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2025.09.24

相続取得株式の自己株化 みなし配当課税なし

相続取得株式の自己株化 みなし配当課税なし
非上場株式を相続すると、納税資金の準備が思った以上に負担になる場合があります。相続人は資金繰りのために会社に株式を買い取ってもらうことがありますが、その際、相続税と所得税の両方がかかり、手元に残る金額が大きく減ることも少なくありません。合計で税率が5割を超えるケースもあります。
こうした負担を和らげるため、一定の条件を満たせば利用できる特例が用意されており、税率を抑えることで資金面の不安を軽くできます。
本コラムでは、この特例の概要とポイントを整理してご紹介します。

非上場自己株取得の場合の課税原理

会社の自己株式取得は、資産の取得ではなく、減資と同じ株主資本の部分清算と解するのが税務原則であり、取得自己株数に対応する出資元本を超える払戻し部分について清算配当とみなす扱いになります。その所得は、累進税率の総合課税の配当所得として課税されます。

税引き手取りがマイナスとなる過酷な場合

ところで、非上場株式を相続したため、相続税の納税資金に困り、発行会社に株式買取りを要請することがあります。その場合、相続税と所得税の二重の課税で手取りの著しい減少となる場合があります。最大で、相続税55%、所得税と住民税55.945%(所得税45%+住民税10%+復興特別所得税)です。そういう状況に、全負担の緩和をもたらしてくれる特例があります。

高税率でない場合にはみなし配当のまま

ただし、いつでも配当課税より譲渡課税が有利というわけではありません。所得が低い場合には、総合課税+配当控除の方が有利になることもあります。

過酷を緩和してくれる特例

以下の条件を満たす場合、その株式譲渡対価の全額を非上場株式の譲渡所得の収入金額とし、その収入金額から取得費および譲渡に要した費用を控除して計算した譲渡所得金額は、申告分離課税で一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税)の課税になる、というものです。

最大のケースで、35.63%(55.945%-20.315%)の税負担が軽くなります。

なお、取得費を計算する際には、その財産に対応する相続税額を取得費に加算できる特則もあるので、その適用を受けることもできます。

対象者・対象物・手続き

①相続または遺贈により取得した財産の中に非上場株式があり、その相続または遺贈について納付すべき相続税額がある個人

②相続取得した非上場株式を相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡し、この特例に係る「届出書」を発行会社に提出する必要があります。

③発行会社は、譲り受けた日の属する年の翌年1月31日までに本店または主たる事務所の所轄税務署長に届出書を提出する必要があります。

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