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2024.12.16

資本的支出と修繕費の区分

資本的支出と修繕費の区分
適正な税務申告には、固定資産の修繕や改良に要する費用の区分が重要です。実務では、「資本的支出」と「修繕費」の明確な区分が難しいケースが多く、特に機能回復を目的としつつ高機能化や耐久性向上が伴う場合は、判断が困難となります。
本記事では、この区分のポイントや特例条件、さらに実務上判断が難しい事例や過去の判例を踏まえた適切な処理方法について詳しく解説します。

資本的支出と修繕費の定義と区分基準

「資本的支出」は固定資産の機能のアップグレードや耐久性を増加させる支出で、取得価額に加算し減価償却を通じて費用化されます。

「修繕費」は固定資産の維持管理や原状回復のための費用で、発生した事業年度の損金算入が可能です。

判断が難しい事例:蛍光灯のLED化

LED化による節電効果や耐久性向上から、一見「資本的支出」と考えられるかもしれません。しかし、実務では「照明設備」の消耗品の交換とみなし、全体の価値向上とはせず、「修繕費」として処理することが適切です。

修繕費として認められる特例

以下の条件を満たす支出は、修繕費として処理することが認められています。

①定期的な修理: おおむね3年以内の周期で行われる修理や改良

②少額の支出: 一回の修理や改良の金額が20万円未満の場合

③判断が困難な場合: 資本的支出か修繕費か明確でない場合で、その金額が60万円未満、または資産の前年度末取得価額の約10%以下の場合

判例にみる資本的支出と修繕費の判断

賃貸マンションの台所・浴室設備全面取替工事が争点となった国税不服審判所の平成26年4月21日の裁決(平成21、22年分の所得税)では、納税者は居住機能回復の修繕と主張するも、既存設備撤去と新設備設置は修繕を超え、資産価値を高め耐久性を増す資本的支出と判断されました。

この裁決は、工事目的が機能回復でも、内容が実質的に資産価値向上なら資本的支出となることを示しています。

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