経営に役立つコラム

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2025.08.15

食事の支給による経済的利益と給与課税

食事の支給による経済的利益と給与課税
賃上げの代替策として注目される「食事補助」。社員食堂の運営や弁当の配達、電子マネーによる補助など、導入形態は年々多様化しています。しかし、制度設計を誤れば、従業員にとっては給与と同じ扱いとなり、課税されてしまう恐れがあります。非課税とするための条件は一見シンプルですが、実際の運用では日数や単価、消費税の扱い、端数処理といった細かな要素が結果を左右します。
せっかくの福利厚生が思わぬ負担とならないよう、企業は事前に基準を正しく理解しておくことが大切です。国税庁の指針に沿って計算を行えば、安心して制度を活用でき、従業員の満足度向上と企業の魅力向上を両立できるはずです。

いろいろ出揃ってきた食事補助サービス

「食費が高くなった」と感じる今日この頃。賃上げの代替策の一つとして、従業員の食費をサポートしようと考える会社も増えてきました。最近は、社員食堂、弁当配送サービス、設置型社食サービスをはじめ、電子マネーを利用した食費補助サービスも登場し、様々なサービスが提供されています。採用に際して、会社に意識してほしいのが、所得税の「非課税」制度です。

食事の支給が課税されない要件とは?

この「非課税」の制度については、国税庁のタックスアンサーに解説があります。役員・従業員に支給する食事は、次の2つの要件(負担割合と会社補助額)をどちらも満たしていれば、給与課税はされません。

①役員・従業員が食事の価額の半分以上を負担していること。

②次の金額が1か月当たり3,500円以下であること
(食事の価額)-(役員・従業員の負担額)

この要件を満たしていない場合、「食事の価額-本人負担額」が給与課税されます。なお、②の「3,500円」以下であるかどうかの判定は、消費税等を除いた金額により行います(10円未満の端数は切り捨て)。

また、「食事の額」は、弁当等を購入している場合には、業者に支払う「購入額」、会社が社員食堂等で作った食事を支給している場合には、「食事を作るために直接かけた費用(材料費等)」の合計額とされます。

※参考:タックスアンサー(よくある税の質問)No.2594食事を支給したとき│国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2594.htm

具体的にどう計算するのか?

従業員に弁当と契約食堂で食事を提供したケースを考えてみましょう。

税込単価本人負担提供日数
弁当500円300円15日/月
食堂500円300円5日/月

この場合、次のように計算されます。

⑴ 食事の支給による経済的利益(月額)

弁当(500円-300円)×15日=3,000円
食堂(500円-300円)×5日=1,000円
合計=4,000円

⑵ ⑴から消費税等を除いた金額

弁当 3,000円÷1.08=2,777.77…円
食堂 1,000円÷1.1=909.090…円
合計=3,686.868…→3,680円

⑵の金額が非課税限度額を超える(3,680円>3,500円)ため、⑴の経済的利益4,000円が給与として課税されます。

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