経営に役立つコラム

Column

2019.03.06

いますぐ止めるべき「スキル採用」

いま私は全国のあらゆる業種、あらゆる規模の企業を回り経営を支援しています。そこで明らかなのは、すべての企業で人手が不足していること。これが現実です。生産年齢人口=労働人口の増加は1996年をピークに減少に転じました。労働人口が減り続けています。それと同時にお客様が減っています。御社の新規顧客もなかなか増えないのではありませんか? 当然、売上も増えませんよね。働く人が減り続けるので、求人を出しても人がなかなか集まらないのではありませんか?

人手不足時代とマーケット縮小の時代

マーケットが縮小する一方で、65歳以上の老年人口が確実に増えています。少子高齢化で労働人口になるはずの若者たちが減り続け、高齢化していく現実があるわけです。これで今までと同じ経営ができるでしょうか。
働く人の気質も変わりました。昔は上司が「これをやりなさい」「いいからやりなさい」と指示を出し、部下がそれに従う『いいからやれ型』でしたが、言われた通り取り組めば結果が出たので社員は辞めませんでした。ところが、いまはどうでしょう。いまの若者は受け身で、指示を待ち、打たれ弱い人が多いと言われます。もっと言えば、人と人との関係が浅く、しかし、コミュニケーションツールは多種多様です。

時代が変わり、働く人は減り続け、人の気質はその世代によって違います。そこをきちんと捉えておかなければ経営は成り立ちません。人が育たず、定着せず、新しい人も採用できない、と追い込まれている企業は、マーケット拡大時代の『いいからやれ型』の経営を未だに続けているのが特徴です。一方、人手不足を抱えながらも確実に成長している会社は、マーケット縮小の時代に即した経営に変えています。私たち成長支援グループは、このマーケット縮小の時代の経営手法を、12年前からお客様に伝え続けてきました。取り組んでいる企業様はみなさん順調に成長しています。
私たちが提唱する『成長の3要素経営』は、先々具体的に説明していきますが、その基本となる考え方は、経営理念を土台とし、その経営理念を経営者と社員が一丸となって実現していく「理念経営」にあります。

いますぐ止めるべき「スキル採用」

人が主体となる理念経営では、人材育成がなによりも重要です。「採用」「定着」「育成」「評価」「賃金」「退職」「リファーラル採用」とステップを経る人事と、その土台にある経営理念がひとつひとつしっかりと紐付いていなくてはなりません。採用において、企業はよく間違いを犯します。それは、仕事ができる人を採用すること。これを「スキル採用」と呼びます。スキルを重視して採用した社員はほぼ例外なく、3年以内に辞めるか問題を起こします。なぜそうなるのかと言うと、考え方が違うからです。

ある講演で中小企業の経営者30人を前にした際、私はこんな問いを発してみました。「中途採用したAさんが入社して3カ月が経った頃、上司や仲間が言い始めました。『Aさんは私たちとちょっと考え方が違うよね』と。組織ではいろいろな問題が起きています。さて、ここで3つの選択肢から『これ』と思うものに手を挙げてください。①説得する ②「しょうがない」と黙認 ③「辞めてもらう」
答えは、ほぼすべての経営者が③に手を挙げました。理由は簡単。皆、経験しているからです。ところが、幹部クラスに同じ問いをする、7割の幹部社員が「①説得する」に手を挙げます。これが経営者との違いです。

これからの中小企業が目指す採用方法

ほぼ全ての経営者は、スキル採用が絶対に失敗するのをわかっています。しかし、どうしようもない人手不足の中、止むを得ず「採用してから教育すればいい」とスキル採用に踏み切り、やはり失敗してしまうわけです。自分たちの考えに共鳴、共感し、思いをひとつにして仕事に取り組める、そんな人を採用してください。経営理念への共感があれば、育成は格段に進めやすくなり、結果、定着も進みます。この採用についてが今回、私が一番伝えたいところです。経営理念の教育は、経営者が直接行ってください。そして、理念に基づいた行動を正しく公正に評価し、それを給与にしっかりとつなげます。理念に共感していた人が辞めた時は会社として注意が必要です。しかし、理念に沿わない人が辞めた場合は、会社が良くなっている証です。これからの中小企業が目指すべき採用方法は「リファーラル採用」です。社員の「この会社いいよ」というキーワードで人が集まります。

マーケット縮小の時代、人手不足の時代はまだまだ、これからが本番です。考え方の合わない人をスキルで採用する「スキル採用」ではなく、「理念採用」で人材を育成し「リファーラル採用」へとつなげていきましょう。それと共に、減り続ける労働力に対応するため、生産性を高める方法や仕事の絞り込みへの取り組みが必須です。
これらについて次回以降、順次説明していきます。

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近藤浩三

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G.S.ブレインズグループ代表 税理士

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