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2025.07.14

未稼働資産の会計・税務

未稼働資産の会計・税務
設備投資を進めたものの、計画通りに稼働しない——近年、こうした事態に直面する企業が増えています。
特に半導体業界では、大規模な工場が竣工したにもかかわらず、本格稼働に至らないケースが目立ち始めました。未稼働の資産は、会計上も税務上も扱いが難しく、減価償却や評価損の認識をめぐって判断を迫られることになります。会計では営業外としての扱いや減損の検討が、税務では償却の可否や損金算入の条件が、それぞれ論点となります。形式上の処理では済まされないこのテーマ、企業としてどう向き合うべきか、考えるきっかけにしてはいかがでしょうか。

半導体大手、新設工場4工場が未稼働

日経新聞によると、日本の半導体大手企業が新設工場として2023年以降に竣工した国内工場の7工場のうち、2025年4月末時点で4工場が本格稼働していないとのことです。日本国内の半導体投資(2022~29年)は約9兆円規模の見込みですが、AI以外の半導体需要は低調で、世界的にも工場稼働率は上がっていないようです。

会計上は、営業外で償却し、減損を検討

(1)会計上の減価償却

会計の考え方では、事業用資産として取得したものの、稼働を停止している資産(遊休資産)でも減価償却を行うことになります。ただし、「原価計算基準」では「未稼働の固定資産」「長期にわたり休止している設備」に関する減価償却費等の費用は、非原価項目として例示されているため、損益計算書上は営業外費用により表示します。

(2)会計上の減損処理の検討

将来の用途が定まっていない遊休資産は、「使用範囲又は方法について回収可能価額を著しく低下させる変化がある場合」として、帳簿価額を回収可能な価額まで減額(減損処理)することが求められることもあります。中小企業会計指針では、大企業ほど厳密な処理は求めていませんが、将来使用の見込みが客観的になく(資産が相当期間遊休状態)、かつ、時価が著しく下落している場合には減損損失(特別損失)を認識することとしています。

税務では原則償却NGだが例外がある

(1)税務上の減価償却

税務では、事業の用に供されていない資産は、減価償却資産に該当しないものとされています。ただし、現に稼働を休止していても、休止期間中に必要なメンテナンスが行われ、いつでも稼働し得る状態にあるものは、減価償却が可能です。また、生産を相当期間にわたり休止した場合、休止期間の償却費は、製造原価に算入しなくても構わない(原価以外の費用)とされています。

(2)税務上の評価損の検討

税務では資産の評価損は原則として認められていません。ただし、「その固定資産が1年以上にわたり遊休状態にある」又は「その固定資産がその本来の用途に使用することができないため他の用途に使用された」という事実があった場合に、時価までの金額の範囲内で損金経理した評価損の損金算入が認められています。

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