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2025.05.27

届出をしたのに支給はゼロ。事前確定届出給与の不支給

届出をしたのに支給はゼロ。事前確定届出給与の不支給
「届出を出しておけば安心」と思っていると、思わぬ落とし穴があるのが「事前確定届出給与」です。
役員に対して賞与を支給する際、事前に税務署へ内容を届け出れば損金にできる――そんな前提で制度が活用されている一方で、「届出を出したのに支給しなかった」ケースには、注意が必要です。支給がなかったから大丈夫、と簡単に考えていると、会計処理や税務上の整理で思わぬ問題に直面することもあります。
報酬の辞退はどう扱われるのか、税務上はどんな処理が必要なのか。制度の仕組みをしっかり理解しないまま進めてしまうと、後から手間が増えたり、損金算入が認められなかったりする事態にもつながりかねません。
今回のコラムでは、こうした事例を踏まえつつ、制度運用における盲点に目を向けてみます。

「事前確定届出給与」とは?

3月決算の株主総会のシーズンになりました。「事前確定届出給与」を検討している会社も多いのではないでしょうか。

「事前確定届出給与」とは、損金算入できる役員給与の類型の一つ。事前に役員別の支給日・支給金額を記載した「事前確定届出給与に関する届出書」を税務署に提出し、その届出通りに支給された場合に損金算入が認められるという制度です。会社が役員に賞与を支給したいときに、総会等の決議を取った上で用いられます。届出の提出期限は、次のいずれか早い日となります。

①株主総会決議日(又は職務執行開始日)から1か月を経過する日

②期首から4か月を経過する日

実際に届出通りに支給しない場合はNG

この場合、届出額と実際の支給額が異なる場合には、支給額は損金算入できません。届出額との差額は未払の状態だという主張は通らないでしょう。ただし、役員の職制上の地位の変更や、職務に重大な変更がある場合(臨時改定事由)、会社の経営状態が著しく悪化した場合(業績悪化改定事由)には、変更届出書を出すことができます。

届出をしたのに全く支払わなかった場合

ここで問題となるのは、届出は出したけれども、実際は全く支給しなかったケースです。支給がなければ、否認する金額もゼロですが、懸念事項があります。株主総会等で決議をしている限り、法人には給与の支給義務があるという考え方があるのです。この場合、税務の仕訳では、役員給与と給与債務の免除益が両建てとなります。

(役員報酬)×××(未払金)×××
(未払金)×××(債務免除益)×××

上記の役員給与は、実際の支給がないため、「事前確定届出給与」に当たらず、損金不算入となるのでは?ということです。

支給時期「前」に辞退しておくべき

この対策として、支給時期の到来前に臨時株主総会等で不支給の決議を取り、受領辞退することが考えられます。役員給与が損金不算入とされても、法人税の通達に「未払給与を支払わなかった場合の特例」があり、一定の場合には、債務免除益は益金不算入とする取扱いがあります。所得税の通達にも、受領辞退をした場合、給与課税は行わないという取扱いがあります。

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