経営に役立つコラム

Column

2025.07.10

経営者が知っておきたい「金利ある世界」の対応ポイント

経営者が知っておきたい「金利ある世界」の対応ポイント
金利のある環境が定着しつつある中、企業にはこれまで以上に金利変動への備えが求められています。
わずか1%の上昇でも、借入額によっては支払利息が大きく膨らみ、資金繰りや事業計画に影響を及ぼす可能性があります。今後の成長戦略として設備投資や人材採用を進める際には、まず自社の借入状況を正確に把握し、金利上昇時の負担をシミュレーションしておくことが重要です。その上で、金利タイプの見直しや補助制度の活用、業務効率化による財務体質の強化といった選択肢を検討しておくことが、安定的な経営につながります。

ご相談内容

会社の成長にあわせ、設備投資や人材採用を検討しています。
今後の金利上昇に対して、会社として備えておくべきポイントを知りたいです。

現状

◆コロナ禍では手元資金の確保を優先し、コロナ融資を積極的に活用した。

◆現状の業績はコロナ以前の水準まで概ね回復し、今後の成長戦略として積極的な設備投資・人材採用を検討している。

当社のご提案

仕入や製造コスト上昇のなか「粗利1%の重み」として「粗利率(原価率)」の変動に十分注視されてきたかと思います。
今後は「粗利率」だけではなく、「金利1%の重み」として「支払利息がいくら増加するか」とあわせて、「財務体質をどう変えられるか」を意識して投資判断を検討していく必要があります。

解説

日本銀行が2025年1月に政策金利を0.25%から0.5%に引き上げてから、半年が経過しました。この利上げは、2024年7月以来6カ月ぶりの措置であり、当時も多くの金融機関が金利の見直しを行いました。

政策金利や短期プライムレートは現在も引き上げ後の水準で推移しており、貸出金利も上昇傾向が続いています。今後の金利動向には引き続き注意が必要です。

特に中小企業の皆さまからは、「業績への影響をどう捉え、今後の資金計画をどう考えるべきか」といったご相談が引き続き寄せられています。

金利上昇がもたらす影響

手許資金が潤沢な会社であれば金利上昇により預金利息増加のメリットがありますが、借入金の多い会社に関しては支払利息の増加や利上げによるコスト上昇を理由とした仕入価格の上昇、これらを起因とした資金繰りの悪化、設備投資等に際しての融資条件の悪化による事業計画の修正など、会社経営に中期的に影響するも多く注意が必要です。

では、どのような点を意識して「金利ある世界」の対応を検討していく必要があるでしょうか。

金利ある世界の対応ポイント

【ステップ1】現状の借入金の状態把握

現在の①借入金残高 ②返済期間 ③利率 ④月額返済額 ⑤月額支払利息 を、まずは正しく把握して下さい。
「借入金一覧表」にまとめ、現状を可視化することが第一歩です。

【ステップ2】金利上昇時のイメージをもつ

金利が0.25%~2%程度上昇した場合に、支払利息がどの程度増加するのかを実際の金額としてイメージして下さい。「うちは固定金利だから大丈夫」ではなく、今後の資金調達も踏まえ「金利1%の重み」を知るということが大切です。借入1億円であれば、金利1%の上昇は年間100万円の負担増ということです。
また金利の上昇は、仕入を含めた各種調達コストが上昇するということです。材料や水道光熱費・家賃などすでに先行して上昇しているコストのもう一段の上昇もあり得ることをイメージとして持つ必要があります。
自社が何パーセントの上昇まで耐えうる経常利益率を確保しているかを含め、イメージしてみましょう。

【ステップ3】財務改善のためのシミュレーションを行う

イメージを持った後、具体的なシミュレーションで確認してみましょう。
財務改善の打ち手としては下記が上げられます。

☑変動金利から固定金利への見直し

☑借入金の削減
返済原資として過剰な現預金はないか、遊休資産や有価証券等はないか

☑資金繰りの見直しによる財務体質改善
売掛債権の早期回収と適正在庫の見直し、値上げによる粗利確保

☑業務効率化の推進
何を取り組み(業務)、何を減らすか(経費)の明確化
【例】適正在庫見直しにより在庫を減らし、倉庫料を削減等

☑補助金・助成金の活用・優遇税制の適用

財務シミュレーションの実施に際しては、お気軽にG.S.ブレインズ税理士法人各担当もしくは財務コンサルティング部にご相談下さい。

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