2022.02.03
暦年贈与改正前の非上場株式贈与のススメ
12月10日に発表された令和4年の与党税制改正大綱において、暦年贈与制度の見直し時期、見直し内容が明記されなかったことは…
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Column
2022.05.11
岸田内閣が成立して最初の税制改正である令和4年度税制改正は、非常にボリュームの少ない税制改正になりました。その理由は、コロナ禍において昨年秋の衆議院議員選挙が行われ、さらに首相交代というタイミングが重なり、十分な改正議論がなされなかったということが言われております。そのボリュームの少なさは民主党から自民党が政権を奪い返した平成25年度税制改正以来のボリュームになっております。
改正の内容自体も話題を呼んだ住宅ローン控除・暦年贈与・貸付資産の取得時の取扱い、など特徴のあるものもありますが、ここ数年の改正内容と比べると非常に小粒な改正と感じておりますので、具体的な内容は別途ご提供させていただいております税制改正小冊子などをご参照いただければと存じます。
そのような内容の令和4年度税制改正ですが、まずは昨年から話題に上がっている暦年贈与についてです。今回の改正で暦年贈与がなくなるということはありませんでしたが、相変わらず「本格的な検討を進める」という文字が躍っておりますので、今年の年末の改正も目が離せない項目と考えております。これ以外にも、今年新たに次のような表現が加わっております。
「経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、その在り方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、普段の見直しを行っていく必要がある」
ここでいう「家族内」というのが親から子だけを指すのか、夫婦間の移動も含めるのかは定かではありませんが、住宅取得資金贈与を始め確かに政策的に作られた制度で大きな節税効果のあるものがあります。これが格差の固定化防止等の観点から望ましくないということを考え始めているのではないかということが読み取れますので、非課税措置にも改正のメスが入ってしまう可能性があると考えております。
だとしたら、我々はどのような対策を考えればよいのか、というと「対策は早く行う」に尽きると思いますので、ご検討をされている方々は是非積極的に取り組まれてはいかがでしょうか。一番の損失は制度を使い損ねるということであると思うためです。
贈与に関する記述は弊社でも何度かコラムなどでもご案内しているので、さほど驚く項目ではないのですが、今年、驚いたのは次の記述です。
「近年、企業の前向きな投資や賃上げを促す観点から、法人実効税率の引き下げをはじめとする様々な税制上の取組を行ってきた。しかしながら、我が国の賃金水準は、実質的に見て30年以上にわたりほぼ横ばいの状態にあり、その伸び率は他の先進国に比して低迷している。(中略)その一方で、株主還元や内部留保は増加を続けており、コロナ禍を受けてもその傾向は変わっていない。(中略)企業行動の変容をもたらすべく、コーポレートガバナンスの強化や様々な分野における規制改革等と並んで取り組んできた近年の累次の法人税改革も、意図した成果を上げてこなかったと言わざるを得ない。」
「積極的に未来への投資に取り組む企業に対しては真に有効な支援を行うとともに、十分な投資余力があるにもかかわらず活用されていない場合に、企業の行動変容を促すためにどのような対応を講ずるべきかといった視点からも、幅広く検討を行う。」
上記を読んで最初に感じたのは、企業が内部留保をため込んでいる場合に、そこに課税する留保金課税です。現在中小企業では執行が停止されているものですが、非常に重税感のある制度です。
本来は得た利益は株主に配当される(そこで所得税が徴収される)のが、あるべき株式会社像であるということから、蓄積された利益には課税するというものです。しかし、これを回避するために配当するというのは、上述した「株主還元」に他ならないので、意図するところとは違うのではないかとも感じます。
ならば、企業行動の変容を起こさない会社に負担を求め、投資を行っている企業に有効な支援となると、法人税率を引き上げた一方で投資税制で軽減する、という手法が思い浮かびます。
G20でも歴史的国際合意と言われた「法人税の引き下げ競争に歯止めをかける」という方向性にも合致し、税制改正大綱においてもこの考えを「強く歓迎する」とまで記載しています。
ガソリンを始めとする様々な値上がり、まだまだ続くコロナの影響、このような中で増税を行うということは想定しずらいことではありますが、大災害に備えることと同じように、その時に備えておくことは必要なのではないでしょうか。
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