経営に役立つコラム

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2025.06.16

企業版ふるさと納税

企業版ふるさと納税
税負担が最大9割軽減される――そんな魅力的な制度が「企業版ふるさと納税」です。
地域貢献をしながら税制優遇を受けられることから、多くの企業が注目しています。ただ、メリットばかりではなく、制度を巡ってはトラブルも発生しており、最新の事例では認定取り消しという事態にもつながりました。
正しく活用すれば大きなメリットを享受できる一方で、制度の落とし穴にも注意が必要です。企業が寄附を検討する際、どのような視点を持つべきなのでしょうか。

地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)

企業版ふるさと納税では、国認定の地方自治体事業に寄附を行うと、寄附金の最大約9割が寄附法人の税負担の軽減(損金算入と税額控除)になります。

企業版ふるさと納税では、個人版ふるさと納税の返礼品のような代償としての経済的な利益の供与は禁止です。

経済的利益享受を必ずしも否定はしない

でも、内閣府の企業版ふるさと納税Q&Aによると、寄附企業やその関連企業が寄附活用事業など自治体が取扱う事業の契約相手となることは、入札・契約上の公正なプロセスを経た上であれば、問題なしと解説しています。

それだけでなく、令和2年10月からは、寄附活用事業に従事する地方公共団体の職員として、寄附をした企業の従業員を採用することを前提に、地方自治体に寄附をする、企業版ふるさと納税(人材派遣型)すら創設されています。人材派遣型ふるさと納税の最大の特徴は、派遣した従業員の給与がふるさと納税寄附金から拠出される点です。

地域再生計画の内閣総理大臣認定取消し

ところが、内閣府は、企業版ふるさと納税を利用した事業で、内閣府令が禁じる寄附に対する利益供与に当たると判断し、2024年11月22日に福島県国見町への地域再生計画を取り消しました。

その企業寄附は、グループ企業の計3社から計4.3億円、町は寄附を原資として新事業を企画し受託会社を公募、寄附社のグループ企業1社のみが応募し受託、開発製造はそのグループ内の他企業に委託となっていました。この事案で、寄附金が寄附グループ内に還流する構図が問題視され、町議会は百条委員会を設置して調査し報告書を公表、町も第三者委員会を設置し、報告書をまとめていた、という経緯でした。

自治体の執行の改善と企業リスクの回避

今年の税制改正は、問題の所在を寄附活用事業の実施における不透明性だったとして、寄附受領団体の報告書の提出を義務付けることによる執行上のチェック機能の強化を盛り込みました。

認定取り消しとなると、企業版ふるさと納税による最大9割の税負担減少の効果が消失します。しかし、そういうリスクを恐れて企業が寄附を見送る傾向が強くなると、企業版ふるさと納税を企業から遠ざけることになります。

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