経営に役立つコラム

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2024.08.15

同族会社が借主の場合の貸宅地の評価

同族会社が借主の場合の貸宅地の評価
土地を同族会社に貸し出す際、通常の賃貸契約と同様に扱っていると、相続税評価で思わぬ課税リスクが生じることがあります。
特に、貸宅地の評価においては、地代や権利金の適切な設定が重要です。
本記事では、同族会社を借主とする場合の貸宅地の評価方法と、税務リスクを回避するための具体的な方法について詳しく説明します。税負担を最小限に抑えるための対策を学びましょう。

借地権が設定された被相続人の土地は、相続税では「貸宅地」とされ、自用地価額から借地権価額を控除した金額で評価します。

通常の地代の場合は、財産評価通達で評価

土地の使用の対価として通常、権利金を収受する慣行のある地域で通常の賃貸借契約により通常の地代を支払うとき、貸宅地は財産評価通達により評価されます。

なお、通常の地代未満の地代を支払う場合も以下の算式で評価します。

貸宅地の価額=自用地価額×(1-借地権割合)

同族会社に貸付けする場合の評価

被相続人が同族関係者となっている同族会社にアパート経営をさせるため、自分の土地に借地権を設定する場合、借地契約を第三者との取引と異なる条件で行うと権利金等と実際の地代の水準に応じて借地権と貸宅地の評価は影響を受けます。

以下は、権利金等の支払がない場合です。

① 相当の地代を支払っている場合

権利金の認定課税を回避するため、権利金の支払に代えて相当の地代を支払う場合、借地権評価額は零、貸宅地の評価額は自用地価額の80%となります。

② 通常の地代を超え、相当の地代未満

貸宅地の価額は、実際に支払う地代の水準に応じて決まります。

貸宅地の価額=自用地価額-自用地価額×借地権割合×{1-(実際の地代-通常の地代)/(相当の地代-通常の地代)}

ただし、貸宅地の価額が自用地価額の80%を超える場合は、被相続人が借地契約により土地利用の制約を受けていたことを考慮して80%を上限とします。

なお、①②とも、20%分は同族会社の借地権として同族会社の株式評価上、純資産価額に算入されます。

小規模宅地等の特例による評価減

さらに一定の要件を満たすと「貸宅地」は「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例が適用されます(200㎡まで50%減)。同族会社との賃貸借契約の締結、地代の支払(有償貸付)が前提となります。ただし、固定資産税程度の地代設定では営利性が認められず、「小規模宅地等の特例」の適用を受けることはできません。

適用には相続開始前3年を超えて被相続人等の貸付事業の用に供されていること(特定貸付事業は3年以内も可)、事業承継要件、保有継続要件を満たすことが必要です。

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