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2025.05.23

資本金等の額減少で均等割節税

資本金等の額減少で均等割節税
法人住民税の「均等割」は、会社の所得に関係なく発生するため、赤字でも避けられない負担となります。とくに資本金等の額が多い企業にとっては、無視できない支出項目のひとつです。
そのため「減資すれば節税になるのでは」と考える方もいますが、実際の税法上の仕組みは一筋縄ではいきません。帳簿上の資本金を下げるだけでは効果がないこともあり、制度の「盲点」や「抵抗」によって、思わぬ結果を招く可能性があります。
本コラムでは、そうした落とし穴に気づき、どこに注意すべきか、そして節税の実効性を高めるには何が必要かを丁寧にたどります。

法人住民税の均等割

法人道府県民税の均等割税は資本金等の額の5区分、法人市町村民税の均等割税は資本金等の額の5区分と従業員の数の2区分とによって決められています。所得の有無に関係なく、赤字でも負担しなければなりません。資本金等の額1000万円以下、従業員数50人以下の分類区分が税負担の最少区分です。

減資で均等割節税への試み

ところで、この税負担の軽減を企図して資本金の減少手続きをする場合があります。でも、資本金を減らしただけでは均等割税の軽減はできません。減資資本金は資本剰余金の額に振り替わるだけで、資本金等の額の総額に影響しないからです。

資本金等の額は税法上の概念で、株式発行や組織再編で受け入れた出資額の内、資本金とした金額とそれ以外の金額の合計とされており、会計上の「資本金+資本剰余金」に近い概念です。

資本金等の額の減少への税の抵抗

なお、資本金等の額を実際に減らそうとして有償減資や資本剰余金の配当をしたとしても、資本金等の額が直ちに減少するとは限りません。税務的には、「資本金等の額×資本剰余金減少額÷簿価純資産額=減少資本金等の額」の算式で計算されることになっているからで、簿価純資産の中に利益剰余金がある限り資本剰余金の減少を直ちに資本金等の額の減少にすることはできません。

例えば、資本金2000万円、資本剰余金0円 利益剰余金1000万円の会社が資本金等の額を1000万円にするには、有償減資1500万円しなければなりません。そうすると、資本金等の額1000万円(うち資本金500万円)、利益積立金500万円となります。

税の抵抗を受けない方法

しかし、資本剰余金の減少を直ちに資本金等の額の減少にする方法はあります。自己株式の取得です。自己株式の取得は税法上は資本金等の額を減少する行為とされているからです。

でも、「資本金+資本剰余金」が資本金等の額を超えていたら法人住民税均等割の税率区分の基準は資本金等の額ではなく「資本金+資本剰余金」の額とする(平成27年以後)とされているので、自己株式の取得だけでなく、「資本金+資本剰余金」と自己株式を相殺して消却処理をするというもう一つの手間が必要になります。

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