経営に役立つコラム

Column

2021.04.20

管理職の優劣がアフターコロナの明暗を決する

専門家が「第4波に入った」と明言しているように、コロナ危機の状況はますます悪化しているように見えます。

しかし一方では、全国民へのワクチン接種の目途が立つなど「アフターコロナ」を考える余地も出てきています。私たちGSブレインズグループは、従前から「出口は2022年」と明言してきましたが、おそらくそうなるでしょう。まだまだ厳しい危機的状況が続いている企業も多いと思いますが、あと1年、なんとか踏ん張っていただきたいと切に願うばかりです。

ただし、「コロナ危機」から脱したとしても、バラ色の経営環境が出現するわけではありません。アフターコロナの扉を開けば、私たちGS・成長支援グループが10数年前から強調し続けている「マーケット縮小の時代」に対応する経営革新に本腰を入れなければならないからです。

アフターコロナをどう捉えるか

このメルマガにおいて私が指摘してきたように、「コロナ危機」との戦いは、実は中小企業にとってはピンチではなく「チャンス」と捉える要素が十分にあるのです。その一つの例として取り上げてきたのがデジタル化の流れです。

たとえば、社内の会議・ミーティングや個々のコミュニケーションは、オンラインのほうが集中でき、実のあるものになる。また、営業活動も対面よりも効率的に進むし、大きなコスト減になる・・・・・・といったことを指摘してきました。

テレワークも含めた社内デジタル化の果実はコスト減だけではありません。もう一つ、大きな果実に「若い労働力を集め、組織が活性化する」という効果があります。この効果は、まさしく「マーケット縮小」への対応そのものといえるでしょう。

逆に、「うちはデジタル化の必要がない。テレワークも無理だ」と言い張っている会社に若い労働力が集まるかどうか。ここは躊躇なく「集まりません」と断言できます。

子供の頃からデジタル機器に馴染んできた世代は、デジタル化されていない社内環境に耐えられないのです。実際、デジタルに慣れた若い社員とパソコンもスマホも使えない古株社員とは普通の会話さえ成り立ちません。ましてそうした古株の社員が自分の上司だとしたらどうでしょうか。若い社員がそんな“古いタイプの管理職”の下でやる気が出るはずもありません。

若手の働き手に選ばれる会社か否か

「マーケット縮小」と同時に進んでいる「労働人口の減少」も非常に重要な環境変化です。働く人から選ばれなければ労働力は確保できないのですから。
では、選ばれる決め手は何でしょうか。

働く職場のデジタル環境もその一つなのですが、それよりももっと大きな決め手があります。新入社員や若手の社員が「この会社で頑張れば良い人生を送れるかも・・・」と思える要素があるかどうかです。大企業と中小企業の最も大きな違いはここにあります。

大企業もしくは上場企業には、社員にとって自分の人生目標にもなり得る「人事評価制度」があります。何をどう頑張れば自分の職位が上がるのか、その具体的な評価基準はどうなっているのか、その結果として給料がどの程度上がっていくのか、といったことが「見える化」されているのが普通です。

一般に、中小企業の多くはこうした評価制度をつくっていません。では、自分が係長になるのは何年先か、課長になるのは?といった昇進のステップはどう決められているのかというと、社長の頭の中だったり、人事担当役員あるいは人事部長、さらには当該部門の直属上司だったりします。つまりは、新入社員や若手の社員にはどう評価されたのかがわかりません。

となると当然、不平不満が噴出します。「なんであいつが係長になるんだ」「俺のほうが3年も早く入社しているのに」「大した実績を上げてない彼がなぜ?」等々の思いが募ります。こういう思いを内に秘めながら働き続けるのはむずかしいでしょう。となると、必然的に辞めてしまいます。労働人口が減り、どの会社も人手不足、人材不足に苦しむ状況にある、すなわち売り手市場ですから転職は容易です。評価基準がない、すなわち人事評価制度がないとこのように働く人が離れていく結果になります。

管理職の質が厳しく問われる時代

もう一つ、中小企業(社員15人未満と15人以上など、規模別に細かく分けるとそれぞれ違いが出るが、本メルマガでは一括して「中小企業」としている)と大企業・上場企業の大きな違いを指摘しておきましょう。ずばり、管理職の質が違います。もちろん、中小企業の管理職は皆、大企業の管理職に劣るというわけではありません。なかには大企業の管理職よりもはるかに有能な管理職も少なからずいます。

ただ、「有能な」と言った場合、マネジメントの面で有能なのか、あるいは営業実績が抜きん出ているなど「プレイヤー」として有能かの違いがあり、中小企業一般には後者の面であることが多いのが実情です。

ではなぜ多くの場合、プレイヤーとしての能力が高い管理職のほうが多いのかといえば答えは明白で、管理職としての系統的な研修を受けていないのが普通だからです。

逆にいえば、大企業の管理職はそれぞれの段階(班長、主任、係長、課長など)できちんとした研修を受けているのです。つまり、リーダーとはどういう立場か、どういう能力や振る舞いが求められるか、マネジメントとは何か、何をどうやらなければならないのか、そのために必要な要件は何か・・・・・・といった課題を一通り学んでから管理職の実践に入っているのです。

中小企業の管理職の多くは、こうした経験を経ていません。そのため、そもそも管理職とはどういう立場か、どういう能力が求められるかを知らずに自己流で管理職の仕事をしているのです。となると、どうしても経験的に自信を持っているプレイヤーの能力と実績を部下に求めることになります。

経営者はといえば、プレイヤーとしての彼の経験を高く評価し「彼なら部下を育ててくれるだろう」と期待したものの叶わず、結局のところパワハラもどきの対応で部下を辞めさせてしまうというケースを生んでしまったりするのです。プレイヤーとマネジメントおよびリーダーシップは根本的に能力の質が違うことを知ってほしいと思います。

最後に付け加えておきたいことがあります。管理職養成を謳っている会社は多くありますが、私たちは「中小企業の管理職研修は既製品では大きな効果は期待できない。オーダーメイドであるべきだ」と考えています。中には派手な謳い文句で集客している会社もあり、その研修に管理者候補を投げ込む中小企業も少なくありませんが、一時的な効果は出ても長期的には疑問です。参考までに。

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近藤浩三

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近藤浩三

G.S.ブレインズグループ代表 税理士

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