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2024.08.06
雇用保険法等の改正~週10時間以上で加入へ~
この改正により、約500万人の労働者が新たに雇用保険の対象となり、企業の対応が求められます。また、自己都合退職者に対する失業給付の条件緩和も含まれており、労働市場に大きな影響を与えることが予想されます。
この記事では、今回の改正内容とその影響について詳しく解説します。
雇用保険法等の改正案が成立
令和6年5月10日に、雇用保険等の一部改正案が、国会で成立しました。
主な改正内容は、下記の通りです。
「雇用保険の適用拡大」
週所定労働時間20時間以上から10時間以上へ対象拡大(令和10年10月以降)。
「教育訓練やリ・スキリング支援の充実」
自己都合退職であっても、一定の教育訓練を受ける場合は給付制限が解除され、失業給付がすぐに受けられるようになるなど(令和7年4月以降)。
「育児休業給付に関する財政運営の確保」
国庫負担の暫定的引き下げ措置を廃止(令和6年5月17日公布以降)。
「その他雇用保険制度の見直し」
雇止め離職者の給付日数特例措置の延長、就業手当の廃止、就業促進定着手当の上限支給残日数引き下げなど(令和7年4月以降)。
週所定労働時間10時間以上で加入義務
今回の法改正で、実務で最も留意すべきことは、雇用保険加入要件の週所定労働時間が20時間から10時間に引き下げられ、雇用保険の加入対象が拡大することです。
現行の雇用保険加入要件は、①週所定労働時間20時間以上、②雇用期間31日以上、③昼間の学生ではない、これら3要件全てを満たすこととされています(今回の改正で②と③は変更なし)。
適用拡大は令和10年10月からですが、厚生労働省によると、令和5年度の「週10時間以上20時間未満の労働者」は506万人でしたので、雇用保険被保険者が約500万人程度増加することが見込まれます。
「自己都合退職」が増えるかも?
来年4月以降、自己都合退職者が一定の教育訓練を受ける場合に給付制限が解除されることに加え、通達改正により、自己都合離職者の給付制限は特例の2か月から1か月に短縮されます(5年間で3回目以降の自己都合退職は原則の3か月のまま)。
失業給付の受給開始が前倒しとなるため、失業給付を早期に受けやすくなります。
人手不足で売手市場といわれる昨今ですが、例えば職場に不満がある従業員による自己都合退職が来年4月以降急増するかもしれません。
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