経営に役立つコラム

Column

2025.06.19

自分を変えようとしない人へのアプローチ法

自分を変えようとしない人へのアプローチ法
目標を立てるだけで終わり、なかなか行動に移せない部下。そんな部下に対して、上司はどのように向き合えば良いのでしょうか。上司自身が「自分の伝え方が悪いのではないか」と悩むこともありますが、実は、問題の本質はそこではないのかもしれません。
そもそも、部下自身に「やる気がない」「変わろうとしない」という意識が根底にある場合もあります。では、なぜそのような状態に陥ってしまうのでしょうか。そこには、「当事者意識」と「被害者意識」という、意識の違いが深く関係しています。
変わろうとしない部下に、どのように働きかければ良いのか。そのヒントは、「相手の意識の持ち方」を理解することにあります。

今回のご質問│目標を立てても部下が一向に行動しません

<今回のご質問>
部下に自己改善の目標を立ててもらっています。
目標を立てるのですが一向にやろうとしません。

どうしたらよいでしょうか?

部下育成をするうえで、部下の良い点を伸ばすとともに、部下の不足を改善することも大切です。
部下に自分の不足を聞くと言える。不足を解消するための目標を立ててと言えば立ててくれる。でも実行に移さない。このような部下も少なからずいると思います。

このような部下に対して、どう対応したらよいかを考えていきましょう。

動画│自分を変えようとしない人へのアプローチ

当事者意識と被害者意識

自分の不足が言えて、何をすればよいのかも言える。だけども、まったく行動に移さない部下に対して、どうしたらようでしょうか?その時に考えてもらいたいのが「当事者意識」と「被害者意識」です。何か問題が起きたときに人は「当事者意識」か「被害者意識」かのどちらかで対応します。

「当事者意識」とは、問題が起きたときに、どんな状況どんな環境でも「自分」が何をできるか、どうしたら良いかと考えることです。「被害者意識」とは、何か問題が起きたときに、誰か、何かのせいすることです。自分以外の何か、人や環境、のせいにします。

「当事者意識」と「被害者意識」、どちらが良い結果=問題改善につながるでしょうか。それは当然「当事者意識」です。

今回のご質問の内容の場合に、部下が「被害者意識」が強くないかをみることが一つです。被害者意識が強い人は、常に誰か何かのせいにして、自分が動かない=変わらないを選んでいるのです。自分自身の改善目標を立てても、自分が動かないのです。そして、動かない=やらない理由を誰か何かのせいにします。「忙しくてできませんでした。」「やろうと思ったのですが急に仕事を振られて」と、自分ではなく誰か何かのせいにした言い訳を言うのです。この状況では、上司がどんな言い方や伝え方をしても、相手は動かないのです。

この時にまず行うことは、被害者意識の強い部下を当事者意識の強い部下にすることです。

被害者意識の強い部下に上司がしてしまうこと

当事者意識と被害者意識を知らないと、被害者意識の強い部下に対して、結果のでないアプローチを上司がしてしまいます。

よく上司がしてしまうのが、次の流れです。

①被害者意識の強い部下に「自身(部下)の不足・課題」を聞く。

上司「自分には何が足りないかな?」

部下「期限を守らないことです。」

②「自身(部下)の不足・課題」に対する「改善の取組み」を聞く。

上司「期限を守るためにどうしたら良いと思う?」

部下「まず期限までに間に合うように計画を立てます。そしてすぐに行動するようにします。」

※この①②は、被害者意識が強い人でもすぐに答えられるのです。すると、上司としては改善してくれそうだと期待を持ちます。

③「改善の取組み」で「具体的にやってもらう」ことを決める。

上司「具体的にどうしていく?」

部下「明日までに計画を立てます。立てた計画に沿ってすぐに動きます。」

ここまでは良いのですが、実際に被害者意識の人はやらないのです。

④被害者意識が強い人は「やらない」「変わらない」

※被害者意識の強い人は、最初からやるつもり=変わるつもりがないからです。

⑤上司が状況を「確認する」と「謝罪」するか「言い訳=できない理由」を言う。

上司「計画は立てたかな?」

部下「すみません。やろうと思ったのですが、忙しくて出来ていません。」

上司「では、いつまでに計画を立てる?」

部下「今週中には立てます。」

このことが繰り返されると、次の段階に進みます。

⑥②~⑤が続くと被害者意識が強い人は「キレる」「開き直る」

上司「計画はどうなった?」

部下「こんなに忙しいのですから、計画なんか立てられませんよ。だったら仕事を減らしてくださいよ。私の業務量のことわかっているのですか!」

※この段階になると、育てる側(=上司)がどうしてよいかわからなくなるのです。
この時にまず行うことは、被害者意識の強い部下を当事者意識の強い部下にすることです。

では、部下の当事者意識を強くするためにはどうしたらよいのでしょうか?

部下の当事者意識を強くするために

部下の当事者意識を強くするには、どうしたら良いのでしょうか?被害者意識の強い人は自分のことしか考えていません。自分のことから、相手(=働く仲間・お客様)を考える人にすることです。

相手(=働く仲間・お客様)のために、自分が何ができるかに思考が変わると、当事者意識が強くなるのです。相手のことを考える当事者意識の強い人にするには、自分が相手に何ができたかを振り返らせることです。

次の2つの振返りを、一日の仕事が終わった時にしてもらいます。

①「自分」が「お客様」にできたこと

②「自分」が「働く仲間」にできたこと

とてもシンプルな振返りですが、とても効果的です。被害者意識の強い人は、このシンプルな質問に答えられないのです。なぜなら、相手(=お客様・働く仲間)のことを考えていないからです。

この振返りをしたからすぐに当事者意識の強い人にはなりません。当事者意識は筋肉と一緒で、すぐには強くならないのです。繰り返し、繰り返し振返ってもらうことで、強くなっていきます。

被害者意識が強い人は、最初の振返りでは答えられません。「わかりません」「とくにないです」といった答えが返ってくることが多いです。その際には、また次の出勤日に振り返ってもらうことです。
ここで、当事者意識を早く強くしたいと思って次々に聞くことは、かえって被害者意識を強くしてしまいます。上司が「何かあるでしょう?」「なんでもいいだよ」と言っても、「わかりません」「ないものはないのです」といったやりとりになってしまいがちです。

当事者意識を強くするには、焦らないことです。当事者意識を強くする振返りをし始めた当初は、手応えを感じないことが多いです。ところが、あるところで急に当事者意識が強くなります。

当事者意識が強くなると、言葉・行動が激変します。自分が決めたことやるようになり、周りのことを考えるようになります。そうすると、今回の質問の内容は解消するのです。

焦らずに、当事者意識を強くすることに取り組んでください。

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落合嘉寛

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G.S.ブレインズコンサルティング株式会社 マネージャー

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