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2025.07.25

特定親族特別控除の創設と健康保険の取扱い

特定親族特別控除の創設と健康保険の取扱い
扶養の条件をめぐる税や社会保険の制度には、ここ数年でいくつかの見直しが加えられてきました。今回新設された「特定親族特別控除」もそのひとつで、一定収入内の大学生などを対象に新たな所得控除の枠組みが加わります。さらに、健康保険の扶養要件にも連動した緩和が予定されていますが、税と社保で判断基準が異なる点は引き続き注意が必要です。

制度が変わっても、収入次第で“壁”が発生する構造は残ります。とくに、学生アルバイトを雇用する企業にとっては、従業員の扶養条件が働き方や就業時間に影響を与える場面も。変更を正しく理解したうえで、柔軟な対応が求められています。

大学生アルバイターに朗報?

令和7年度税制改正において創設された「特定親族特別控除」は、居住者と生計を一にする19歳以上23歳未満の親族で所得金額が58万円超123万円以下の人(給与収入換算で123万円超188万円以下)を新たに「特定親族」というカテゴリーに区分して、特定親族の所得に応じた所得控除を受けられるようにしたものです。

特定親族の給与収入所得税の控除額住民税の控除額
123超~150以下63万円45万円
150超~155以下61万円45万円
155超~160以下51万円45万円
160超~165以下41万円41万円
165超~170以下31万円31万円
170超~175以下21万円21万円
175超~180以下11万円11万円
180超~185以下 6万円6万円
185超~188以下3万円 3万円

※給与収入の各数値は「万円」

社保の被扶養要件も追随

この改正を踏まえて、社会保険の被扶養者認定要件のうち、年間収入を130万円未満とするものについても、19歳以上23歳未満である場合は150万円未満として取り扱いをすることが予定されています。厚労省は5月~6月にかけて、パブリック・コメントを募集し、その中で10月には適用予定としています。

「壁」は動くだけ?

では、特定親族の給与収入が150万円を超えた場合はどうでしょうか。税の控除はある程度受けられるものの、健康保険については社保の扶養対象外となるため、特定親族は扶養者とは別に国民健康保険か社会保険に加入することになります。

また、休学中・定時制・通信制ではない大学生については社会保険の加入対象外となるため、本来企業が半額を負担してくれる社会保険の選択肢がありません。

いずれにせよ、年収で税や社保の適用が定められるのであれば、「壁」はどこかに発生します。後はどのくらいの割合で困る人が出るか、という見極めになるのでしょうか。

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