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2025.12.18

プロ野球ドラフト会議で指名を受けた新人の契約金に係る課税

プロ野球ドラフト会議で指名を 受けた新人の契約金に係る課税
ドラフト会議で指名を受け、プロ野球選手としての第一歩を踏み出す新人にとって、契約金は特別な意味を持つ収入です。一方で、所得税の仕組みを知らないままでは、「高い税率が一気にかかり、契約金の半分以上が税金で消えるのでは」と不安になる方も少なくありません。
日本の税制では、所得が多いほど税率が上がる超過累進税率が採用されていますが、臨時的に得た収入については別の考え方もあります。新人選手の契約金は、税法上どのように扱われ、負担はどの程度調整されるのか。その考え方を見ていきます。

夢の契約金は全額一時に課税されるのか?

プロ野球の新人選手選択会議(ドラフト会議)は毎年10月に開催されます。子供のころからプロ野球選手になることを夢見てきた野球小僧たちの熱い思いが実現する第一歩です。ドラフト1位の契約金の最高標準額は「1億円+出来高5千万円」と12球団の申し合わせで決められているようです。

日本の所得税法では超過累進税率という課税方法が採用されており、課税対象の所得の額が多くなるにつれて、その「超過した部分」にのみ段階的に高い税率が課されるしくみとなっています。4千万円を超える部分に一番高い税率45%が適用され、さらに住民税10%も課され、所得に対して55%(=半分より多い)の課税となります。

夢の第一歩で手にした契約金は課税の現実で半分に萎んでしまうのでしょうか?

臨時的所得や変動する所得は税の調整あり

所得税法では、ある年に一時的に大きな収入を得たり、年によって損益に変動があったりするような所得については、複数年を平均したところで税率を適用させることで負担の増減幅を減らしてくれる制度があります。これを平均課税といいます。

その対象となる所得は、権利金などの税法で基準が規定されている臨時的な所得と、漁獲や印税など変動のある所得が対象です。

職業野球の選手などが、3年以上の期間特定の者と専属契約を結ぶことにより、一時に受ける契約金で、その金額がその契約による報酬の2年分以上であるものの所得も臨時所得とされていますので、ドラフトでの新人の契約金も臨時所得となり一時の高税率での課税が緩和されることになります。

平均課税はどのように計算されるのか

平均課税は、超過累進税率で高い税率が適用され税負担が重くなることに対して、一時的な契約金等の臨時収入での高率課税や、浮き沈みの激しい業種や職種について複数年で考えて税負担が重くなりすぎないように配慮した制度です。

ものすごくざっくり言うと、平均課税が適用される場合には、課税される所得金額の5分の1に相当する金額が適用される税率を他の5分の4の課税所得にも適用して税金計算をして、税負担の緩和を図るというものです。

変動所得が適用される業種の方はもちろん、臨時所得が発生した場合にも、顧問税理士に相談して適正な税金申告をしてもらいましょう。

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