経営に役立つコラム

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2025.04.11

ゴッホや睡蓮やファラオは日本でどのように課税されるのか

ゴッホや睡蓮やファラオは日本でどのように課税されるのか
有名絵画や考古学的な出土品が来日する展覧会は、国内でも高い関心を集めます。その陰で進められているのが、海外の美術館などとの調整業務。その中には当然ながら契約や報酬のやり取りがあり、日本国内で収益が発生する場合には課税も関わってきます。ところが、相手国との間に結ばれている条約や収益の性質によって、課税方法は一律ではありません。

芸術作品の展示という表舞台の裏には、国際的なルールと税制の調整という静かなやりとりがあるのです。知られざるこの仕組みに、少しだけ目を向けてみませんか。

海外の美術館や博物館から展示物が来日

ふだん外国の美術館や博物館に展示されている美術品や遺跡の埋蔵品を日本国内で行われる展示会で見られる機会は貴重です。ゴッホの自画像やモネの睡蓮、エジプトの埋葬品の展覧会などは連日大人気で、土日祝日は時間制限のある前売りチケットの購入が必須となっているほどです。

こんな展示会を見に行っても、まずは課税関係が気になってしまう税の専門家という職業、少し寂しくもあり楽しくもあります。外国の美術館等に支払う使用料はどのように課税されるのでしょうか?

日本の所得税法の適用

外国の美術館等からのレンタルであっても収益が発生する場所は日本国内ですので、まずは日本の所得税法が適用されます。

所得税法では、外国の美術館や博物館へ支払う美術品等の使用料は、支払に際し支払額の20%(20.42%)を源泉徴収しなければならないと規定されています。

しかしながら、外国との取引に際しては、国と国との間で結ばれる税金の取り決めである租税条約が適用されることになり、支払額から源泉税分を控除した残額を支払えば終わりという単純なものではありません。

相手先ごとに異なる租税条約により修正

租税条約は日本の他国との個別の条約なので、支払う相手先がどこの国の美術館等なのかによって変わってきます。すなわち、ゴッホ展はオランダ、モネならフランス、ピラミッドなどからの埋蔵品ならエジプトとの租税条約の規定でどのように修正されるかが変わってきます。

租税条約の規定では大きく2つに分かれ、使用料条項で軽減・免除が施される場合と、使用料条項に含められず事業所得条項が適用される場合に分かれます。

本件の3か国の場合だと、①使用料条項に含めるエジプト、②使用料条項に含めないオランダ、フランスとなります。

エジプトとの租税条約では使用料の15%を超えない金額で課税することができるとなっていますので、日本の所得税の源泉税20%(20.42%)が15%に軽減されます。軽減を受けるためには、事前に租税条約に関する届出書「様式3」の届け出が必要です。

一方、事業所得条項が適用となる場合は、日本国内に恒久的施設があるかないかで課税関係が変わってきます。恒久的施設がなければ同上届出書「様式10」の事前届け出で源泉税免除となります。

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