経営に役立つコラム

Column

2025.11.25

業績悪化で減額した役員給与を元に戻す時期

業績悪化で減額した役員給与を元に戻す時期
経営状況の悪化でやむを得ず役員給与を減額したものの、業績が回復してきた今、そろそろ元に戻したい——。
そう考えたときに意外と迷うのが「戻すタイミング」です。定期同額給与として認められるかどうかで、損金算入の扱いも変わるため、感覚やタイミング任せの判断はリスクがあります。株主総会の決議時期や支給開始月の関係を押さえておかないと、思わぬ税務上の不利益につながることも。どの時期に戻すのが適切なのか、具体的な判断材料を整理していきます。

定期同額給与の3つの改定事由

定期同額給与は、その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与で、その事業年度の各支給時期における支給額または支給額から源泉税等の額を控除した金額が同額であるものをいいます。

定期同額給与の改定事由には、

①通常改定

②臨時改定によるもの

③業績悪化による給与改定

があります。

業績悪化改定事由とは

市況の悪化や取引先の倒産等によって経営状況が著しく悪化した場合、経営危機を脱するため、含み益のある資産の売却や増資、従業員賞与の一律カットなどが必要となる場合があります。そして銀行や取引先からの信用維持をはかり、株主の支援を受けるため、役員は経営者としての責任を取り、役員給与の減額改定を行います。このようなやむを得ない事情による役員給与の減額は、業績悪化改定事由に該当し、株主総会で決議します。

これに対し、利益調整をはかるための給与改定は、定期同額給与と認められません。一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことだけでは、減額改定した役員給与は損金になりません。

減額した役員給与を元に戻す場合

業績が改善して利益を計上できるようになれば、減額していた役員給与を元に戻すことになります。定期同額給与となるための通常改定は、事業年度開始日から3か月以内の定時株主総会で決議を行います。

ただし、役員給与はその職務執行期間の開始前に支給額を決めておく必要があります。例えば、3月決算で毎月25日に役員給与を支給する法人が、6月30日の定時株主総会で4月分まで遡って増額改定を決議し、7月の給与支給時に一括して増額分を支給すると、4月、5月、6月の増額分は、定期同額給与に該当せず、損金とはなりません。増額改定は7月からとする必要があります。

(例)6月30日開催の定時株主総会の決議で役員給与を元に戻す場合

改定時期支給時期増額分の損金判定
4月に遡及して増額改定4月~6月の増額分を7月に一括支給定期同額給与に該当しない
7月より増額改定7月分より増額した給与を支給定期同額給与に該当する

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