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2025.10.17

輸入取引と消費税

輸入取引と消費税
海外から商品を仕入れるときに支払う「輸入消費税」。これは通常、国内の消費税と同じく仕入税額控除の対象になります。しかし、輸入申告書の“名義”を誤ると、控除が受けられなくなる場合があります。代行業者に手続きを依頼する際などは、つい業者名義のまま申告してしまうケースがあり、これがトラブルの原因になるのです。
輸入消費税の仕組みと納税義務者の考え方を理解しておくことで、後々の申告時に不利益を防ぐことができます。

消費税の課税対象

国税庁のタックスアンサーを見ますと、消費税の課税対象(№6105)について解説しています。その課税対象は、次の3つの取引に限られるとしています。

①国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等

②特定仕入れ

③保税地域から引き取られる外国貨物の引取り

①は、事業者が国内において事業として対価を得て行う資産の譲渡や役務提供(いわゆるサービス)ですので、国内において個人事業者や会社が行う通常の売買やサービスなどに係る消費税になりますので、違和感はないと思います。

②は、国内において国外事業者から受けた事業者向け電気通信利用役務(インターネット等を通じて電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウェアなどの配信を受けたり、広告の配信・掲載を受けたりすること等。)の提供及び国内において国外事業者から受けた特定役務の提供(芸能人の映画撮影やテレビへの出演や俳優・音楽家による演劇や演奏及びスポーツ競技大会などへの出場等)については、これら特定仕入を行った事業者が仕入先に代わり消費税の納税義務者になりますので、消費税の課税対象になります。

③は、いわゆる輸入取引のことです。外国から国内に輸送されてきた貨物は、通関等の手続きが済むまでは保税倉庫(保税地域)に保管され、通関等の手続きでは、輸入申告書を提出し、この手続きにおいて輸入消費税を納付しなければなりません。

この輸入取引に係る消費税の納税義務者は、「外国貨物を保税地域から引きとる者」となっていますので、事業者を行っていない者、すなわち、個人的に外国貨物を輸入した場合にも原則として消費税が課税される訳です。

輸入消費税は仕入税額控除できる

事業を行っている会社や個人事業者が外国貨物の引取りに際して、輸入消費税を支払うと、その会社や個人事業者は、自身の消費税の申告において、輸入消費税を仕入税額控除することができます。

但し、輸入貨物の引取り者、すなわち輸入者の名義に注意をしなければなりません。輸入手続きを代行業者に委託する時に、時々、輸入者をその代行業者の名義にしている場合があります。

その場合、代行業者は輸入消費税を立替払いして、その後、依頼人である事業者から輸入消費税相当額を回収するということをしています。よって、依頼人である事業者は、最終的に輸入消費税を負担していることになります。

輸入者の名義に注意

輸入取引における消費税の納税義務者は「輸入貨物の引取り者」ということになっていますので、もし、輸入申告書において、輸入者を代行業者名にしてしまうと仕入税額控除を行えるのは、消費税法第30条(仕入れに係る消費税額の控除)の規定により代行業者になってしまいます。

そうなってしまうと、例え、依頼者である事業者が前項のように輸入消費税を負担していても、仕入税額控除が出来ないということになってしまいます。

このような事態を回避するには、自ら輸入申告を行うか、輸入代行者に依頼する場合でも輸入者の名義を自らにするように徹底することが必要となります。

まとめ

ちょっとした手違いで輸入消費税を負担しているのにも関わらず、自身の消費税の申告において仕入税額控除が出来ないなどということが起こりえます。

その他、代行業者を利用した場合によくあるトラブルは、輸入許可証や輸入関係書類、通関書類を代行業者から引き継いでいないということがあります。

仕入税額控除を行うには、一定の事項(課税仕入れの相手方の氏名・名称、課税仕入れを行った年月日や課税仕入れの内容、支払対価の額等)が記載された書類の保存が要件とされていますので、この点も注意する必要があると考えます。

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