内で生じた寄附金は、全額が損金不算入とされます(個人による完全支配関係の場合には適用なし)。

譲渡損益調整資産を低額譲渡した場合

譲渡法人 ①時価による譲渡利益計上
②譲渡損益の繰延べ
③寄附金の認容(認識)
④寄附金の損金不算入
譲受法人 ①受贈益の計上
②受贈益の益金不算入

土地を簿価で譲渡した場合(時価>簿価)

内国法人G1社が、100%グループ関係にある内国法人G2社に対して、保有する土地(簿価80・時価100)を簿価で譲渡した場合のG1社の処理を考えてみましょう。

G1社の会計上の考え方

(借方)現金 80(貸方)土地 80

G1社の税務上の考え方

税務では、土地は時価100で譲渡したものと考え、時価100と対価80の差額20は、G1社からG2社に寄附したものと考えます。

(借方)現金 80(貸方)土地 80

(借方)未収入金20(貸方)譲渡益20

(借方)寄附金 20(貸方)未収入金 20

G1社の申告調整

G1社は「譲渡益計上漏れ20(加算)」と「寄附金認容20(減算)」を加味した上で、次の申告調整を行います。

寄附金の損金不算入額20(加算)

譲渡損益調整勘定繰入額20(減算)

調整勘定で繰延べた譲渡益は、G2社が土地をグループ外に譲渡等した時に実現します(調整勘定20の戻入れ)。その他、株主が法人である場合、グループ法人株式の「寄附修正」を別表五で行う必要があります。

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