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2026.02.13

2027年4月から施行される予定の育成就労制度と租税条約

2027年4月から施行される予定の育成就労制度と租税条約
2027年4月からスタートする「育成就労制度」。外国人雇用の現場では準備が始まっていますが、単なる名称変更と捉えていると、思わぬ税務ミスに繋がりかねません。
これまでの技能実習制度では「非居住者」扱いが一般的でしたが、新制度では原則として「居住者」のルールで所得税を計算することになります。さらに国籍ごとの租税条約も深く関わってくるため、確認不足は給与の手取り額にも影響します。
雇用後のトラブルを未然に防ぐため、今から押さえておきたい税務の注意点を整理しました。

はじめに

2027年4月から施行が予定されている制度である「育成就労制度」をご存じですか?既にある「特定技能制度」と「技能実習制度」の発展型ともいえる制度です。

それらの制度を使って外国人を雇用すると支給する給与に対する所得税等を源泉徴収することになりますので、雇用者側は源泉所得税の計算に注意が必要となります。

育成就労制度と技能実習制度

育成就労制度とは、育成就労産業分野において特定技能1号の技能を有する外国人を育成するとともに、産業分野の人材不足解消を目的とする制度であり、従来の技能実習制度に代わって2027年4月から施行される新しい外国人材受入制度です。

育成就労の対象となる「産業分野」は、原則として特定技能制度の受入れ対象分野と一致するよう設定されています。

※育成就労産業分野(全16分野):介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業

従来の技能実習制度は、開発途上国の人材育成を支援するため、日本の優れた技術・知機器を習得させ、母国に持ち帰ってもらうことが主眼でしたが、育成就労制度は、深刻な人手不足の分野で外国の人材を育成・確保することを主眼として制度であるといえます。

税務上の取扱いを考えるに、技能実習制度における、例えば特定技能1号の在留期間は1年を超えない範囲とされていることから、所得税の取扱いでは、その技能実習生は日本で働いていても、日本における非居住者の扱いとなり、居住者とは異なる取扱いになっています。

しかし、育成就労制度における育成就労者は、制度における育成機関が3年間という育成期間を設けられていることから技能実習制度と違い、税務上、居住者として扱われることになります。

居住者と非居住者の判定

我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。

外国から来日した育成就労者は、日本に「住所」や「居所」を有していないので、原則、入国時点では非居住者になります。

しかし、入国した時点で日本での仕事の契約期間が1年以上継続することが明白等である場合には、その者は入国した翌日から居住者として取り扱われることになります。

前述のように、技能実習制度における特定技能1号などは、在留期間が1年を超えない範囲とされていることから、1年以上日本に居住することが明白ではないとして、非居住者として取り扱われます。何らかの事情で非居住者の立場が1年以上経過した場合には、その経過した時点で居住者として判定されることになります。(当初の1年の間に日本国内に継続して1年以上居住することが明らかになった場合には、その明らかになった時点で居住者に切り替わります。)

居住者の所得税と非居住者の所得税

非居住者に該当する者は、日本国内で発生した所得(これを国内源泉所得といいます。)にのみ所得税等の課税対象になります。そのため、例えば、技能実習生として在留期間1年以内の許可を得て、日本で働いた場合、非居住者に対する取扱いが適用され、その受領する給与には20.42%の所得税(復興特別所得税含む)が課税されることになります。

居住者に該当する者は、普通のサラリーマンと同様の所得税の計算をします。扶養控除申告書を会社に提出し、年末調整を受けることもできます(非居住者は年末調整の対象になりません。)。

そして、居住者の所得税の課税範囲は全世界になります(非居住者は国内のみです。)ので、もし、本国で何らかの所得が発生すると、その所得も合算して日本で申告する必要があります(本国でも申告している場合には、日本で外国税額控除を受けることになります。)。

 
日本で給与を受領した場合、居住者、非居住者として適用される税率の違いがあっても日本で所得税を納税することになりますが、来日している者の国籍によって、取り扱いが異なる場合があります。
そう、本国と日本との間で締結している租税条約の違いによって、免税となる場合があります。

租税条約の取扱い

中国の場合

日中租税条約第21条では「専ら教育若しくは訓練をうけるため又は特別の技術的経験を習得するため・・・(中略)・・・その生計、教育又は訓練のために受け取る給付又は所得については、当該一方の締約国の租税を免除する。」と規定しており、日本で働いても所得税等の課税が免除されています。

中国だけ優遇するのはおかしいとする世論が高まり、見直しを求める声が大きくなっていますが、なにせ、条約の改正になりますので、なかなか難しいと想われます。

インドネシアの場合

日尼租税条約第21条1(c)の(ⅳ)で「当該一方の締約国内における人的役務に対する報酬で、当該一方の締約国が日本国である場合にあっては年間六十万円・・・(中略)を超えないもの」の租税を免除するという規定になっています。したがって、年間の給与のうち60万円を超える金額のみが所得税の課税対象となります。

タイの場合

日泰租税条約第19条(ⅲ)で「五年を超えない期間内に当該一方の締約国において提供する人的役務による所得(当該所得が生計及び教育に必要な収入を構成する場合に限る。)」について租税を免除するとしています。

その他

上記以外の国との租税条約でも事業修習者に対しては租税の免除規定を定めているものがあります。
技能実習生や育成就労者を雇用する場合だけに限らず、外国人を雇用する場合には、その国籍と租税条約の規定を確認することが肝要であるといえます。

外国人の場合、来日時における予定されている在留期間などにより、その後の所得税等の取扱いが異なることになりますので、必ず在留期間と国籍は確認することを忘れないようにしなければいけません。そうしないと、(源泉徴収の税率が異なり)外国人が受取る給与の手取り額にも影響することになります。

もし、租税条約の内容を確認する場合には、税理士にお尋ね頂ければ、その内容を説明してもらえます。

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中山正幸

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G.S.ブレインズ税理士法人 顧問

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