経営に役立つコラム

Column

2025.08.01

【取締役の取引のルール】役員が内緒で競合会社を設立した場合

【取締役の取引のルール】役員が内緒で競合会社を設立した場合
信頼していた役員が、実は社外で競合会社を立ち上げていた──。
そんな事態が起きたとき、経営者はどう対応すべきなのでしょうか。とくに中小企業では、家族や旧知の仲間を役員に迎えるケースが多く、「まさかあの人が…」という状況に陥りがちです。
会社法では、取締役の競業行為について一定のルールを設けています。仮に役員が内緒で競合他社を設立した場合、それは法的にどう扱われるのか。どのような行為が「事前の承認が必要」とされるのか。そして、違反があったときに会社側が取りうる手段とは──。
経営者として知っておきたい基本的な考え方を整理します。

役員が内緒で競合会社を設立した場合

会社の経営者にとって、役員を誰にお願いするかは悩ましい問題です。中小企業では、自分を社長とし、親族や友人、前職の同僚に役員を頼むケースが多くあります。心配なのは、役員が「会社にだまって、重要な取引を行ってしまう」こと。例えば、役員が社長の意見に賛同できず、在任中に、内緒でライバル関係となる別会社を立ち上げてしまった場合はどうなるでしょうか?

会社法には取締役の取引ルールがある

会社法では、取締役の取引について「競業避止義務」という規定を設けています。このルールは、取締役は、自己のために会社と競合関係に立つ取引を行う場合には、株主総会(又は取締役会)で事前の承認を得る必要があるというもの。取締役は、会社の企業秘密を知る立場にあり、会社と競業する取引を自由にしてしまうと、会社に損害を与えるリスクが高いと考えられるからです。

その役員が行おうとする行為が、次の①~③に該当する場合、会社の株主総会や取締役会の事前承認なく行うことは、会社法の規定違反となります。

取締役が行う取引

取締役は、会社のあらゆる事業に通じ得る立場にあり、本人の担当業務以外でも企業秘密を取得できます。そのため、業務執行に関与していなくても、取締役が行う取引は、事前承認を得る必要があります。

自己(又は第三者)のためにする取引

どのような名義で行われたか問わず、経済上の効果を自己(又は第三者)に帰属させるような取引は、事前承認が必要です。

会社の事業の部類に属する取引

会社と取締役との間で利益が衝突する可能性がある取引(顧客が競合する取引)は事前承認が必要です。これは、会社が実際に行っている事業か否かにより判断され、定款に記載のない事業でも継続的に行っている事業は該当します。目的物が類似する場合や、会社がその市場へ進出を計画・準備している場合もこれに当たります。

会社法の違反が認められた場合

違反が認められ、会社に損害が発生している場合には、会社は、競業行為の差止請求、取締役の解任、損害賠償請求などを行うことができます。

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