経営に役立つコラム

Column

2019.11.20

振返りの習慣が仕事の質を高め、人間的にも成長する

本欄では、「PDCA」という用語を時々使っています。たとえば、リーダーのスキルであるマネジメントは、①部下育成、②チームづくり、③PDCAを廻す、の3本柱に分けられる──といったように。PDCAはよく使われるビジネス用語ですが、用語の中身を忘れている方もいらっしゃるようなので、ここで一度確認しておきましょう。

PDCAとは

PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)の頭文字で「PDCAサイクル」ともいわれます。私たちは、「PDCAを廻す」という使い方を多くしています。 計画・実行・評価・改善はあらゆる業種業態に共通する普遍的な仕事のプロセスであり、いずれも省いたり手を抜いたりすることはできません。本欄では、今後もこの4つのプロセスを軸にして仕事のクオリティや人間力アップについて皆さんと一緒に考えていきたいと思います。今回は4つのプロセスのうち「C」について考えましょう。

「C」=チェックについてのもうひとつの解釈

C=「Check」は一般には「評価」と訳する場合が多いので、皆さんと共通認識しておくために前述のようにひとまず「評価」を使いましたが、私たち成長支援グループでは別の言葉に置き換えています。ほとんど同じ意味なのですが、「振返り」と訳しています。なぜ「振返り」なのかというと、評価というとやや大袈裟に捉える人が少なくないからで
す。「今日やった仕事の評価をしよう」と考えると、その仕事のセオリーやベストなやり方を一所懸命に思い出したり、マニュアルなどを引っ張り出したりして評価自体が大仕事になってしまう場合があります。

もちろん、そうしたしっかりした評価の作業が必要な場合もあります。チーム全員に関わる仕事の途中経過をみんなで評価し合ったり、改善を考えたりする機会などはまさにしっかりした評価作業が必要になります。プロジェクトチームや委員会を組織して進める仕事などは、その典型的なケースでしょう。しかし、自分自身の今日一日の仕事のプロセスを振り返ったり、進行中の仕事の途中で一プロセスの是非を判断するといったときには、いちいち大袈裟な評価をするわけにはいきません。皆さんにお勧めします。いつでも、どこでも、自然体で自分の仕事を振り返る習慣(クセといってもよい)を身につけてみませんか。むずかしく考えるのではなく、気楽な気持ちで自分の仕事や普段の行動を「振り返る」ことを意識して続けていけば必ず習慣化できます。

日常で「振り返り」を実行するために

ちなみに、私たちは振返りのチャンスを次のように分類して頭に刷り込み、様々な機会の「振返り」を自然体で実行しています。

① その都度・その都度の振返り(都度振返り)
② 毎日の振返り(朝から晩までの自分の仕事や行動の振返り)
③ 毎週、毎月、毎年の振返り(みんなで定期的に振り返ることも)
④ 仕事の取組み全体(プロジェクトや委員会など)の振返り

③④となると、グループのメンバー同士や上司とのコミュニケーションの中で振り返ることになりますが、「今のままでよいのか」「このまま進めていってよいのか」「いつも‟これでいい„と思いがちではないか」といった視点で振り返ってみれば、改善・工夫の余地が自ずと浮き上がってきます。振返りを続けていると、仕事のみならず人間的にも成長していくことを実感できることでしょう。

「振返り」については奥が深いので、次回も続けて書くことにします。主にはリーダー(管理職)とメンバー(部下)との関係(コミュニケーション)における振返りのポイント、効果的な方法に言及します。その中で私たちが日常的に使っている「Chatwork」(チャットワーク)についても触れます。

最後に、上司と振り返る場合も、自分自身で振り返る場合も、最も大切なことをお伝えしておきます。振返りの基本は、「できたこと」「良かったこと」から入ることです。自分自身で振り返る場合も、上司として部下の振返りにコメントする場合も、「×」(バツ)ではなく「○」(マル)から入ることが最も重要なポイントです。詳しくは次回に説明します。

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近藤浩三

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近藤浩三

G.S.ブレインズグループ代表 税理士

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